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議会報告
REPORT

03.24

2026年 第1回定例会 本会議・第39号議案「令和8度中野区一般会計補正予算」に対する賛成討論:浦野さとみ 2026/3/23

第39号議案 令和8年度一般会計補正予算 賛成討論

2026/3/23 浦野さとみ

 上程中の第39号議案「令和8年度一般会計補正予算」に対し、日本共産党議員団の立場で賛成討論をおこないます。今回の補正予算は、国が2013年からおこなった生活扶助基準の段階的引き下げ処分に対し、2025年6月27日に、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)が引き下げ処分の違法性を認め、処分の取り消しを命じた判決に対し、生活保護費等の追加給付をおこなうことに係る予算です。

 

 国は、2013年から2015年にかけて、平均6・5%、最大10%(年間削減額670億円)の史上最大の生活保護費引き下げをおこないました。最高裁判決は、国の生活保護行政が憲法13条に定めた「個人の尊厳」および、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を定めた憲法25条1項、生活保護法3条を侵害し続けたことを、厳しく断罪しています。歴史に残る画期的な判決です。同時に、生活保護制度を利用しながらも、生活保護費の一部が未払いの状態が長年放置され、最低生活費が保障されてこなかったという、重大な政治責任が問われる問題です。

 

 特に、子どもが多い世帯への削減率が高くなり、2013年当時、中野区内でも18歳以下の子どもがいる284世帯のうち、1回目の引き下げ額が最も大きかった世帯は1万円を超える引き下げ額となりました。裁判は、「いのちのとりで裁判」とも呼ばれてきましたが、それは、生活保護法は憲法25条の具体化であり、生存権を保障する、まさに「いのちのとりで」だからです。生活保護の最低生活費の基準は、就学援助や障害者福祉、介護・医療の負担軽減など、47の施策と連動しており、その影響は生活保護を利用する方にとどまりません。そのため、引き下げを推し進めた当時の安倍政権をはじめ、加担した政治家の責任は、厳しく問われるべきと考えます。
 この人権侵害である引き下げは、生活保護バッシングと一体におこなわれてきました。こうした厳しい状況の中で勇気を持って立ち上がり、原告となって全国各地で10年以上に渡り、裁判を闘い続けた1000人以上の原告の皆さん、原告の皆さんを支えてこられたすべての皆さんに、あらためて、心からの敬意を申し上げます。長きにわたる裁判の中で、すでに230名以上の方々が亡くなってしまいましたが、まさに、一人ひとりの「いのちのとりで」を守るために尽力されてきました。最高裁判決までに言い渡された下級審判決は地方裁判所で31、高等裁判所で12、あわせて、43となりました。行政訴訟の原告側勝訴は1割にも満たないと言われている中で、原告側の27勝16敗、勝訴が6割を超えたことは、かつてないほど高いものです。この結果からも、長年裁判を闘ってこられた方の功績は、まさに「いのちのとりで」を守る、歴史的にも画期的なものです。

 

 最高裁判決を受け、厚生労働省が今年3月1日から保護費の追加給付を原告となった方に対し先行して開始しました。原告以外の方々へも、一刻も早い給付が求められますが、自治体によって準備が遅れているところもある中、中野区では速やかな検討がおこなわれてきました。対象世帯数は、11、494世帯ですが、現在、生活保護利用中で対象となる6、714世帯には申請不要のプッシュ型で7月に支給する予定です。廃止・移管となった4,781世帯には8月以降に郵送等により申請を受け付け、9月支給開始の見込みとなっています。本補正予算には、事務費以外にも、2人分の会計年度任用職員報酬や時間外勤務手当も含まれています。迅速な対応を評価するとともに、対象となる方に対し、一人でも多くの方に給付が行き届くよう、徹底した周知と丁寧な相談対応を重ねて求めます。

 

 今回の厚生労働省の対応策は、最高裁判決で違法とされたデフレ調整にかえて、別の理由で再度の減額改定をおこない、原告にのみ「特別給付」で再度の減額分を穴埋めするという司法を軽視したものです。高齢者世帯や重度の障害・傷病者世帯が大半を占め、弱い立場におかれた生活保護利用世帯の人権と人間の尊厳を再度踏みにじる仕打ちであり、この対応は容認することはできません。あらたな不服審査請求の運動がおこる可能性は高く、現政権に対し、最高裁判決に従った全面的な補償措置を強く求めること申し添えます。

 

 最後に、私たち政治家は、今回の判決を重く受け止め、生活保護バッシングの再来を絶対に許さない姿勢を持つべきです。日本の生活保護の捕捉率は2割と言われています。生活保護行政を「保護」ではなく、「権利保障」の制度に転換していくことを目的とした「生活保障法」の制定は、党派・思想信条を超えて、取り組むことが必要であると考えます。生活実態を最前線でつかんでいる福祉事務所職員の方々とともに、「健康で文化的な最低限度の生活」とは何か、人間らしく豊かに、一人ひとりの尊厳のあり方についても、互いに研鑽を重ねることをよびかけ、討論を終わります。


 

 

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