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2024年 第4回定例会 本会議・一般質問 2024/11/28 広川まさのり2024年、第4回定例会にあたり日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。
1. 子育て世帯への支援について
はじめに、子育て世帯への支援について伺います。
内閣府が行った国際調査よると、日本は国民の過半数が「自分の国は子どもを産み、育てやすい国だと思わない」と答えた唯一の国でした。その理由の一つが、教育費が高すぎることです。教育費が完全無償のスウェーデンでは、国民の97%が「自分の国は子どもを産み、育てやすい国だと思う」と回答しています。子ども・子育ての予算を低水準のまま放置してきた政治の責任は重大です。
そして今、物価高騰が子育て世帯の家計に深刻な影響を与えており、様々な面からの負担軽減が求められています。
そこで、子育て世帯への支援策として、3点伺います。
(1)修学旅行費等について
まず、修学旅行費等について伺います。
葛飾区は来年度から、「子育てにかかる経済的負担を軽減し、ゆとりをもって子育てできる環境を整備する」とし、その一つとして、修学旅行費および移動教室費等の無償化を行います。中学3年生を対象とした修学旅行の保護者負担額・約8万円と合わせ、移動教室や林間学校等を無償とします。
きっかけになったのは、修学旅行費の高騰です。物価高騰やインバウンドの増加などで、宿泊費や交通費が上昇し、今後、費用の増加が避けられなくなったことから、各家庭の経済状況にかかわらず全ての生徒が参加できるように、公費で全額負担することにしたということです。
中野区でも同様に、費用の増加が見込まれます。今年度、中学3年生の修学旅行費は約6万9千円となっています。生徒にとっては一生に一度の経験であり、仮に参加したくても経済的な理由で諦めざるを得ないケースがあるとすれば、解消すべきと考えます。
「だれひとりとりのこさない」を掲げる中野区としても、修学旅行費等の体験学習において、希望するすべての児童・生徒が参加できるよう、無償化を検討してはいかがでしょうか?区の認識を伺います。
(2)習い事を始められる・続けられるための支援について
次に、習い事を始められる・続けられるための支援について伺います。
家庭の経済的格差が子どもたちの「体験格差」に直結することが様々な調査で浮き彫りになっています。中野区の「2022年度(令和4年度)子どもの生活実態調査」でも、生活困難度によって「習い事」や「学習塾」に通わせられるかどうかがくっきりと分かれました。さらに、物価高騰の影響などで、それらの費用も過去最高といわれるほど上昇しています。そうした状況のもとで、「習い事」や「学習塾」を始める・通うための支援が自治体独自で広がっています。
中野区としても、家庭の経済的な理由で「習い事」などを諦めざるを得ない家庭に対する支援を検討すべきではないでしょうか。認識を伺います。
(3)給付型奨学金について
次に、給付型奨学金について伺います。
これまでも、繰り返し区独自の給付型奨学金制度の創設を求めてきました。
実態調査においても、進学する予定のない子どものうち3割程度が経済的制約を理由として挙げていることが明らかになっています。「検討を進める」としてきましたが、踏み出すべきではないでしょうか。
品川区は保護者の経済状況に関わらずに子どもの大学進学を支援するため、所得制限のない給付型の奨学金制度を創設する方針を決めました。
中野区でも給付型奨学金制度の創設を求めます。改めて、区の認識を伺います。
2. 多様な家族の在り方について
次に、多様な家族の在り方について伺います。
今年10月29日、国連・女性差別撤廃委員会は選択的夫婦別姓制度導入に向けた法改正を求める4度目の勧告を出しました。同委員会は、日本政府が「何の措置もとっていない」と厳しく指摘しています。
共同通信が全国の都道府県知事と市区町村長に実施したアンケートによると、78%が選択的夫婦別姓を容認すると回答しました。さらに、都内の首長8割が制度導入容認とのことです。
そこで、改めて選択的夫婦別姓について、区長の考えを伺います。
性的少数者のパートナー関係を公的に認める自治体の「パートナーシップ制度」で、異性の事実婚夫婦も対象に含める動きが広がっています。選択的夫婦別姓導入までの「一時しのぎ」として利用するケースも多く、パートナーシップの届出をすることによって、病院での面会や携帯電話の家族割引、住宅購入時のペアローンなど、様々な手続きがスムーズになるほか、家族を対象にした行政のサービスが受けられるようになります。
墨田区のパートナーシップ宣誓制度では「性的マイノリティのカップルに限らず、事実婚の方なども利用できる」と明記されています。一方、中野区パートナーシップ宣誓はその対象を「双方又はいずれか一方が性的マイノリティ」としています。
中野区でも、パートナーシップ制度の対象を、異性の事実婚にも拡大すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
パートナー二人の関係だけではなく、子どもや親等の近親者まで含めた関係性を証明する「ファミリーシップ制度」の導入が進んでいます。届出が受理されると、子育てや福祉、住宅など、利用できる行政手続き・サービスが増えます。豊島区も今月1日から制度を導入し、都内で3例目となりました。
中野区としても、多様な家族の在り方を支えるファミリーシップ制度の導入を検討してはどうでしょうか?伺って次の項の質問に移ります。
3. 外国籍妊婦の母子保健サービスについて
外国籍妊婦の母子保健サービスについて伺います。
入院助産は保健上必要であるにもかかわらず、経済的な理由により病院または助産所に入院できない妊産婦を対象に指定の病院等での出産に必要な経費を助成する制度です。児童福祉法第22条に基づいた制度で、中野区内の指定助産施設は松が丘助産院となっています。本制度を必要とする方がきちんと利用できるよう、以下、確認も含めて伺います。
入院助産を利用する場合には申請が必要ですが、中野区ではどこが窓口となり申請や相談を受けつけていますか。各窓口によって対応に差がないようにしていただきたいと思いますが、あわせて答弁を求めます。
入院助産は国籍や在留資格の種類にかかわらず、収入等の経済的条件を満たし、申請時点で中野区に居住していれば、住民票の有無は関係なく適用されると認識しています。また、居住継続の意思はご本人との面談などにて口頭での意思確認ができれば問題ないと認識していますが、いずれの認識に間違いはないか伺います。
妊婦健診券や産後ケア事業(ショートステイ、デイケア、アウトリーチ)も同様に、国籍や在留資格の種類にかかわらず居住実態があれば利用できると思いますが、確認の意味で伺います。
言語保障について伺います。
外国籍の方の中には、日本の出産・育児制度などが十分に伝わっていないことが考えられます。その点を考慮し、一連の関連資料にはやさしい日本語や外国語を併記することが必要と考えます。あわせて、各窓口で相談があった際の言語保障についても検討を深めることが重要と考えますが区の認識を伺います。外国籍の方への現在の対応状況と課題、今後の改善策について見解を伺い、この項の質問を終わります。
4. マイナ保険証について
次に、マイナ保険証について伺います。
政府は12月2日に健康保険証の新規発行を停止し「マイナ保険証」の一本化を強行しようとしています。マイナンバー法では15条で、マイナンバーカードを所得するかどうかは本人の自由で、義務ではないとしていますが、マイナ保険証は事実上、マイナンバーカードの取得を強要するものです。
マイナ保険証をめぐっては別人の情報が登録されるなど問題が多発し、医療現場ではいまだにトラブルが続いています。全国保険医団体連合会が10月に発表したアンケートでは、今年5月以降、約7割の医療機関でマイナ保険証、オンライン資格確認に関するトラブルが発生していたことが明らかになりました。マイナ保険証が利用できず「一旦10割負担を患者に請求する事例」も起こっています。また、カードリーダーのトラブルでその日の受信を諦めて帰宅し、急性心筋梗塞で亡くなる事例が起きました。マイナ保険証の利用率は1割余りであり、多くの国民がマイナ保険証によるトラブルや個人情報の流出に不安を感じていることを反映しています。
国はマイナ保険証への一体化のメリットばかりを強調していますが、現行の保険証廃止について、どこに問題があるのか、区の認識を伺います。
愛知県保険医協会が行った「子育て世代のマイナ保険証に関するWEBアンケート」によると、子どものマイナンバーカードの取得率は32.9%と3人に1人、健康保険証を紐付けしている割合は16.1%でした。一方、子どもを受診させる際、97.3%が「現行の保険証で受診している」と回答しています。また、現行の健康保険証の新規発行を停止し、最長1年後には廃止する予定としていることについて、86.3%が「困る」と回答しています。さらに、未成年のマイナンバーカードは、5年で更新しなければならず、今後更新を忘れて医療機関を受診し、トラブルとなることが懸念されています。
政府は、マイナ保険証の登録をしていない人に対し、ほぼ保険証と同様の資格確認書を交付することにしました。当初は、申請した人だけとしていましたが、後に「申請不要」に。さらにマイナ保険証を持っている75歳以上も対象とするなど、対応が二転三転しています。区にとっては、マイナ保険証の登録をしていない人を抽出する作業が発生する事案です。
この際、マイナ保険証保有の有無に関わらず、すべての人に資格確認書を送付すべきではないでしょうか?区の見解を伺います。
マイナ保険証を利用した医療情報の共有には、タイムラグがあることが懸念されています。
薬局の薬剤師は、処方箋に基づいて調剤をする際、現在服用している薬剤の情報を参考に、薬の飲み合わせや、類似の薬を含む重複投与の有無を確認しています。しかし、現在のマイナ保険証の仕組みでは、集積されるデータが月単位のレセプトの情報となっており、処方された薬剤の情報が反映されるまで、最長で6週間程度のタイムラグが発生します。患者さんが別の病気で異なる医療機関に受診した場合、マイナ保険証のみでは直近の情報を確認することができず、出すべきではない薬を処方してしまう可能性があり、命に関わる重大な問題であると考えます。
そこで、区としてこうしたタイムラグが起こり得ることについて、区民に注意喚起するとともに、現時点では「お薬手帳」の利用を推奨すべきと考えます。認識を伺います。
この項の最後に、「短期証」についても伺います。
マイナ保険証一本化に伴い、滞納者への制裁措置として、保険証の有効期間を短くする「短期被保険証」の交付については、その仕組み自体が廃止されます。これまでの「短期証」扱いとされていた被保険者の人たちへの対応が問われます。
強引な取り立て・差押えや、一律に「10割負担となる特別療養費」へと回すことなく、滞納者には実態を踏まえた丁寧な対応を求めますが、区の見解を伺います。
5. 感染症対策について
次に、感染症対策について伺います。
11月22日に発行された直近の東京都新型コロナウイルス感染症情報第34号によると、定点医療機関当たり患者報告数は1.28人となり、5類に移行してから最も少なくなった前の週から増加に転じました。過去の感染者数の推移に照らせば、これから「第12波」となる流行が始まることが想像されます。
現在、新型コロナウイルスオミクロン株の新たな変異株「XEC」が世界的に広がりつつあり、現在主流の「KP・3」よりも広がりやすく、過去の感染で得られた免疫から逃れる能力も高い株だといわれています。
まず伺います、新型コロナ感染の次の波が来る時期をどのように想定しているのでしょうか?
想定される「第12波」はこれまでと違った特徴があると指摘されています。冬にかけて、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザと、統計を開始して以来過去最多の流行となっているマイコプラズマ肺炎の3つの感染症の流行時期が重なる”トリプルデミック”が警戒されています。さらに、複数のウイルスに感染する「同時感染」も増えつつあります。これら3つの感染症は前兆や症状こそ異なるものの予防策は同じで、手洗い、うがい、換気、マスクの着用が大切とのことです。
改めて区民に対し、感染予防の周知に努めるとともに、再び感染者の増加によって治療薬等の不足が起きることのないよう、関係機関と協定を結ぶなど、速やかに医療・検査の体制を立ち上げられるよう備えるべきと考えます。見解を伺います。
新型コロナ感染症の回復後に続く後遺症については、倦怠感や息切れ、味覚・嗅覚障害、思考力や記憶力への影響など、多岐にわたる症状が報告されており、入院した患者1,066例を対象とした追跡調査では、診断から12ヵ月後でも約30%、およそ3人に1人に後遺症が認められました。長引く症状により、日常生活や仕事・学業などに支障が出ている方も少なくありません。
子どものコロナ後遺症も深刻です。「全国コロナ後遺症患者と家族の会」がウェブ上で行った子どものコロナ後遺症に関するアンケートでは、36.7%が「通学できていない」と回答。また「留年した」が7.8%、「退学又は別の選択肢を選んだ」が21.1%にのぼりました。子どもへの丁寧な対応や、学びの保証が早急に求められています。
東京都が「児童・生徒の支援のための新型コロナウイルス感染症後遺症ハンドブック(教職員向け)」を作成し、学校における必要な対応や配慮等を示しています。後遺症で苦しむ子どもたちが取り残されるようなことがないよう、教育現場に周知・理解の徹底を行うべきと考えます。
そこで、学校において、コロナ後遺症の症状を有する児童・生徒に対して教育活動の実施に当たり適切な配慮が行われるよう取り組むこと、また、差別、偏見等がないように適切に指導・理解啓発に取り組むことを求めます。区の認識を伺います。
新型コロナ感染症、および後遺症について、区としての情報提供・発信についてはさらに工夫の余地があると考えます。患者や家族が、必要な情報に簡単にアクセスできることが重要です。厚生労働省や東京都のサイトのリンクを貼ることも大切だが。区独自での情報の発信に努めるよう、これまでも求めてきました。
その一つとして、区報・区HP等で、区内で後遺症外来を実施している医療機関リストを掲載してはいかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。
6. すごしやすいまちづくりについて
次に、ゴミ箱の設置について伺います。
日本は先進国の中でも公共のごみ箱が少ないと言われています。実際に、観光庁の2019年の調査では、 日本を訪れる外国人旅行者の困りごとの第1位が「ゴミ箱の少なさ」という結果が出ました。
現在、中野区の路上には公共のゴミ箱は設置されていません。ゴミ箱を設置することについては「ゴミを呼んでしまう(増えてしまう)」という考えもあるが、近年、様々な研究や実証実験によって、ゴミ箱を置くことでポイ捨てを減らせるということが分かってきました。一部の自治体では、公共のゴミ箱の数を増やしつつ、最新の技術を活用した効率的なゴミ管理システムが導入され、都市の清潔さを保つための先進的な取り組みが進められています。
まず、区として、公共のゴミ箱設置による効果をどのように認識しているのか、伺います。
IoTを活用したごみ箱、いわゆる「スマートゴミ箱」が注目されています。ある「スマートゴミ箱」は、ゴミを自動で圧縮、必要な電力は上部のソーラーパネルの太陽光発電でまかない、外部電源を必要としないため、どこにでも設置でき、さらに、搭載した通信機能によりゴミの蓄積状況がリアルタイムで把握できるため、効率的な回収が可能となっています。
現在、中野駅周辺では大規模な再開発が進行中であり、新しく生まれ変わる街の景観を清潔に保つことは、区民にとっても、増加するインバウンドや国内旅行者にとっても求められる取り組みと考えます。区としてもこうした新しい技術を活用した「スマートゴミ箱」の設置を検討してはいかがでしょうか?認識を伺います。
(2)バス停の上屋・ベンチの設置ついて
次に、バス停の上屋・ベンチの設置について伺います。
区内には、上屋やベンチもなく看板だけが立ったバス停が多く存在しています。一方、上屋やベンチ、風よけやそれを利用した広告、運行状況などを表示する電子パネルなどが設置されているバス停もあります。
かねてから、バス停において上屋やベンチの設置を求める声があり、過去に一般質問でも取り上げました。最近でも「特に区民の利用する施設に近いバス停などには上屋やベンチの設置を」との要望が寄せられています。例えば、南中野では、方南通りに面する南中野区民活動センターに最寄りの停留所では北側には上屋があるもののベンチはなく、南側には上屋・ベンチはありません。中野通りの南部すこやか福祉センターや鍋横区民活動センターに最寄り停留所には上屋もベンチもありません。悪天候でも安心できる待合環境の整備が求められます。
現在、様々な自治体が、バス利用者のバス待ち環境向上やユニバーサルデザイン、バリアフリーを目的として、上屋・ベンチの設置に取り組んでいます。中野区においても、今年6月に策定された「中野区地域公共交通計画」で「バス・タクシーの待合環境の確保・整備」が位置付けられました。条件が整う停留所において、バス停の上屋とベンチの設置が進むよう関係機関と連携し取り組んでいくべきと考えますが、認識を伺います?
(3) 新モビリティついて
最後に、新モビリティについて伺います。
昨年の第3回定例会・一般質問において、高齢者の移動支援策という観点で新モビリティの活用を求めました。今般策定された「中野区地域公共交通計画」において、新技術を活用した移動支援の活性化に取り組むことが示されたことは評価します。多くの自治体で実証実験や体験会など取り組みが広がっています。
今後、区内での体験会など、広く区民に知ってもらう機会を設けていかがでしょうか?伺って全ての質問を終わります。