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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

03.11

3月11日 2021年度一般会計予算・国民健康保険事業特別会計予算・介護保険事業特別会計予算 賛成討論:羽鳥だいすけ

2021年度「中野区一般会計予算」「中野区国民健康保険事業特別会計予算」「中野区介護保険特別会計予算」に対する賛成討論

2021/3/11

 

 討論に先立ち、本日発生からちょうど10年となりました東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に関連して亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、いまだに行方知らずとなっている方々、被災されたみなさまにお見舞いを申し上げます。発災から10年が経ちましたが、いまだ復興は道半ばであり、特に原発事故収束は程遠く、その影響は計り知れません。この震災と原発事故から一つでも多くの教訓を導き出し、首都直下地震の際に区民のくらし・命をより多く守れるようにすることが中野区に暮らす私たちの責務であると感じています。

 

 日本共産党議員団を代表して、第6号議案令和3年度中野区一般会計予算、第8号議案令和3年度中野区国民健康保険事業特別会計予算、及び第10号議案令和3年度中野区介護保険特別会計予算について賛成の立場で討論を行います。

 

 令和3年度一般会計は前年度当初に比べ、4億1800万円、0.3%増の歳入歳出総額1472億4100万円となりました。新型コロナウイルス禍による暮らし・経済への影響に中野区としてどう向き合うかが問われていました。
歳出の全体についていえば、昨年の第3回定例会で各部局に対する20%の歳出削減目標が依命通達で出されたことに対し、わが会派はコロナ禍にあって必要な区民サービスが削られることのないよう、今こそ財政調整基金を積極的に活用し、区民生活を守る役割を果たすよう求めてきました。今回、区は事業や内部業務の見直しを行うことで経常経費の削減に努めたと同時に、必要な区民サービスを維持するために財政調整基金からの繰り入れも積極的に行ったものと評価いたします。

 

 コロナ対策の観点からは、区は今年度すでに10次にわたる補正予算を組んできました。その中で区は、区医師会の協力を得てのPCR検査センターの設置、介護施設・障害者施設・保育園・幼稚園、学童クラブや児童館、学校に対する感染症対策経費の支給、自宅療養セットのお届けなど、独自の対策を行ってきました。そうした中身を来年度も引き続き計上していることを評価いたします。
 コロナ禍においてわが会派は国保料や区税の徴収において、区民の個別の状況を見て、必要があれば区の事業につないでいく丁寧な対応を求めてきました。そうした中で区は今年度、SMSによる納付案内・納付相談を始めました。短い文面の中から相談につなげられるよう苦労されたとのことですが、相談も増加する中でそういった取り組みも行い、収入率も上昇したという大変示唆に富む結果になったと考えます。今年度、特別区長会調査研究機構に区は「債権管理業務における生活困窮者支援・外国人対応」を調査研究テーマとして提案しており、報告がまとめられることになっています。来年度予算においてはそれに基づいた研修費が増額されており、区民一人ひとりに寄り添った対応が充実されていくことを期待いたします。

 

 来年度はコロナウイルス対策においてワクチン接種が本格化していくことが想定されますが、当初より時期的な遅れが生じていることなどが懸念されています。円滑な実施と区民の不安に応える積極的な情報発信を求めます。同時に、ワクチンによる感染予防効果が明らかになっていないこと、効果が長期にわたって続くか分かっていないこと、変異株に対する効果が明らかでないことなど、ワクチンは未知の問題を抱えています。またワクチン接種が始まっても社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかるというのが、専門家の一致した見解です。従って「ワクチン頼み」になって、感染対策の基本的取り組みがおろそかになったら、大きな失敗に陥ることになります。わが会派がこの間、繰り返し求めてきた無症状感染者を含めた検査の抜本的拡充などの感染対策の基本的取り組みをワクチン接種と同時並行でしっかり行うことを求めます。
 区長の公約である「子育て先進区」の取り組みについて、区長は施政方針説明において「貧困の連鎖を断ち切るという『未来』を見据えた視点とともに、現在困難を抱えている子どもへの対応を早急に進めるという『今』を大切にした視点が重要になります」と述べました。来年度は児童相談所の設置を控えています。他区や都との連携をしっかりと行い、職員が継続的に確保されるよう専門職の確保・研修に力を入れるよう対策を求めます。子どもの権利条例に係る取り組みも重要です。条例の制定は区のこれからの子ども施策の根幹になるものです。来年度に出される審議会答申を力に意見表明権を含めた子供を権利の主体として扱う条例案の提案を要望いたします。また、就学援助基準を現行の1.15倍から1.3倍に拡充するとしたことも子どもの貧困対策を考える上で非常に重要です。引き続き費目の拡充を行うことと、さらなる支援策の拡充を要望いたします。

 

 そのほかにも旧中野刑務所正門の保存・活用とともに文化財指定の方針を明確に示したこと、男女共同参画・多文化共生推進条例制定の方向を示したこと、蓄電システム導入の設備助成など、区政を前に進める様々な施策を評価し、第6号議案について賛成いたします。
 その上で一般会計予算について何点か指摘させていただきます。

 

 まずは生活保護行政について2点述べます。「高齢者居宅介護支援事業」は実態としてケースワーク業務そのものが委託されていることが明らかとなり、これは生活保護法及び社会福祉法に照らし、違法の疑いが極めて濃厚です。数々の資料はそのことを区が認識しながら、職員2000人態勢を実現するために推進していたことを物語っています。また、この現場で働く委託専門員は極度の低賃金に置かれている可能性も考えられます。早急に現状を調査し、打開に足を踏み出すことを要望いたします。もう一点は生活援護課の新庁舎外への移転の問題です。利用者のプライバシーと他部署との連携の側面から問題があることを指摘いたしました。計画では、現在の教育センター建物などに生活援護窓口が長期間にわたり単独で設置されることになります。改めて見直しを要望いたします。
 もう一点は区役所・サンプラザ跡地における再開発についてです。区は民間事業者募集の選定結果を発表し、野村不動産を中心とするグループと基本協定を締結することを表明しました。同事業においては中野駅前という一等地の区民財産をどのように活用するかの方針が明らかになっていません。協定の締結前に、区民への丁寧な説明とともに、意見交換の場を設けることを要望いたします。

 

 続いて、第8号議案国民健康保険事業特別会計予算についてです。わが会派はコロナ禍でますます苦しくなる区民生活を鑑み、来年度の国民健康保険料を引き下げることともに、子どもの均等割保険料の軽減措置の実施を求めてきました。しかしそうした政策は実施されず、本予算の前提となる来年度の一人当たり国民健康保険料は今年度より4129円の増となっています。区は区民が置かれている実態をよく見て、保険料の引き下げに足を踏み出すよう重ねて要望をいたします。同時に、今回の保険料算定にあたっては激変緩和期間である赤字解消計画の期間をこれまでの9年間から12年間に3年間延長しました。区は目標収納率と決算収納率の乖離を理由に挙げており、実態に合わせた柔軟な対応であったと評価いたします。そのことによって、一人当たり保険料は増加するものの、増額となるのは介護分を納入する世帯となり、それ以外の世帯は減額となります。そうした中身を考慮し賛成することとします。

 

 最後に、第10号議案介護保険特別会計予算についてです。来年度は第8期介護保険事業計画の開始年であり、介護保険料も改定されます。これまで区は多くの年度で介護給付費準備基金を積み増し、その総額は約28億円にまで積みあがっています。わが会派はこうした積み上がるばかりの基金を今こそ活用し、保険料の引き下げに足を踏み出すことを求めてきました。そうした中、区は基金を約10億6000万円活用し、第8期の介護保険料は今期と同じ額となっています。保険料を据え置いたことは初めてであり、区の姿勢を評価し、賛成をいたします。同時にこの間、区が計画してきた介護基盤整備が進んでいないことを指摘し、区が用地の洗い出しを行い、責任をもって着実に整備が行われるよう要望いたします。

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