06.11
2025年 第2回定例会 本会議・一般質問 2025/6/5 いさ哲郎2025年 区議会第2回定例会において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。
1.まちづくりのあり方について(8問)
Q.2 中野サンプラザ南側広場の暫定利用について。この場所は、自由に過ごせる空間として開放され、区民や区内団体が申請により広場を利用できる仕組みも作られました。
駅前の野外空間をどう活用するかについては、区民が比較的自由に使えるという点はとても重要です。同時に、中野区が、文化芸術振興の観点からこの立地を活かした独自施策を打ち出すことも大事だと考えます。サンプラザ前という地の利と野外という特性を活かした活用について、文化芸術振興の角度からお聞きします。
Q.3 先日、区民の方から、この中野サンプラザ南側広場の暫定利用について相談がありました。イベント利用を検討したいものの、利用の条件が厳しく、思うような利用にはハードルが高いと色々なご意見をいただきました。
広場の利用は4月下旬から申請を受けつけていますが、5月までに区には利用に関する相談が6件、利用に至る申請が4件、実際の利用は5月25日に1件あったとのことです。申請開始から1か月間のこととはいえ、駅前の一等地であるサンプラザ前広場でこの数というのは少ないかなと感じます。利用の条件で課題があるということだと考えます。
ここでは2点、トイレ設置と電力再開について伺います。人を寄せるイベントを考えたとき、トイレがあるとないでは大違いです。これまでのサンプラザには屋外にもトイレが設置されていました。
電力については、こと夕方以降のイベントでは照明が必須となること、音楽を使うなどで何等か電力を使うイベントが一般的であることから、これも必要ではないかと考えます。相談者の方も音を出すイベントを想定していましたが、発電機の利用を検討するとなると、費用面と運搬など労力の点で腰が引けてしまうとのことでした。区は、9月以降にサンプラザを区に移転するとしています。今から屋外トイレの設置と、電力の再開・イベント利用について検討はできないでしょうか。
(2)旧区役所周辺の活用について
Q.4 この間、区役所高層棟の解体は区画整理事業の中で行うこととしました。解体後においては、新たな事業が実施されるまでの間、新北口駅前広場整備の工事ヤードとすることが示されています。この工事ヤードで必要な敷地は、利用の仕方を工夫することで空地を生み出し、活用することができるのではないでしょうか。また、旧区役所とサンプラザの間の道路について、現在は歩道としての利用は続いているものの、本来は市街地再開発の計画敷地内です。この道路についても、次の計画までの間の暫定利用は検討してもよいのではないでしょうか。
こうした空地の活用方法について2つ検討の提案をします。ひとつは、にぎわいの拠点として活用できないかということ。もう一つ、臨時的な自転車駐輪場としての利用の検討についてです。
特に自転車駐輪場については、中野駅北口エリアの市街地再開発事業がなくなったことで、仮称サンプラザシティで設置予定だった1500台分、また中野地区整備基本計画では2025年以降完了となっていた新北口西エリアもこの間は計画が報告されておらずここでの未整備で500台分、現時点で併せて2000台分、駐輪場が未整備ということになります。これはあくまで計画上の数字ですが、四季の森公園やナカノバ・ソトノバのイベントは多くの区民が集まり、この地域における一時駐輪場のニーズは年々高まっています。区役所・四季の森周辺地域の駐輪場不足を緩和・解消するため、解体後の旧区役所跡地を活用する、暫定的に旧区役所・サンプラザ間の歩道への自転車駐輪スペースの設置をするなど、検討すべきです。にぎわい拠点としての活用の検討と併せ2点伺います。
(3)桃園広場周辺の整備について
Q.5 中野3丁目、桃園広場の整備では、新設される桃園広場へ向けて、中野駅南北通路から階段とエレベータが降りてくる計画となっています。この間地元町会から、この階段下に、商店会や町会で活用する防災資材の倉庫を置かせてくれないか、などいくつかの要望をお聞きしています。こうした地元からの要望について引き続き話し合っていくことが必要ではないでしょうか。伺います。
(4)新井薬師前駅地下化にともなう再開発について
Q.6 新井薬師前駅では地下化にともなう再開発が進んでいて、この間まちづくりの計画も示されました。駅南側では建物の撤去が進んでいます。工事ヤードとして使っている場所もありますが空き地も多く、地元の方から「荒涼としている、物寂しい場所になった」と声が届いています。駅南側の空地活用について、建設委員会でも都度伺ってまいりましたが、改めてこの場でも伺います。例えば、にぎわいに資する方策としてキッチンカーを呼び込むような使い方は考えられないでしょうか。また、日よけのパラソルと椅子を設置することで、スマートウェルネスシティの方針に資する使い方ができるのではないでしょうか。加えて、こうした場所に、新井薬師前駅まちづくりなど区の事業や、都の事業ではありますが駅北側に設置してある西武線地下化の計画の進捗など、この地域に関わる施策についてお知らせするパネルを設置することで周知にも貢献できるものと考えます。こうした空地の具体的な活用について検討をすべきではないでしょうか。
Q.7 新井薬師前駅では、地下化によって生まれる鉄道上部空間の活用についての検討も始まっています。この事業は、にぎわい施設や遊歩道などが例示されており、計画が進む中ではまちづくり課だけでなく、産業振興課や公園課など他部署にまたがる事業になることが想定されているものと思います。また、地域住民の参加は必須と考えます。鉄道上部空間活用の検討においては、そうした他部署との連携、区民参加を前提とした会議体が必要になるのではないでしょうか。伺います。
Q.8 地元商店街との連続性についてもお聞きします。新井薬師駅まちづくり方針では、新南側地区として上高田3丁目の一部が含まれていますが、まちづくりの駅南側には上高田本通商店街、新井薬師門前通町栄会、新井薬師駅商店会の3つの商店会があり、まちづくりで計画される地域と隣接しています。街並みとしては連続していることから、計画地域外の近隣商店街についても支援をし、回遊性を高めるなどの努力をしていくことが必要ではないかと考えます。これらの商店会は「新井薬師駅周辺地区まちづくり検討会」に加わっています。歴史ある商店街を守り、一体的に発展するための支援について区の認識を伺います。
2.住宅政策について(4問)
(1)住宅部門と福祉部門の連携について
Q.1 住宅政策についてお聞きします。住まいは人権であるという考え方から、居住の問題では住宅部門だけでなく福祉部門も協働することをこれまでも求めてきてきました。
本年第1回定例会におけるわが会派の浦野議員の質疑では、岡崎市の事例を紹介し居住支援において住宅部門と福祉部門が連携していくことの重要性を改めて指摘しました。これ対し、「住宅部門、福祉部門双方の現状と課題を共有するとともに、連携した事例を積み重ねていくことが必要」との答弁がありました。先々には、個々の事例から施策に活かしていく検討も必要になると考えます。
区は、この先どのように『連携した事例』を積み重ねていくことを検討しているのか、伺います。
(2)居住支援のあり方について
Q.2 住生活基本法の具体化として現れた政策の一つが住宅確保要配慮者支援事業です。この事業の対象となる住宅確保要配慮者とは、高齢者、障害者、生活困窮者・子育て世帯や新婚世帯、外国人というように、国交省から示されていますが、被災者やDV被害者なども含まれるとしている専門家もいます。私は、居住に困難を抱える層はもれなく住宅確保要配慮者として扱うべきものと考えます。
過去の委員会質疑において、中野区内の住居確保要配慮者の実数について2021年の数字を答弁いただいています。高齢者約6万8千人、何等かの手帳を持っている障害者が約1万3千3百人です。それ以外の住宅確保要配慮者については推計がされていませんが、把握できているだけで8万1千人以上がこの事業の対象となる母数ということです。
住居確保居要配慮者に対する具体的な支援策として、区はセーフティネット登録住宅、セーフティネット専用住宅を拡大するとしています。現在のそれぞれの現在の戸数をお示しください。
Q.3 住宅確保要配慮者に対する居住支援のメニューはいくつかありますが、今年度の予算からそのうちのひとつ『中野区セーフティネット住宅あんしん保険料助成』が廃止されました。予算は年5万円、これ自体低すぎたと思いますが、その年間5万円という予算を、利用が無いことを理由に制度開始から3年で廃止したことについては疑問があります。
この制度は、単身高齢者の入居に不安を感じている大家さんに対して、その不安感を取り除く目的で始まったものです。入居者の死亡にあたって、残存家財の整理費用・原状回復費用・空き家となったことによる逸失家賃の助成をするという制度です。「単身高齢者の入居に感じる不安」については、これまでの居住支援協議会の議論の中でも大家さんの思いとして議論があったと認識しています。
改めて、居住支援協議会などの場で大家さんの要望をよくつかみ、具体的に支援する仕組みを速やかに検討することが求められていると考えます。この点について区の認識を伺います。
Q.4 居住の困難を解決するためにもう一つ考えなればいけないのが家賃の問題です。これまでも、住み慣れた中野区で済み続けるためにも、公的住宅を増やすこととともに家賃の助成について求めてきました。中野区は地価が高騰し、これに連動して家賃も上がっているのは周知のことです。また地価の高騰が建て替えを推進する力として働いており、アパートやマンションの建て替えで転居しなければならない、でも入居時と同等の賃料では近隣で賃貸住宅を探すのが難しい、だから区外へ転出するしかない、このような実態が拡がっています。
世情としても、不況が長期化し物価高騰が続く中でのことです。中野区に住み続けることが難しい世帯が増えているのではないでしょうか。この点の認識はいかがでしょうか。
杉並区では、前年度に区営住宅の申し込みに落選したひとり親世帯又は多子世帯で、区営住宅の申込者資格要件を満たしていることなどを条件に、都内で初めて自治体独自の家賃助成制度を実施しています。中野区でも、杉並区のような家賃助成制度の検討を要望し、次の質問に進みます。
3.商店や商店街の支援について(6問)
Q.1 本年11月から、中小企業の伴走型支援体制の試行実施が示されています。この支援対象には商店も含まれています。これまで地元商店の支援を求めてきた立場から、利用を促進し支援体制を拡大させる観点で質問します。この取り組みの中で具体的に実施しようとしていることはどんなことでしょうか
Q.2 この支援体制の中で、8つのプロセスという考え方が示されたのは重要です。伴走型支援を始めるにあたり、区との信頼関係を良好に保つことは肝要です。同時に、順番の話として、伴走型支援の中で信頼を勝ち取る、のではなく、まず信頼してもらった上でないと支援に結びつかないのではないかとも考えます。コロナ拡大期の補助金申請の制度の不備など、行政に対する強い不信を抱えている事業者さんも少なくありません。寄り添い型で取り組むということを知ってもらうために、区職員が事業者さん、商店会や商業団体のところに出向いて直接話すなど、本気の取り組みが必要と考えます。この点を踏まえた支援体制の周知について伺います。
Q.3 私のところには「区内で店舗を出店したい」というご相談も何件かありましたが、共通して「賃料が高い」ということをお話しされていました。中野駅近くで手ごろな賃料で、という物件を見つけるのは簡単ではありません。私に相談のあったすべての方が中野区以外での出店を検討する、という結論となりました。そのうちのお一人は、数年前まで中野駅北口の商店街で飲食店を経営していた方です。また、新店が出店しても数か月、数年で退去というケースも多く目にします。これまでも区は、新規事業を立ち上げる際の様々な創業支援メニューを用意しています。しかし店舗の賃料支援はメニューにありません。区内に出店し継続的に営業し定着してもらうことを目指すためにも、新規事業者に対する賃料の支援を検討しても良いのではないでしょうか。伺います。
Q.4 商店の支援について、会派としてこれまでも継続的に質疑をしてきました。2023年の決算特別委員会総括質疑では、中野区独自の融資借換制度について設置を求めました。この借換制度が昨年から実現し動き出していることを歓迎します。
この「経営改善借換資金」について、昨年度の利用状況はどうなっているでしょうか。
Q.5 この借換制度では「信用保証協会の保証付き中野区産業経済融資」だけが対象となっています。しかし新型コロナ流行数年の間には様々な融資制度が作られ、お店の維持のためにとにかく借りられるものは借りる、という状況でした。多くの店舗が複数の融資を利用していますが、長引く不況からその返済に苦慮しています。昨年夏はゼロゼロ融資の返済ができず多くの店舗が倒産したとのニュースもありました。借入が一本化できれば、支払いの計画に目処が立ち、無理なく返済しながら経営を続けていく道が拓かれます。中野区産業経済融資に限らず、どんな融資であっても借換の対象とすることは避けて通れないと考えます。
肝心なのは、事業者さんの置かれた実態、困難に寄り添うことです。借換制度においても、実情に見合う制度の見直しが必要ではないでしょうか。
Q.6 また、商店街についてもそれぞれに個別に要望があり、相談や支援が必要であることはこれまでも質してきました。不況をきっかけにたたんでしまった商店も少なくありません。商店がなくなっていき、多くの商店街で維持が困難になってきています。
先日、とある商店会長より、商店街で使う事務所設置の支援を改めて求められました。現在は商店街の照明や音響の機器を個人宅に引き込んでいるそうで、商店会長を交代するためにはこうした機材を個人宅ではない場所に設置をしたい、とのことでした。区にもそうした事務所設置の要望は届いているかと思いますが、肝心なのは、なぜ事務所が必要だと考えているのかという思いに寄りそうことです。中小企業向けに体制が整いつつある伴奏支援のように、商店街それぞれの要望についても寄り添い型で親身に話を聞き、要望に応える手立てを検討する必要があると思いますがいかがでしょうか。
4.エッセンシャルワークの質の担保について(3問)
Q.1 埼玉県さいたま市では、4月から開始した『放課後子ども居場所事業』で、委託先の運営事業者が職員の募集について「スキマバイトアプリ」を利用し、29人を保育補助員とし採用していたことが分かり、問題となりました。また、奈良県香芝市の公立学童保育所の委託事業でも同アプリで職員を募り、のべ50人を採用していたことが議会で明らかになっています。どちらもこの事態の発覚後、スキマバイトの利用を取りやめています。
この事態を受け、こども家庭庁成育局保育政策課長より、今年2月に地方自治体に対して通知が出されています。この通知では、当日の急病などでやむを得ない場合に活用することなどは妨げないとしながらも、スキマバイトにより採用された保育士を最低基準上の保育士定数の一部に充てることは望ましくない、としています。この通知について区の認識を伺います。
Q.2 区内の民間学童においては、既にスキマバイトの募集がかけられている事例があることを確認していましたが、この度、区立の公設民営型の学童においても、スキマバイトによる募集をかけていたことを確認しました。学童におけるスキマバイト利用について、区としてどのように対応していくのかお聞きします。
Q.3 スキマバイトの大きな問題点は、履歴書も面接も不要な点だということです。資格の有無もそうですが、職歴や人柄などもいざ来てもらうまで何一つわかりません。専門性が求められる事業においては、質の担保のためにも、本来は資格・経験を有する職員を充当すべきものです。
これまでもエッセンシャルワークの多くの分野で、資格のない非正規雇用で人材不足を補填する事態が拡大していました。さらにスキマバイトに頼らなければいけないということは、人材の不足が一層深刻になっていることを示していると考えます。事業の質を担保するために委託費の見直しが必要になると考えます。区の認識を伺います。
学童に限らず、委託費用の多くが人件費であるエッセンシャルワークにおいては、委託費と事業の質が直結しています。専門性の高い職員を配置し事業の質を担保する一層の努力を求めます。
5.失語症者支援について(2問)
Q.1 失語症者支援について伺います。2022年に陳情が採択されて以降、中野区において失語症者向けの支援メニューが具体化しています。昨年4月からは、新たに失語症者への支援者個人派遣事業が開始していますが、昨年の利用状況について伺います。
また、失語症当事者の方には、制度についてどのように周知がされているでしょうか。
Q.2 先日、失語症者を家族に持つ方から、失語症そのものについて世間的に認知がされていないとのお話をお聞きしました。見た目ではわからないことはもちろん、失語症にはいろいろなタイプがあり、現れる症状も違います。失語症者の方が社会生活を送る上で支援者は欠かせませんが、同時に、社会的な認知な認知の低さを改善することも、欠かせないことです。その方はヘルプマークも利用されているそうですが、そもそも失語症というものが社会的に理解されていない中では、ヘルプマークも有効に機能しないのではないか、ということを気にされていました。区として、失語症についてのさらなる周知を検討できないでしょうか。