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議会報告
REPORT

03.09

2022年度一般会計予算に対する賛成討論:長沢和彦

2022年3月9日 長沢和彦

 ただいま上程されました、第7号議案 令和4年度中野区一般会計予算に対して、日本共産党議員団の立場から賛成討論を行います。

 本予算は、昨年9月の基本計画策定後、初めての予算編成により提案されたものです。同時に、区長は今定例会の所信表明で、2か月後に迫った区長選への出馬を表明したことで、来年度以降の区政についての舵取りを示すものであると理解します。
 1年前に制定した基本構想の実現に向けて、そこで掲げられ、且つ、SDGsで謳われた「誰一人取り残さない」という理念に基づく基本計画に則った予算であり、重点プロジェクトの推進を図ることからも賛成を表明するものです。
 
 賛成理由の第1に、重点プロジェクトの1つである「子育て先進区の実現」に向け、大きく踏み出す予算としたことです。
 本議会で上程される子どもの権利に関する条例に基づき、子どもに係るすべての施策・事業が、子どもを権利主体として権利の向上を図りつつ実施されていくことを期待します。子どもの貧困対策の推進として学習支援事業の拡充や子ども食堂の運営支援を拡充すること、教育相談体制の充実及び小中学校の校割予算の増額に加えて、中野の100冊及び新書購入費を新たに計上し、夏季休業中の学校図書室を開放しての見守りと読書活動等の実施を評価します。
 年度当初より児童相談所が開設、運営となります。総括質疑でも触れたように今般のコロナ禍で子ども虐待に係る通報・相談が増加しているだけに、いっそうの虐待の未然防止と早期発見・早期対応を図ることが求められます。
 保育園の待機児童解消は、認可保育所の整備により来年度はほぼ解消に向かう見込みです。同時に、認可保育所整備では地域による待機児童の差が生じており、また、育休制度が充実されたとは言え、年度を通年でみれば年度途中には待機児童が発生することにもなり、今後も認可保育所整備については注視していくことが求められます。それだけに、幼児クラスなど定員割れによって私立保育園運営においては減収となることは避けがたく、子ども・子育て新制度による現員数に応じた公定価格給付のあり方の見直しと、減収を補う措置を講ずることが求められていくことになります。
 児童館機能の拡充等として、乳幼児親子を対象とした日曜日の開放事業や全館の遊具のリニューアルを行うことにしています。新規事業としてプレーパーク活動団体等支援も始まります。
 中野区が子育て先進区の実現に向けて、しっかりと歩みを進めていただくことを要望します。

 第2に、地域包括ケア体制の構築をはじめとした、「すべての人にとって安心して住み続けることができるまち」を目指し、量・質をともなった包括的な支援の展開、取り組みの推進を図ろうとしている点です。
 区は、2020年度に1万人を対象とした暮らしの状況と意識に関する調査を実施し、「支援が必要な人ほど支援が届いていない」など、実態と課題把握に努めるとともに、アウトリーチ活動に注力してきました。新しく作成された中野区地域包括ケア総合アクションプランでは対象を全世代に広げ、アウトリーチ活動の推進をはじめ包括的な支援を図ろうとしていることは重要です。
 新規事業として、ひきこもり支援事業を社会福祉協議会と協働し、包括的に支援する体制を構築することにしています。すこやか福祉センターの5か所目の整備に着手することや妊産婦への支援体制の充実なども区民の願いに添うものです。
 また、予算では、新型コロナウイルス感染症対策についても引き続き取り組みを強化することにしています。オミクロン株による感染拡大が続くなかで、ワクチン接種体制やPCR検査の確保、区内病院での感染症患者の病床確保、及び自宅療養者支援や在宅要介護者や在宅障害者の受入体制整備事業、区内中小企業者等への資金調達支援などに引き続き取り組むことは評価できます。
 
 第3に、脱炭素社会や災害対策に貢献した予算となっています。
 環境負荷の課題については、高断熱建築物認証制度を見直し、新たに高断熱窓・ドア助成事業に転換することで省エネ推進が期待できます。
 木造住宅耐震化促進事業の対象範囲を区内全域に拡大しました。助成制度を活用して耐震化促進が図られることを望みます。同時に、本事業は築40年を超える木造住宅が対象であり、新基準の木造住宅への耐震診断及び耐震補強工事についても検討すべき時期に来ていると考えます。住宅確保が昨今大きな課題となっているもとで、セーフティネット専用住宅登録促進モデル事業を新規に実施します。改修費の一部助成が民間賃貸住宅のオーナーへのインセンティブとなり住宅確保要配慮者に利用されることが望まれますが、取り組みをしっかりと検証・分析されることを要望します。

 一方、予算規模の大きいのが中野駅周辺のまちづくり予算です。国と都の補助金や特別区交付金の財産費の積立と繰入により事業を進めてきています。中野駅新北口駅前エリアの開発事業については、区民・議会の意見がきちんと反映されるよう事業者との協議に臨むことが肝要です。また、囲町地域での組合施行による市街地再開発については、何より権利者の合意を大切にし、前のめりとなっている区の姿勢は改めるべきです。中野駅周辺の開発事業にあたっては、災害や環境への負荷についても検討を重ね、検討過程及び結果については情報を開示し、区民・議会と共有を図る必要があると考えます。
 また、西武新宿線連続立体交差事業については、複線シールドによる区内全線地下化の 可能性を調査するよう要望します。

 第4に平和・人権及び文化・芸術の推進に寄与するとともに、区民要求に応えた予算としたことです。
 憲法擁護・非核都市宣言から40周年を迎えます。今日、ロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにして、「戦争やめよ」と平和を切望する人々とともに、核兵器廃絶の願いが高揚するもとで、周年に相応しい事業が行われることを期待します。
 人権及び多様性を尊重するまちづくりに係る条例や多文化共生推進に係る方針が制定・策定されるとともに、文化芸術振興に係る基本方針の策定、及び国の名勝指定となった哲学堂公園の保存活用計画を策定することにしています。区民の関心の高い旧中野刑務所正門の修復・移築については、保存活用計画に基づき動き出すことも重要です。
 区民、とりわけ子育て世帯から常々要望がされていた公園改修については、公園整備計画に基づき、区立公園の整備等は今年度に比して4倍強の予算額となっています。統合型GISの構築に伴う電子データ化や道路維持補修工事の増額も多とするものです。
 区民と区内団体から強く要望されていた公契約条例については、本議会で上程されますが、この間、事業者へのアンケート実施や学習会の開催など、制度の理解促進と疑問解消等を図ってきたことは大切であり、歓迎するものです。区が締結する工事請負や業務委託の契約、及び指定管理協定等を公契約の対象とし、受注者における適正な労働条件の確保とともに、適正な履行及び品質の確保、並びに受注する機会が確保されることを期待します。

 他方、指摘すべき点について触れます。
 当初予算では一般会計の財政規模が区政史上最大となりました。本定例会でも繰り返し答弁されていたように、特別区民税と特別区交付金が「当初の見込よりも上振れとなった」と言います。特別区民税で言えば、年収200万円未満と700万円以上の区民が増加、200万円から700万円未満の区民は減少しています。コロナ禍によって貧富の格差が拡大している恐れがあります。国や都による主に事業にかかわる給付金を受け取った人の税や保険料が上昇し、都営住宅の退去勧告を受けた区民もいます。納税義務者数の増加が転入者だけでなく、どのような理由で、どういった影響を受けるのかを分析していくことが必要です。
 また、特別区交付金は初めて400億円を超えるものとなりました。特別区交付金が今年度に比して23.9%も増えたのは、今年度に当初予算額を厳しく見過ぎたことによるものです。区が示す基準となる一般財源規模687億円も、予算編成方針が出された際に決めています。その時期には、歳入の上振れ・好転の見込を予測することは難しかったかも知れませんが、庁内で固めるまでには修正・調整は図れたとも考えられます。予算編成方針とそれに基づく事業計画が、「財政は厳しかろう」との今年度同様の想定のもとで進められたことが要因です。結果、歳出では、年度当初から財政調整基金積立金に約115億円の積み増しを行うことになりました。一方、基本計画では予定していなかった社会福祉施設整備基金に6億円余を積立て、今後の児童館や区立保育園の改修に充てることにしたのは了とします。
 さらに歳出で言えば、長引くコロナ禍においては、区民の暮らしや生業、コミュニティを支える総合的な対策が求められます。何より、コロナ禍での区民生活と医療・介護・保育・教育など感染症拡大の影響をまともに受けている施設・分野への思い切った財政出動が欠かせなかったと考えます。
 なお、来年度についても区民サービス削減や新たな区民負担増を行わずに予算の編成と提案をされたことは重要です。酒井区長が、4年にわたって「区民に極力影響を及ぼさない」とし、予算を編成・提案されてきたことは高く評価いたします。
 
 以上を述べて、第7号議案への賛成討論とします。

 

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