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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

02.22

2023年 第1回定例会 本会議・一般質問 2022//14 長沢和彦

 2023年第一回定例会本会議にあたり日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。質問に先立ち、トルコ・シリアで発生した大地震によりお亡くなりになられた皆さまにお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。

 

1.区長の政治姿勢と区政運営について

 

(1) 施政方針説明について

 

○現在、開会中の国会では軍拡をめぐって質疑が交わされるなど焦点となっています。
 今年に入ってから「軍拡」についての世論が変わりつつあります。増税や負担増をはじめとした、「防衛費の増額」に反対の世論が増えています。抑止・防衛の名による軍事力の強化ではなく、外交による紛争と緊張の解決を求めています。これまでの専守防衛の考えを投げ捨てる「敵基地攻撃能力の保有」は、日本を戦争に巻き込みかねない本質を持っています。すみやかに撤回させて、東アジアを“敵対と分断”から“平和と協力”の地域にするため、いまこそ威嚇でなく平和の外交ビジョンが必要です。
 区長は、施政方針説明の「むすびに」で、「ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした国際紛争とその緊張」に触れ、「私たちが安全に安心して生活し、営むことができる日常の尊さとその重要性を再認識した」とし、「平和行政を政策目的としている中野区は、平和への思いを馳せながら、今、区としてできる平和への取組が何かを改めて考える時なのだと思(う)」と述べられました。重要な意思の表明だと思います。
 昨年、中野区では、憲法擁護・非核都市の宣言40周年にあたり、記念植樹や平和の集いの拡大など記念事業を行ってきました。来年度には、被爆地への平和の旅の実施など、平和事業の拡充が予定されています。未来を担う次世代、子どもたちを対象とした取組として評価します。平和教育といった観点からも、子どもたちへの継続的な平和事業の取組を期待するものです。見解をうかがいます。

 

○区長は、物価高騰・経済対策についても言及しています。
 「東京都区部における今年1月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比で4.3%上昇し、高い水準で物価の上昇が続いてい(る)」とし、「…区民生活にどのような影響を及ぼしていくのかを見極め、必要に応じて機動的に対策を講じていくことが必要である」と述べています。
 2023年も引き続き多くの商品・サービスが値上げし始めて、特にこの2月は4,200品目以上が値上げとなる見込みです。価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」も多数あります。大幅な賃上げが必要です。このままでは実質賃金はマイナスです。
区は当初予算案で、区の施設等については、原油価格・物価高騰分を計上しています。しかし、区民が利用する民間の施設については、当初予算案では計上せず、状況をみて補正予算で対応するとしています。すでに商品・サービスの値上げにより区民・事業者は悲鳴をあげています。
 ①少なくとも今年度の補正予算前に実施した区内事業者への聞き取りなどを改めて行う必要があるのではないですか。②また、国や東京都の意向を把握し、迅速な対応を図ることも必要です。③さらに、物価高騰から区民生活を守る手立てを検討しておく必要があるのではないですか。見解をうかがいます。

 

(都区財調)
〇施政方針説明では触れていませんが、現在、都区間で焦点となっている都区財政調整交付金の配分割合について、うかがいます。
 都政新報の記事によれば、都区財調協議が児童相談所開設に伴う都区間の配分割合をめぐって1月の協議会で中断して以降、継続協議となっています。2023年度財調に関する条例改正案は都議会第1回定例会での上程・議決には間に合わない見通しです。現行の区側「55.1%」の積み上げどころか、「55.0%」に引き下げを求める都側の主張が協議中断の原因です。3年前、2020年の協議の上での都区間の合意はいったい何だったのか。すでに7区目の児童相談所が開設されています。にもかかわらず、3年前の配分割合に戻すことなど、まったく道理がありません。
 そもそも、我が会派は、現在の23区における行政需要の増加からみれば、抜本的な区側の配分割合の見直しが必要であると考えます。少なくとも、2020年の協議での合意を起点に、特別区長会として55.1%からの積み上げを強く求めるべきではないですか。見解をうかがいます。

 

(2) 羽田空港新飛行ルートについて

 

○我が会派は、都心低空飛行ルートそのものを中止にすることを求めています。同時に、昨年12月22日に「羽田新飛行ルートの中止を求め中野の会」から提出した区長への要請書では、①国土交通省による教室型の説明会の開催、②新飛行ルート変更の検討結果をいつまでに示すのかを国に求めるよう要望しています。
 その場で区長からは、「騒音や落下物への不安は承知している。具体的なことは検討したい」と応じられました。
改めて2点について国に要望することを求めます。区としての検討はいかがですか、うかがいます。

 

○区民からは、今も不安や心配の声が聞かれます。
 品川区では、15歳以上の全区民を対象に新飛行ルートの生活への影響を問うアンケートを実施する予定だと聞いています。
 中野区においては、区内2本の飛行ルートにより南風が吹く時に、15時から19時の間、1000m前後の低空を飛行しています。
真下周辺やマンション居住、ビル内で業務を行う事業者等への影響調査を検討してはどうですか。うかがいます。

 

(3)区有施設の活用について

 

○中野区区有施設整備計画では、施設の移転・建替えや行政目的を終えた施設及び土地の転換、貸付並びに処分などが示されています。10年間の「計画」の中で、その施設の行政目的を終えても、代替地・施設の活用なども視野に検討されています。しかし、すでに売却を基本方針としている施設・土地がありますが、この点はよくよく検討しておく必要があると考えます。将来における行政需要の高まりを考慮することが肝要です。近年では保育園の待機児童の解消が大きな課題となりました。現在においても介護・高齢者の施設不足は喫緊の課題です。防災のまちづくりについても、まだまだ用地の取得は必要です。土地の貸付を含め検討すべきです。売却ありきでは禍根を残すことになります。施設・土地の活用は住民参加で検討をすべきではないですか。見解をうかがいます。

 

○区立小中学校の跡地の活用について、うかがいます。
「中野区立小中学校施設整備計画」によれば、既存校舎の整備期間中は旧学校施設の代替校舎としての活用が図られる予定です。一方、統合校の大規模化については注視する必要があります。例えば平和の森小学校はいよいよ移転先での整備が始まりますが、並行して中野駅周辺の開発事業や通学範囲内での人口動態を想定しても決して余裕があるわけではないでしょう。中野駅南側に位置する桃花小学校においても教室不足にさらされています。まして今後、全学年で35人学級が実施され、さらに少人数学級の推進が図られるとなれば、教室数が足りなくなることは想像に難くありません。谷戸・塔山小学校では、校舎内に設置されている学童クラブ室が満員のため別棟に整備した例もあります。そもそも、人口動態及び子育て世帯の流入を見誤って学校統廃合を進めてきたことが問題です。区教育委員会は、これまで学校統廃合についての検証を行ってきたと言いますが、学校評価と同様の確認にとどまってはいないでしょうか。「通学に時間を要す」、「通学路で踏切や幹線道路を渡ることは避けたい」などの意見は多数あります。
 現在は都心回帰により人口増はしばらく続き、子育て世代の流入も見込まれます。酒井区長は、学校統廃合の計画については見直しを掲げてきたわけではありません。既定路線のままに進めてきました。しかし、今後、学校施設が必要になるということも考えられます。中央区では、現在、児童・生徒数の増加が見込まれることから、晴海地区において新たな小中学校施設の建設が計画されています。
 中野区でも旧学校施設については、代替校舎の活用後にあたっては、弾力的な対応ができるよう検討しておくべきではないですか。うかがいます。

 

○暫定利用について、具体的には、旧令和小学校と移転後の明和中跡地施設についてうかがいます。
 小中学校の代替校舎としての活用が図られる前に施設改修などが施されるまでの一時において、住民が使用できないかを検討しておくべきではないでしょうか。例えば、哲学堂公園でのテニス場の整備が始まります。整備が終了するまで代替の利用の場が求められています。個人・団体に対して運動場の使用を認めることは可能ではないでしょうか。
 施設ごとに精査して、暫定利用について検討することを求めますが、いかがですか。
うかがいます。

 

(4)ハラスメントゼロについて

 

〇中野区では、2018年2月に「中野区職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針」を定めています。2020(令和2)年の第3回定例会本会議で立憲民主の森議員から「区長にゼロハラスメント宣言を行ってほしいとの要望」を重ねて求めてきた旨の質問が行われ、区長からは「宣言に向けた検討を進めている」との答弁がされています。その翌年の2021(令和3)年の3月に、酒井区長が、セクハラやパワハラなど一切の暴力を許さない社会にするために、できることを考え、行動していくためのプラットホーム「We Too JAPAN(ウィトゥージャパン)」の「ゼロハラ宣言」に賛同を表明しました。
 杉並区では、昨年の11月9日、記者会見の場で、区役所におけるハラスメントの根絶に向けた「ハラスメントゼロ宣言」を発表しました。岸本杉並区長は、ハラスメントの実態を把握するために、区として初めて会計年度任用職員を含む全職員約6000人にアンケート調査を実施。2701人から回答がありました。過去3年間に「ハラスメントを受けたことがある」が411件、「目撃したことがある」が470件と回答があったと報告されました。内訳では、「パワーハラスメント」が圧倒的に多く、上司からのハラスメントが多かったと指摘しています。
 中野区においても、区職員等を対象にアンケート調査を実施することを検討してはいかがですか。うかがいます。

 

〇先に触れた、「中野区職場のハラスメントの防止に関する基本方針」では、ハラスメント防止のための研修や相談・苦情の窓口対応、苦情処理委員会の設置及び制裁措置として懲戒処分を規定しています。それに則った取組が行われてきたと思います。しかし、この「基本方針」が定められて5年が経過しています。2020年6月には、パワハラ防止法も施行されました。
 この5年の間での取組を踏まえ、「中野区職場のハラスメントの防止に関する基本方針」の見直しが必要になっているのではないでしょうか。今後の具体的な取組と、その強化を展望し、酒井区長自らが「ハラスメントゼロ宣言」を行うことを求めます。見解をうかがいます。

 

2.学校給食費の無償化について

 

〇本来、学校給食費の無償化は国の制度として行うべきです。昨年の第3回定例会で中野区議会として全会一致で国に求める意見書を提出できたのは喜ばしいことです。
 教育行政研究所主宰の中村文夫氏によれば、学校給食は主に貧困対策として取組がされて、戦後においても法令的な根拠がなく、実態が先行するかたちで広がりました。学校給食法は、1954年にようやく成立。しかし、実態を後追いした法律であったため、学校給食は義務化されることなく、奨励法という位置付けにとどまりました。食材を保護者の負担とする学校給食の基本的な枠組みは、この時に定められたと言います。その後、2009年に施行された改正学校給食法においては、「食育」の観点が明確にされ、学校給食は保護者の負担を残したまま、教育活動の一環として位置付けられるようになりました。教材でもある食材を公費で仕入れることなく、保護者から徴収する費用で賄うという変則的なあり方が定着してきたのは、授業で使う他の教材にも保護者負担があることが影響していると指摘しています。
 しかし、自治体レベルでは無償化の動きが活発です。無償化を実施している自治体が、2014年には21でしたが、2022年時点で、全国で1割近い市区町村が学校給食を無償化し、一部補助している自治体を合わせると4割弱が独自の財政負担によって保護者負担を軽くしています。
 学校給食が食育として教育の一環である以上、学校給食費もまた、外食で支払う代金などとは違い、教育費に含まれると考えるべきです。
国が、学校給食法の第11条第2項の食材費等を「学校給食を受ける児童又は生徒の…保護者の負担とする」の規定を削除し、学校給食費の無償化を実施するよう特別区長会を通じて要望すべきではないですか。うかがいます。

 

〇昨年5月の葛飾区による23区初の学校給食の完全無償化の表明は、その後、他区においても広がりをみせています。来年度からの実施表明や予算化したところは、品川区、北区、中学校で足立区、今月に入って荒川区、続いて中央区、さらに来年1年に限り世田谷区、台東区と、次々と発表されています。国への要望にとどまらず、全国の自治体での広がりと、とくに23区内での実施の動きは、国の制度としての実現を早めることになると考えます。同時に、中野区においても実施検討を急ぐべきです。そこで、区が食材費を負担した場合にいくらの支出となるのか、うかがいます。

 

〇全国での少子化対策にとどまらない教育と子育て支援としての取組みの広がり、とりわけ23区での実施を区はどのようにとらえているのでしょうか。
 中野区では、議会で「他自治体の情報収集。区が負担すべき総額のほか、様々な影響を精査しながら、今後も研究を進めてまい(る)」と答弁しています。
区が負担すべき総額や様々な影響については、どのように継続的に実施を図るのかなど検討すべき課題ではありますが、実施による効果等についても研究と検討を行う必要があります。見解をうかがいます。

 

〇現在、中野区においては、就学援助を受けている児童・生徒の学校給食費は無償化されています。各区においても同様ではありますが、世田谷区のように学校給食の費目だけ基準を引き上げているところもあります。また、多子世帯において負担軽減や無償化を実施している区もあります。先に紹介した来年度に実施予定の複数の区では、これまで第2子は半額、第3子以降は無償化などの取組をおこなってきたところであり、今回、完全無償化へと大きく踏み出したと言えます。
 23区内において、これまでに実施してきた区があるのですから、中野区においても多子世帯への負担軽減及び無償化を前向きに検討することを求めます。

 

3.保育行政について

 

○保育所等での事故や虐待行為、不適切保育をめぐって、様々な報道がされています。こうした事故や行為があってはならないことは言うまでもありません。再発防止のためには、なぜ起きたのか、日常保育はどのような状況だったのか、なぜ防げなかったのか等、きちんとした検証がなされなければなりません。同時に、これら保育現場での事故や行為は、一部の保育園の問題として片付けられない構造的な問題として捉え、条件整備に向き合うことが必要です。
 全国知事会が、昨年の11月7日に、「子どもの健やかで安全・安心な育ちのための提言」を発表し、その中で、「…、子ども・子育て支援新制度の質の向上に向けた取組に掲げられている1歳児および4・5歳児の職員の配置基準の見直しを早期に実現すること」を求めています。
 昨年の議会で保育士等の配置基準の引き上げを国に求めることを質したところ、「国に対し、職員の配置基準の引き上げについて様々な機会を捉えて要望していく」との答弁がありました。その姿勢は大切ですが、特別区長会による「令和5年度国の施策及び予算に関する要望書」では、「保育士等の人材確保のための財政措置」として、「処遇改善に要する財源を確保すること」は要望されているものの、配置基準についての記述はありません。
特別区長会で保育士の配置基準についての改善を要望事項に取り入れるよう議題に付して、改めて国に求めるべきではないですか。うかがいます。

 

○認可保育所で、特に区立保育園で区独自の配置基準を持つことも必要です。
 中野区では1歳児クラスが、国基準が子ども6に対して保育士1のところ、5:1と保育士1人当たりの負担を減らしていますが、それ以外は国の基準と同じです。しかし、それでは実際の保育に影響を及ぼすために、加配をして保育にあたっています。 
 横浜市では1歳児クラスは4:1、2歳児も国や中野区は6;1ですが5:1に。3歳児も15:1、4・5歳児では30:1を24:1と保育士の負担を減らしています。23区内においても練馬区では、産休明けの乳児に対しては2対1の保育士を配置していると聞きます。
 認可保育所の運営においては、区立保育園の基準や実践がスタンダードとなり、私立の保育施設の基準や実践にも影響を与えることになります。
 区立保育園において、保育士の配置基準の改善を図るべきではないですか。うかがいます。

 

〇現在、私立保育園に対しては、区による補助金の支出により保育士の加配を行っていますが、私立保育園においても区の基準に準じた保育士等の配置ができるよう支援を図ることが必要です。そのためにも、現在、私立保育園間で生じている保育士等職員の処遇改善を図ることが欠かせないわけですが、保育所等を運営する事業所に「弾力運用」を認めているため、保育士等職員の処遇改善に活かされない事業所が散見されます。国がこの「弾力運用」を制度として認めている以上、区が指導・監督によって是正を図ることはできないとしています。しかしながら、放置していてよいはずがありません。
 私立保育園を運営する事業所は、決算等の報告が義務付けられています。保育士等の職員の人件費にどのくらいの公定価格や区の補助金が充てられているのか、公表することを検討すべきではないですか。うかがいます。

 

 

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