ご意見
・ご相談
新型コロナウイルスに関するお知らせ

日本共産党中野区議会議員団

ご意見・ご相談

議会報告
REPORT

10.05

2021年 第3回定例会 本会議・一般質問 2021//10 小杉一男

 2021年第3回定例会本会議において日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問内容は通告通りです。2のその他の項で「小中学校でのコロナ対応について」を取り上げ、それ以外のその他の項はございません。

1.(初めに)区長の公約について(伺います)
 酒井区長になって3年。任期満了まで9カ月となりました。区長が公約に掲げた事項から3点について、意義と決意などについて伺います。初めに(2)を先に取り上げます。
■(まずは)(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について(です)
 子どもの権利擁護推進審議会の答申を踏まえ、区は条例の考え方(骨子)を所管委員会に報告しました。
 昨年12月から6月までの6回に及ぶ熱心な議論とともに、同委員会構成員による小中学校、高等学校などへの出前講座やアンケート聴取など、構成員の活躍をオンラインで拝見し、頭の下がる思いでした。
 同委員会の議論でも、同条例を理念として作っておしまいにするのではなく、子どもの権利を保障し続ける仕組みをいかに作れるのかなどが活発に議論されていました。
 次代を担う子どもたちが人格を形成させ、健全な大人になるために、すべての区民が最善の努力を行い続ける必要があります。私は一区民としてそういう自覚と責任を持たなければと感じました。
(伺います)区長は条例を制定するにあたって、子どもを含めた区民に対し、どのように呼びかけ、協力を求めますか。

 

 実効性ある相談・救済の仕組みを条例で整えることも指摘されています。私はこれらを評価いたします。子どもたちの生活におけるストレスフルな環境によって、いじめや虐待、不登校、自殺などさまざまな問題を解決させる一つの方途だと思います。他自治体の権利擁護委員のお話を伺っても、事業を定着せるためには大変な労力が必要ですが、これらはとても重要な取り組みと考えています。
(伺います)実効性ある相談・救済の仕組みについてはどのような仕組みを考えていますか。

 

 条例制定から21年が経過した川崎市ですが、制定当時には「子どもの権利と責任」について関心の的になったそうです。議論や審議の結果、「子どもは権利の主体者であることを前提にしたうえで、子どもは権利の学習や権利を実際に行使する中で権利を尊重する力や責任を身につけることができ、合わせて自分の権利と同様に他の者の権利を同時に尊重しあうこと」ができる。そうした視点が権利保障の取り組みでは欠かせないと条例制定時を振り返えられてます。川崎市の「子どもの権利に関する条例」は現在では国内外から関心を受け、参考とされる自治体の1つです。1つ1つのテーマについて、区や関係者、子どもたちを含めた区民らが議論し、考えながら、議論を制定していく必要があると考えます。
(伺います)他自治体の到達を踏まえ条例制定に取り組んでいますが、他自治他の活動にも学びながらどのように子ども施策を展開、推進させていくことを考えていますか。区長として決意を含めて伺います。
 この条例制定は子どもにかかわる諸問題を根本から解決させていく道になると期待して次の項に移ります。

 

 (次に)公契約条例について(です)
 公契約条例とは「自治体が、公契約を締結する際に、企業や団体に対し、自治体が定めた賃金額よりも高い賃金をそこで働く労働者に支払うことを義務付けるもの」です。労働者、使用者、学識経験者3者からなる審査会が賃金下限額を規定し、元請け責任を明示し、末端の下請け業者による労働者の賃金のサヤ抜きを規制するしくみです。
 今までの公契約市場では、財政効率優先主義の下で、下請け重層構造が作られ、末端の下請け企業は元請け企業から労働者の賃金保証ができない下請契約を押し付けられてきたこともあったようです。その結果、技能継承の断絶や雇用の不安定化、官製ワーキング・プアの増加など、弊害を生んできました。同条例制定によって雇用の安定化や公共事業の品質確保などが期待されています。
(伺います)公契約条例は、どのような目的をもって制定を目指すのでしょうか。

 

 区は今年度中の条例制定を目指し、昨年度アンケートを実施して関係団体からの意見聴取、また、先日は事業者向けの学習会の開催と意見交換会を実施しています。
 同条例制定に向けての課題は、①労働(賃金)台帳など作成にかかる事業者負担の軽減や②労働報酬下限額の設定に合わせた予算の確保、③条例の効果検証と周知とされています。
 ①については、理念的な条項にとどめるのであれば実効性が伴いません。事業者からの提出資料をいかに簡略化するのか工夫をすべきだと思います。②では不公正な歪みの是正を行うことを優先させたうえで予算の確保を行うべきです。③では関係者を含めた区民に周知をする中で制度への理解と協力を得られるようにすべきです。効果の検証も必要です。
(伺います)公契約条例制定に向け、いくつかの課題があると思いますが、区はこうした課題の解決を見通し、関係者から理解をどのように得ようと考えていますか。

 

 条例の実効性を担保させるには、どのような規定を盛り込むのかも重要です。条例が理念的な条項であれば実効性が伴いません。
(伺います)区は他自治体の到達を踏まえ、どのように条例の実効性を担保しようと考えているのでしょうか。
 同条例制定で、働く人たちの雇用の安定化や公共事業の品質向上につながることを期待して次の項に移ります。

 

■(続いて)木造住宅耐震改修助成について(です)
 8月末に危機管理・感染症対策調査特別委員会での学習会に、跡見学園女子大学の鍵屋一さんをお呼びしました。鍵屋さんは「地震災害のボトルネックは弱い木造住宅の耐震化と、木造住宅密集市街地への対策であり、住宅耐震化が一丁目一番地である」とおっしゃられていました。地震で家屋を倒し、圧死させないために、耐震化を促すことが必要だと思います。
(伺います)耐震化を促進させる意義について伺います。

 

 「区耐震改修促進計画」の改定を今年度に予定しています。住宅の耐震化目標は95%です。2014年時点で耐震化は84.6%に留まっています。
 木造住宅耐震改修助成制度として、耐震診断と補強工事、立替工事、除却工事があります。
(伺います)この制度を利用し、耐震改修工事がこの5年でどれほどの利用の実績がありましたか。また耐震化された住宅のうち制度を利用した割合はどれほどですか。

 

 補強工事が追加された2019年度から全体の件数が拡大しています。しかし、補強工事は残念ながら0件です。制度の対象が1981年5月以前の旧耐震基準の建物であるため、診断後に除却・立替と補強かを判断すると結果として建て替えする方が多かったということです。
(伺います)これらの要因とともに改善の方向についてどのように考えていますか。
 阪神大震災では支援をし、熊本地震では事後に視察に行きました。地震があっても家屋を倒さない。まずは区民の命を守る、それをどう実現するのかだと思います。区や都の力を借りながら、制度の拡充を行うことを求め、次の項に移ります。

 

2.(次に)新型コロナウイルス感染症への対策について(伺います)
■(まずは)自宅療養者への対応について(です)
  新型コロナウイルス感染症の拡大期「第5派」は7月下旬から現在までで、今までにない感染者が出ており、再拡大への懸念もあり油断を許さない状況です。中野区内においても、療養中の方が1日1500人を超え、そのうちの多くの方が自宅療養を強いられました。自宅療養中に重症化し死亡する事例も報道され、当事者はもちろん区民にとって不安が広がっています。
(伺います)現在ではどのような状況となっていますか。自宅療養者数や宿泊療養施設や入院施設の人数はどれほどになっていますか。

 

 私のところにも「息子が自宅療養している。何とかならないか」との問い合わせや、「宿泊療養できる場所を紹介してほしい」との問い合わせが寄せられました。感染者数の増加で保健所からの連絡が遅れ、感染者に情報提供が遅れたため、感染後の対処についてわからず混乱をされていました。私から緊急連絡先や食事の提供、訪問診療やかかりつけ医への電話再診など、伝えて何とか落ち着く場合もありました。
 杉並区は9月から3カ所の保健センター内に「自宅療養者支援ステーション」を設置しました。医師会や訪問看護ステーションと連携し、自宅療養者への訪問等による診療・看護等を行う体制を整備しました。私は杉並区が同ステーションを開設したとの報道を見て、中野区でも同様の取り組みをしているのに、区民にはまったく伝わっていなかったのではないかと感じました。自宅療養者への支援する仕組みがあることを区民にもっと知らせるべきであったのではないでしょうか。
(伺います)区民が安心できるよう、自宅療養者を支援する仕組みについて目に見えるようにしっかりと示していくことが、今後必要になるのでは。

 

 日々感染状況が変わる中で、都と区や医師会と委託事業者との役割分担が変わらざるを得ない状況であったと事後に伺いました。また保健所への応援体制も新規感染者数の増加に伴い、フェーズ5(応援体制強化)にステージが引き上げられました。全庁応援強化がされ、事務職や保健師が派遣されました。これらを超える感染者数の増加が予想され、フェーズ6のステージも部内では検討がされたと伺いました。
(伺います)今後、よりいっそうの感染拡大期が訪れる可能性があるため、区の対応体制などを想定しておくべきではないでしょうか。
 第5派での自宅療養者の増加や医療機関のひっ迫は今後も起こりうることだと思います。これからにつなげていただくことを期待して、次の項に移ります。

 

■(次に)ワクチン接種の推進について(です)
 接種計画では11月まで67%の想定接種率の達成を目指しています。現在、ワクチン接種を2回目完了した方の接種率がようやく5割に近づいています。しかし、ワクチンの納入は予定されたよりも、限られたものとなっており、希望者の多くの区民がワクチンを打ちたくても打てない状況にあります。
(伺います)国や都への要請や自治体間の連携などが考えられますが、区はどのようにしてワクチン接種計画にある想定接種率の目標を達成しようと見通していますか。

 

 医師会会館や区民活動センター15か所で行われてきた集団接種は9月末をもって終了します。まだまだワクチン接種の目標達成が見通せていません。
(伺います)区民活動センターなどで実施する集団接種は当面の間、実施期間を延長すべきではないでしょうか。

 

 6月、70歳以上の高齢者に対してワクチン接種予約の支援によって、架電により242人が接種につながりました。勧奨はがきも2万2000通送付しました。これはワクチン接種に関わる格差是正の大切な取り組みであり評価いたします。
 その一方で、高齢者の2.5%程度の方が1回目接種で終わっており、2回目接種までたどり着けていません。介護サービス事業所連絡会との懇談の中でも、「接種券に限らず、紛失してしまう方への書類再交付の際、ケアマネジャー宛に交付していただきたい」との要望が寄せられるなど、認知症など何らかの理由で2回目接種につながっていません。
 (伺います)ケアマネジャーなど本人の同意が確認できた場合には接種券を代理の方に送付するなど柔軟に対応していただきたいが、いかがでしょうか。

 

 新型コロナウイルスのワクチン接種は個々人の感染予防に効果があり、接種者が一定数を超えると集団免疫の効果もあります。その一方で、ワクチンへの反作用とアナフィラキシーショックへの不安によって接種を拒む方も多くおられます。任意接種であるが、情報がしっかりと伝わらず、ゆがめられる傾向があると感じました。
 医療団体からは、ワクチン接種時に健康診断と混同して通常服用している降圧薬や心不全薬、ぜんそく薬などを休薬、退薬して会場に来る事例なども報告されていいます。
(伺います)ワクチンへの正確な情報を区としても周知しつつ、必要な情報を適宜提供していくことが今後も必要と思われるがいかがでしょうか。

 

 ワクチン接種予約申し込みのコールセンターへはつながりにくく、つながってもその時には予約枠がない状態も多いと聞きます。そして、ナビダイヤルであるため、長時間待たされた上で、電話代を支払うことになります。他自治体の中には無料のフリーダイヤルとしているところもあります。
(伺います)区においてもフリーダイヤルにし、区民の負担を軽減させるべきではないでしょうか。
 ワクチンの確保は区としても苦労している問題です。新たな手立ての実施にも期待して、次の項に移ります。

 

■(次に)検査の拡充について(です)
 我が党は、感染を終息させるためには無症状者も含めた検査の徹底が重要であることを指摘し、昨年から一貫してPCR検査の拡充を求めてまいりました。ようやく少しずつですが、検査は拡充されてきています。
東京都においては、居住系施設の職員に対して週1回のPCR検査を実施するまでになってきています。日本財団が訪問・通所系事業所の職員に対し、無料PCR検査を8月31日までのものを10月末までに延期をしました。
(伺います)その後どうするのか、区として実施を検討すべきではないでしょうか。

 

 ある介護サービス事業者から「うちの事業所は職員に対しPCR検査を行わない。それはもし陽性者が発見されれば濃厚接触者が出て事業が継続できないから」と伺いました。感染者を把握、保護するための検査なのに、陽性者が出たら事業が継続できないから検査をしないというのは本末転倒です。
 前年度、補正予算で実施をした「在宅要介護者受入体制整備事業」というものがありました。在宅で要介護者(高齢者・障害者)を介護している家族等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に、要介護者が住み慣れた地域での生活を継続し、感染した家族等が安心して療養に専念できるよう、ヘルパーを派遣する事業でした。しかし、実績がなかったものです。この対象を一定の介護サービス事業所にまで拡大させることで、事業所で陽性者や濃厚接触者が出ても、代替ヘルパーを派遣し、事業を安心して継続させることができます。
(伺います)ぜひ区は「在宅要介護者受入体制整備事業」の対象を拡大させて、実施することを検討すべきではないでしょうか。

 

 区市町村立の小中学校に対して、国からの抗原キットや、東京都からのPCR検査キットの支援が示されています。従来の国の濃厚接触者の定義を超えて、例えば墨田区では「念のためPCR」を実施するなど、子どもの命を守る取り組みを行っています。無症状感染者がいたり、陽性者が確定するまで時間がかかったりするため、濃厚接触者を狭くみずに、陽性者と非陽性者の峻別をしていく必要があると考えます。
(伺います)区立の幼小中学校にPCR検査キットを配備し、濃厚接触者を狭くみず、実態に応じ、学級・学年・学校全体など柔軟で対象者を拡大したPCR検査を行うべきではないでしょうか。また、無症状感染者からの感染を防ぐために、できるだけ頻回に自宅で行える迅速検査の体制を整えるべきではないでしょうか。

 

 今年の第二回定例会で、羽鳥区議が、無症状の感染者からの感染拡大を防ぐ目的で行う大規模な検査について区の認識と無料で検査を受けられる体制について伺うと、国は基本的対処方針において、無症状の方へのモニタリング検査の必要性を指摘しており、「区としては、流行状況を踏まえて、国や都と連携しながら実施について検討していく」と答えています。
 杉並区では若年層に感染が広がっている傾向にあることから、街頭にて陽性発生割合の高い若年層(30歳代以下)を中心とした無症状者を対象にPCR検査バスを使ったモニタリング検査を実施しています。結果は陽性率が4月は0.9%、7月は1.5%と、無症状者を洗い出しました。
 (伺います)無症状の方へのモニタリング検査の実施について検討を行ったのでしょうか。行ったのならばその内容はどのようなものでしょうか。
 現在の国の考えの中でどうしたらいいのか、区としても悩みながら実施をされているのだと思いますが、区民の命をどう守るのかが第一です。そうした視点で改めて検討いただくことを期待して、次の項に移ります。

 

■(加えて)その他として小中学校でのコロナ対応について(です)
 従来株より格段に感染力が強いとされる新型コロナウイルスのデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況を大きく変えましました。これまで感染しにくいとされてきた子どもへの感染が区内でも顕著に増えています。こうした状況で全国の学校が夏休み明けを迎えました。「このまま学校を開けて大丈夫か」「子どもが感染し家庭内に感染が広がることが心配」「授業の持ち方など工夫できないか」などの不安が広がっています。オンライン授業の実施については各学校で対応が異なっているとも伺っています。
(伺います)登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応することができないでしょうか。加えて教育委員会として、こうした学校や学級の対応をしっかり把握し、必要な支援を行うべきではないでしょうか。

 

 昨年から、区は学校での対面学習と家庭でのオンラインを活用した個別学習を融合した「ニューノーマルの学習モデル」を進めてきました。区では学校でのインターネット環境の整備が次年度になったことから、オンライン授業の活用は部分的に留まっています。
(伺います)教育委員会として、ICT機器を活用した「学習モデル」の到達として、学校での活用の状況とともに、家庭でのWi-Fi環境の整備と活用状況について学校任せとせず、把握しながら前に進めていくべきではないでしょうか。

 

  「ニューノーマルの学習モデル」という理念の具体化について、区民とも共有しながら進めていくことを期待して、次の項に移ります。

 

3.(続いて)子ども子育て施策について(伺います)
■(まずは)児童相談所の開設準備について(です)
 2022年4月に中野区の児童相談所が設置される予定です。あと半年あまりと迫っています。
 虐待のケースが増加する中で、児童相談所の児童福祉司が専門性を保ちながら適切な運営が求められています。中野区で児童相談所を設置することで関係機関同士がネットワークを通してつながり、地域環境の実情に即した支援計画の立案、実施を進めていく上でとても重要です。地域資源を十分に活用した取り組みや迅速な対応も求められています。
(伺います)地域の中でどのような取り組みを行い、子どもの命を迅速に救うことにつなげようと考えていますか。

 

 1年前に安定的な職員体制について取り上げました。現在、児童福祉司を25人、児童心理司を13人確保し、そのうち、5年以上の経験である児童福祉司スーパーバイザー5人の配置を計画しています。
 定期的に他区の児童相談所と人事交流を行い、経験と専門性を積む仕組みづくりを提案し、「開設後の人事交流についても可能かどうか、今後検討してまいりたい」と返答いただきました。福祉職の人材育成プランなどもあるそうですが、長く働き続けられる環境を整えていく必要があると思います。
(伺います)開設後の人事交流についてはどのようなことを検討してきていますか。

 

 中野区に設置する一時保護所定員は12名で小規模な施設です。その特性を生かし、児童に寄り添った支援を行っていく必要があります。
 18年に厚労省が示した一時保護ガイドラインでは、一時保護所の閉鎖的環境を指摘し、学校に通学できないため、入所している子どもたちの学習権保障を求めています。在籍校と密接な連携を図り、どのような学習を展開することが有効か協議するとともに、取り組むべき学習内容や教材などを送付してもらうなど、創意エ夫をした学習を展開する必要があるとされています。
(伺います)在籍校や教育委員会との連携については具体的に検討をしてきているそうですが、検討状況はどのようになっていますか。

 

 児童相談所を含めた子ども若者総合センターの開設によって、子どもが心身ともに健やかに育つ環境がいっそう整備されていくことを期待して次の項に移ります。

 

■(次に)少人数学級の推進について(です)
 政府は「個別最適な学びと協働的な学びを実現することが必要であることから」小学校の学級編成の標準、いわゆる少人数学級を40人から35人に今年度、小学2年生から段階的に引き下げました。中野区では来年4月から、小学3年生から実施予定です。
 区民が少人数学級制に期待するのは、学級の人数が減ることによる教育指導の効果と思われます。新型コロナウイルス対策のための休校から学校を再開した際、学校で行われた「分散登校」は一時的で特別な措置でしたが、20人以下学級の大規模な社会実験となりました。そこでは「発言や活躍の機会が増えた」「じっくり話が聞いてもらえた」「大声を出さなくても過ごせた」などの声が上がり、長年、求められてきた少人数学級の運動と結びつき、政府・文科省を動かしました。
 感染対策のための「密」回避に留まらず、学習指導要領で掲げる「主体的・対話的で深い学び」を実際に広げていくことと少人数学級の方向性は合致しています。「対話的な学び」では、「40人学級では1人1分話せば授業が終わる。5人グループに分けても1グループ3分発表すれば24分。討論は15分となる」との指摘もあります。「ICT化」で効率化が図られる一方で、いじめ認知や不登校、自殺などの増加など指導上の諸問題もあります。
(伺います)少人数学級の推進に当たってその意義と必要性について、どのように考えていますか。

 

 学校教育法施行規則によると、学校規模の標準は小中学校で12学級以上18学級以上とされ、中野区においても、12年間、区立小中学校再編計画が実施されてきました。35人学級が実施されることで、学級数が増加することになります。
(伺います)今年5月時点の児童数と学級数から見て、新年度の新小3年生は40人学級の場合と比べ何クラス増える見込みですか。新4~6年生でも2~3割が現時点で35人を超えています。普通教室を確保するために教室等の改修や増設についてどのように見通していますか。

 

 現在東京都では国庫加配は2019年で1408人活用されています。そのうち、小学2年生の少人数学級で329人活用しています。「義務標準法」改正法案の付帯決議では「必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源によって措置すること」と付されています。
(伺います)習熟別指導や少人数指導、チーム・テーチングなどの加配定数では必要な教職員定数を引き続き確保されていますか。

 

 現在、学級数と教員数は義務標準法で規定されている標準定数により決まっています。一定規模以上でないと学級担任教員以外の教員が確保できないゆがんだ仕組みとなっています。教職員の安定的な確保のためには、中長期的な教職員定数改善計画を立てる必要があります。そうして初めて計画的に教職員の養成を行い、正規採用を増やし、待遇を改善し、施設を準備することができます。
(伺います)教職員を増やし、教育予算を増やすことはもちろんのこと、標準定数を見直すよう、国に要望し、義務標準法などの改定とともに、教職員定数改善計画を立てることを求めるべきではないでしょうか。
 少人数学級の実施は評価しますが、小中学校を再編してきた経緯を振り返ると、区民として釈然としません。今までの経緯をしっかり検証する視点も大切と考えます。そして着実に子どもが学ぶ環境が良くなることを期待して、次の項に移ります。

 

■(続いて)自殺予防対策について(です)
 コロナ禍の中で、児童・生徒の自殺・自死が増えています。昨年1年間に自ら命を絶った児童・生徒の人数は499人。特に女子中高生の自殺者は1.7倍と増加しました。前年比で増加しているのは学校の一斉休業、夏季休業の短縮、中止となった学校行事の時期と重なっています。文科省は「家庭内の緊張が高まり、文字通り一触即発の状況では、苛立ちの矛先はともすれば子どもに向かいやすい」と記しました。
 文科省は6月、学校として、保護者、地域住民、関係機関等と連携の上、長期休業の開始前から長期休業明けにおける児童生徒の自殺予防に向けた取組を積極的に実施するよう通知しました。取り組みの内容として、学校における早期発見に向けた取組、保護者に対する家庭における見守りの促進、学校内外における集中的な見守り活動、ネットパトロールの強化が示されました。
(伺います)区では具体的にはどのような取り組みを行っていますか。

 

  早期発見の取り組みでは、「学校が把握した悩みや困難を抱える児童生徒や、いじめを受けた又は不登校となっている児童生徒等については、長期休業期間中においても、全校(学年)登校日、部活動等の機会を捉え、又は保護者への連絡、家庭訪問等により、継続的に様子を確認すること」とされています。
(伺います)長期休業期間中において継続的に様子を確認されたのでしょうか。不登校のご家庭からは学校からは連絡がこないとの不満も寄せられていますが。

 

 そして、「長期休業の終了前においては、当該児童生徒の心身の状況の変化の有無について注意し、児童生徒に自殺を企図する兆候がみられた場合には、特定の教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応すること」と留意するよう求めています。
区では中学生徒3000人が自分のICT端末に、SNS「ストップ・イット」を7月にインストールし、その利用の説明を受けました。
(伺います)相談件数は延べ何件寄せられ、どのような相談があったのでしょうか。また緊急対応が必要な相談は何件で、どのような対応をされましたか。

 

 委託事業者がサイトを管理し、毎日教育委員会に報告がされ、指導主事らが必要に応じて学校にも伝える対応をされています。事業者が日常的に相談の対応をして、相談申し出者ごとにリスクレベルを低中高と判定しているそうです。今年度はまだ「低」のレベルのみだそうですが、「中」や「高」になれば、夜間休日でも教育委員会に連絡が入り対応される仕組みになっています。
 7月以降の相談事例の中で事業者が「低」のレベルであったが教育委員会の指導主査や教員に直接連絡する事例もあったそうです。文科省の通知では「特定の教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応」することになっています。
(伺います)学級担当教員だけで済ませずに事例の評価や検証も含め教職員集団で検討し対処ができているのでしょうか。
 SNS「ストップ・イット」は匿名性が低いため、限界があることを認識するべきです。教育委員会等が実施するネットパトロールについては、長期休業明けの前後に集中的に実施することが示されています。都が事業者に委託して実施しており、こちらも随時連絡が来る仕組みとなっています。
(伺います)ネットパトロールの取り組みの状況はいかがでしょうか。
 こうした自殺予防の取り組みがいっそう勧められ、結果として子どもたちの命が守られることを期待して、私からのすべての質問を終えます。

TOP