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新型コロナウイルスに関するお知らせ

日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

02.19

2021年 第1回定例会 本会議・一般質問 2020/2/17 羽鳥だいすけ

1.区長の政治姿勢について

 

(1)施政方針説明について
 一昨日行われた施政方針説明では、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する下で、どのような区政運営を行っていくのか、重要な方向が示されたと思っています。特に区長が重視している「子育て先進区」の実現の項目では、「生まれ育った環境に左右されることない地域社会を実現するため、セーフティネットの強化を図ってまいります」「貧困の連鎖を断ち切るという『未来』を見据えた視点とともに、現在困難を抱えている子どもへの対応を早急に進めるという『今』を大切にした視点が重要になります」など、来年度に区長が何をしたいのか、という思いが伝わってきたように思います。また地域包括ケア体制の実現についても、「地域の中で孤立している区民や、心身・生活上の課題を抱えながらも、様々な理由により自ら声を上げる事が出来ずにいる区民を把握していくことの困難さも現場から上がってきています」と述べ、地域包括ケア体制の実現のために区として重視したい方向が示されたと思います。「誰一人取り残さない」区政実現のために、具体的かつ積極的な施策展開を要望いたします。
 施政方針説明において「令和3年度予算編成において、極力区民サービスを低下させないよう配慮しながら事業や内部業務などの見直しを行いました」と述べ、こうした認識で予算編成に臨んだことも重要だと考えます。
 消費税増税に続く新型コロナウイルス感染症の拡大で区民生活も疲弊しています。わが会派が昨年実施した区民アンケートには4628名の方にご協力いただきました。その中で、この1年のくらし向きについて伺いました。約半数の方が「悪くなった」と回答しており、その理由は1位が給与、2位が消費税でした。
Q1.今後、コロナ禍でますます苦しくなる区民の苦難軽減のため、必要に応じて積極的に基金も活用し、財政出動していく必要があると考えますが、区長の見解をお尋ねします。
A.

 

 中野駅新北口地区のサンプラザ跡施設についてお尋ねします。先日の議会で施設概要が報告されました。235メートルにもなる超高層ビルと最大収容人数7000人にもなるアリーナなどからなるものです。区は今後、施行予定者候補との基本協定締結に移るとしています。しかし、施行するにあたって区側の考えが十分に煮詰まったものになったと言えるでしょうか。中野区区有施設整備計画(素案たたき台)にも「権利変換により保有資産については、今後の計画・調整の過程で公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、権利床の民間事業者への貸付や土地のみでの所有も視野に入れて検討します」と書かれているだけで、区としてこの区の財産をどのように活用したいのか不透明です。区の態度が決まらないうちに基本協定締結などという事になったら、民間事業者の都合に振り回されてしまう事は想像に難くありません。
Q2.基本協定の締結は、区としての資産活用方針をしっかりと定めた上で臨むべきではありませんか。見解をお尋ねします。
A.

 

(2)新型コロナ感染症対策について
 まずPCR検査の拡充についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えるには、無症状者も含めたPCR検査の積極的な拡充こそ必要不可欠という、我が党が昨年から一貫して訴えてきた方針の重要性がいよいよ明らかになっています。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「検査の文脈でいうと(宣言を)解除した後の都道府県で最も大事なこと」として「感染のリスクの高いところを中心に、無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンド(再拡大)を防ぐ」ことだと述べました。尾身氏は続けて「リバウンドを防ぐためには、感染源を早く予兆(する)、隠れたものを早く予兆すると同時に、それによって感染の経緯がしっかりとモニターできる」と発言しました。
 この間、東京都の新規感染者は減少傾向にありますが、同時に接触歴等不明者の割合も減少傾向です。感染が急拡大する下で接触者追跡が行えず、無症状の感染者を見逃しているのではないでしょうか。感染者の減少に伴ってPCR検査件数が減っていることはさらに重大な問題です。この1年間を見ても新規感染者数が減少した時に検査件数も減らしてしまい、感染抑え込みを図らなかったことが第2波、第3波を招いてしまったことは明らかではないでしょうか。
 全国の自治体では今、無症状者も含めたPCR検査の実施事例が広がってきています。都内でも世田谷区や墨田区、葛飾区、羽村市などでは高齢者施設や介護施設での社会的検査の実施、もしくは費用の補助が行われています。中野区感染症発生動向調査週報においても施設内感染が発生していることが記されています。感染拡大を抑えるにはこれまでも再三指摘してきたように、無症状者を含む感染者の早期発見と早期保護・対応が不可欠です。国もようやく社会的検査の実施に足を踏み出し始めています。厚生労働省は2月4日、高齢者施設でのPCR検査の計画を出して検査を3月中に終え、実施状況を報告するように求める通知を出しました。東京都は都内の高齢者施設や障害者施設にアンケートを行い、希望する施設にPCR検査を行う計画を出しましたが、1回の検査ではクラスターの発生は防げません。施設におけるクラスター発生を防ぐためにも、定期的なPCR検査は欠かせません。新型コロナは発症2日前から、感染を拡大させることが分かっており、クラスター発生を完全に防ぐためには週2回のPCR検査を行う必要があります。
Q3.区は高齢者施設や介護施設、保育施設、医療機関の職員が定期的にPCR検査を受けられる体制を構築すべきです。見解をお答えください。
A.

 

 また全国では、大阪府泉佐野市が65歳以上の高齢者を対象とした無料のPCR検査を実施します。千葉県松戸市では全市民を対象としたPCR検査への補助事業を行います。那須塩原市ではプール方式を用いて1人200円でPCR検査を行えるようにしています。昨日は千代田区もPCR検査費用補助を4月から始めると発表しました。先ほど紹介した区民アンケートにおいてPCR検査への拡充についての設問では、希望する区民はいつでも受けられるようにするが76.2%、濃厚接触者だけでなく接書があった人まで行うが12.5%と、9割近くの区民がPCR検査の拡充を求めています。
Q4.区民に対しても、安価もしくは無料でPCR検査を受けられる体制を構築すべきではないでしょうか。
A.

 

 また、この提案を実施した場合、無症状の陽性者が増加し、ホテル療養や自宅療養が増えることが想定されます。今全国で自宅療養中に死亡するコロナ患者が相次いでいます。1月29日付東京新聞では自覚症状がないまま血中酸素飽和度が下がる「ハッピー・ハイポキシア」という状態になり、無症状や軽症だと思い込み、本人が気づかないまま重篤になっている可能性を指摘しています。この間、自宅療養中に亡くなる方が相次いでいると報道されています。私の知人にもコロナに罹患した方がいて、療養や後遺症のつらさ・不安を語ってくれています。区は自宅療養者に対しては1日1回の電話による経過観察を行っていますが、これでは容態の急変を見逃す恐れがあります。こうした事態を防ぐのに有効なのがパルスオキシメーターです。中野区は現在、東京都から貸与された分も含めて180台を所有していますが、パルスオキシメーターを貸し出しているのは自宅療養者のうち高齢者や基礎疾患がある方など一部にとどまっているとのことです。江戸川区では1000台を導入し、自宅療養者全員にパルスオキシメーターを貸し出しています。
Q5.重症化リスクをいち早く察知するためにもこうした取り組みが必要ではないでしょうか。区の見解をお尋ねします。
A.

 

 また、自宅療養者が多くなれば、経過観察のための人員が必要となります。濃厚接触者の追跡調査は保健師がやらなければなりません。人員体制の強化は区としても課題だと認識していると思いますが、現状では保健師や看護師を募集しても人が集まらないと聞いています。「保健所の体制が強化できないから、検査の拡充に足を踏み出せない」という事になってしまってはいないでしょうか。経過観察は現在、事務の職員も行っています。
Q6.経過観察要員としての強化を含む体制の拡充が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。
A.

 

 PCR検査を行い、陽性になれば、2週間の自宅待機期間が生じます。正社員ならば、その間の給料はある程度保障されますが、自営業者やフリーランスなどの方は感染が収入減に直結してしまいます。そうなれば、当面の暮らしのために、体調が悪くとも仕事をするということに繋がりかねません。陽性になった方はしっかりと休める体制づくりが必要ではないのでしょうか。国民健康保険における傷病手当金・見舞金の事業者への支給は昨年取り上げた時点よりもさらに広がり、傷病手当金は5市2町、傷病見舞金は10市2町が行っています。
Q7.中野区においても改めて対象を事業者やフリーランスなど給与所得者以外にも拡大するよう求めます。答弁を求めます。
A.

 

 続いて医療機関への支援をお尋ねします。区はPCR検査センターと協力して行政検査を受け入れる医療機関30カ所に対して、50万円の補助金を支給しています。区内でこの補助金を受け取っている診療所の方からは「マスクなどの現物支援と合わせて、助かっている」とお話を伺いました。同時に今、医療現場の方が不安に思っていることは「もしコロナが発生してしまった時には、その現場の責任にされてしまっている」という事だと伺いました。ひとたび感染が確認されれば、診療は止めざるをえません。小さな診療所はそのことが経営に大きな影響となることは想像に難くありません。杉並区ではPCR検査を実施する医療機関が従事者の感染等でやむを得ず休業した場合、業務再開又は縮小による経営継続に必要な経費を助成する事業を行っています。
Q8.中野区でも同様の取り組みを検討してはどうでしょうか。
A.

 

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関連してお尋ねします。
 新型コロナウイルス感染拡大を抑える「切り札」として期待されているワクチンですが、1月に世界15か国で行われた世論調査において、日本はワクチン接種意欲が最低だったと報じられています。そこには政府の新型コロナ対応への不信感もあれば、「1年でワクチン開発ができるのか」といった技術に対する不安など複雑な要因が組み合わさっていると感じます。2月8日付朝日新聞「科学の扉 ワクチン短期開発のわけ」という記事を読み、私自身、今回の1年という超短期でのワクチン開発に数十年の科学の成果が詰め込まれていることを初めて知りました。
 ワクチン接種を順調に進めるためには、体制を整えることともに、区民の不安な思いに応える周知が極めて重要と考えます。また同時に、ワクチンを接種したからといってウイルスに感染しないかは明らかになっていません。しかし一般には、「ワクチンを打ったからもう安心」という心情も生まれうると思います。周知においては、併せてこうした事態に対する注意喚起も十分に行う必要があると考えます。
Q9.区はどのような周知を考えているのでしょうか。お答えください
A.

 

(3)基本計画・施設整備計画について
 続いて、中野区基本計画・中野区区有施設整備計画についてお尋ねします。
 まず基本計画についてですが、先日委員会報告された基本計画(素案たたき台)の重点プロジェクトにおいて、脱炭素が盛り込まれたことに安どしています。世界で「気候変動対策にとって勝負の10年」と言われている時に、重点プロジェクトに入っていないのでは認識が疑われてしまいます。しかし私は、「「活力ある持続可能なまちの実現」という重点プロジェクトの中に「脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりを展開します」という項目で設けている記述の仕方には疑問があります。「グリーン・リカバリー」という言葉をご存じでしょうか。この言葉は、コロナ禍からの復興のカギとして、世界で大きく注目されています。これはコロナ禍からの復興にあたって、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、よりよい未来を目指していくことを目指すものです。そのポイントは、①地球温暖化対策の国際協定である「パリ協定」の達成に貢献すること、②国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも一致した施策を実施すること、にあります。つまり、コロナ禍からの復興に際して強力な経済政策が実施されることを大きな機会として、一気に「持続可能な社会」を実現しようというものです。現在の項目建てでは①産業の活性化、②まちづくり、③脱炭素、が「活力ある持続可能なまちの実現」というプロジェクトの並列的な課題として並べられています。気候変動対策はあれこれの課題と並列されるようなものではなく、前提とされるものです。脱炭素社会を実現してこそ、持続可能なまちが実現されるのであり、「産業の活性化」も「まちづくり」も脱炭素社会の実現に資するように進められなければなりません。
Q10.重点プロジェクト3について、脱炭素社会の実現を前面に出した記述に改めるべきだと考えますが、区長の認識はいかがでしょうか。お答えください。
A.

 

 私は今回の基本計画改定にあたって、「誰一人取り残さない」という文言が重点プロジェクトや施策の様々な場面に入っていることを高く評価したいと思います。区長の言う「協働・協創」の実現のためにも、「自分が取り残されていない」という実感は必要不可欠です。2012年9月に内閣官房社会的包摂推進室がまとめた報告書「社会的排除にいたるプロセス~若年ケース・スタディから見る排除の過程~」では社会的排除について、「物質的・金銭的欠如のみならず、居住、教育、保健、社会サービス、就労などの多次元の療育において個人が排除され、社会的交流や社会参加さえも阻まれ、徐々に社会の周縁に追いやられていくことを指す。社会的排除の状況に陥ることは、将来の展望や選択肢をはく奪されることであり、最悪の場合は、生きることそのものから排除される可能性もある」と述べています。そしてその対策として、「リスクの共通性、複合性を念頭においた包括的な『社会的包摂政策』が必要」と述べています。
 基本計画において、こうした社会的排除に対応した社会的包摂政策の観点が必要だと感じます。日本における実質的に最初で最後のセーフティネットである生活保護行政については明日、小杉区議が触れますが、わが会派は再三、体制などの不備を指摘してきました。日本の生活保護の捕捉率の低さは多くの国民が金銭的欠如に苦しめられている事を意味します。
Q11.捕捉率を引き上げる施策及び成果指標の設定が必要ではありませんか。
A.

 

 保険医療サービスからの排除はどうでしょうか。全日本民医連は経済的事由による手遅れ死亡事例を調査し、毎年少なくとも数十人が亡くなっていることを明らかにしています。経済的事由によって区民が保健医療サービスから排除されていることがあるのではないでしょうか。
Q12.区民に十分な保険医療サービスを提供するための施策と「十分な保険医療サービスを受けられていると感じる区民の割合」といった成果指標の設定が必要ではないでしょうか。
A.

 

 今回、触れた中身は「誰も取り残さない」区政を実現するための一例にすぎません。困ったときに手を差し伸べてもらってこそ、区への愛着、「何かしたい」という気持ちが生まれるのではないでしょうか。ぜひ基本計画において、「社会的包摂」の視点を入れていただきたいと要望いたします。

 中野区区有施設整備計画についてお尋ねします。
 先日報告された中野区区有施設整備方針(素案たたき台)は、「区財政見通しの厳しさが増す中」としつつも、全体として区民施設の削減を極力行わないように考えられたものではないかと考えます。
 しかし同時に、児童館を現行の18施設から各中学校区に合わせた9施設にするという方針は簡単に納得できるものではありません。「施設再編・管理の基本的な考え方」には、「区民の日常生活圏域等を踏まえた適正配置」となっています。子どもの日常生活圏域は小学校区、中学校区となりますが、児童館の利用実態は乳幼児と小学生が過半を占めており、区が行おうとしている中学校区の配置とは合っていません。住民からすれば、何でそのような判断になったのか、理解しがたいのではないでしょうか。
Q13.中野区区有施設整備計画の策定にあたっては区民の納得と合意をしっかりとるように努力すべきだと考えますがいかがでしょうか。またそのために考えている取り組みをお答えください
A.

 

 中学校区に1つの配置とした場合、地域によっては最寄りの児童館がかなり遠くなるところも生まれます。例えば明和中学校区は現行では若宮・大和西・鷺宮・西中野・大和の5つの児童館がありますが、計画を実行すれば1つに再編されることになってしまいます。私の家の近所にある若宮児童館ではこれまで、地域の住民が協力して多彩なイベントを実施してきました。こうしたことができたのは地域の身近なところに児童館があり、区職員が児童館にきちんと配置されていたからです。
Q14.児童館の再編にあたっては一律機械的に再編するのではなく、地域の状況を考慮して行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
A.

 

2.中野区環境基本計画について

 

 区は来年度に中野区環境基本計画を改定するための作業を進めています。現在、世界ではこの10年間がパリ協定の目標である気温上昇を2℃未満に抑え、1.5℃未満に近づけるようにするための最後の機会だとみなされています。それだけに今回の改定において、中野区が2030年度までにどれほどの排出削減目標を掲げるのかが極めて重要です。国は昨年、菅首相が「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という目標を表明しました。東京都は1月27日に小池都知事が「温室効果ガス排出量を2030年までに00年比で半減させる」と表明しました。排出削減目標を決めるにあたって、昨年の第3回定例会でも取り上げたカーボン・バジェット(炭素予算)という将来までのCO2排出量の上限を推計した上で、目標を決める方法が効果的です。先日、区民委員会で行った学習会において講師をしていただいた産業技術総合研究所の歌川学先生は、中野区のカーボン・バジェットは2017年度排出量の15年分にあたるCO2換算で1400万トンであり、そこから2030年度には2013年度比で59%程度の排出削減が必要と述べていました。
Q15.中野区でこうした目標を掲げる必要があるのではないでしょうか。お答えください。
A.

 

 中野区は区全体の排出の約半分が家庭部門から排出されており、次いで業務部門からも排出が多くなっています。これらの部門でどのように排出削減を進めるのか、具体的な施策がなければ全体の排出削減目標を定めても意味がありません。長野県では2050年までに最終エネルギー消費量を7割削減するとともに、これを上回る再生可能エネルギーを生産して実質的な排出量ゼロを達成する行程表「長野県気候危機突破方針ロードマップ」を作成しています。
Q16.中野区においても、どのような施策で何年までにどの程度排出量を削減するのか。家庭部門、産業部門など、部門ごとの排出削減目標と行程表を作成すべきではないでしょうか。お答えください。
A.

 

 2017年度は家庭部門からの排出は52%、業務部門が27%を占めています。しかし購入電力に着目した場合、中野区のCO2排出構造の姿は大きく変わり、購入電力が64%の排出量を占めていることが分かります。大規模な排出削減を進める上では、電力をこれまでの化石燃料由来から再生可能エネルギー由来に切り替えるエネルギーシフトが絶対に欠かせません。
Q17.それだけに2025年、2030年にどれだけの世帯、事業者でエネルギーシフトを進めるのかの目標設定を行う必要があるのではないでしょうか。
A.

 

 省エネを進められるような施策を講じる事も非常に重要です。業務部門の場合、家庭よりも電気の使用箇所・使用時間が長く、省エネ機器に設備更新した場合、削減量は家庭に比べても大きくなります。また、家庭部門においても以前にも断熱の重要性は触れたことがありますが、区内でほとんど浸透していない高断熱建物認証制度ではなく、新たな施策展開が求められているのではないでしょうか。
Q18.家庭や事業者のエネルギーシフトを応援するために、創エネ・省エネの設備助成を設けてはいかがでしょうか。
A.

 

 大規模事業者としての中野区の努力も非常に重要です。これから建設する建物は当然、2050年以降も残ります。それだけにこれらの建物が排出ゼロを達成できるかどうかは事業者としての区の排出量に直結します。
Q19.新築の区有施設について災害期の活用の観点も含め、省エネと創エネを組み合わせてエネルギー消費量を実質的にゼロにすることした建物ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を最低条件にするとともに、既存の区有施設について断熱改修などの省エネ、太陽光や地中熱の活用といったエネルギーシフトを行い、区有施設の脱炭素化を早急に実現する方針を持つべきではないでしょうか。
A.

 

 都市計画や再開発においても脱炭素の視点が極めて重要です。先日発表された中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備の中身においては、環境面について「ZEBを目指した省エネルギー性能」と明記されています。今回はこういった提案になっていますが、事業者募集要項では「地区内や周辺地域の環境性向上に資する施設整備」という文言しかありません。今後もこういった募集要項では、大量のCO2を排出する再開発が行われる可能性もあります。また、これらの大本になる中野区都市計画マスタープランも改定にあたって脱炭素のまちづくりに沿った全体構想及び地域別構想の記述の充実が必要です。
Q20.中野駅前を始めとする都市再開発でZEBであることを求めるなど、改定される中野区都市計画マスタープランについて、脱炭素を実現するための方策を示すべきではないでしょうか。
A.

 

 中野区が高い目標と実効性ある計画を持つことを求めこの項の質問を終わります。

 

3.西武新宿線連続立体交差事業について

 

 区は現在、西武新宿線野方駅以西の連続立体交差事業について、西武鉄道に野方1号踏切除却の技術的可能性について委託調査をさせています。今年度末で調査が終わり、結果が報告されることになると思います。2260万円もの費用をかけた調査ですが、区は高架化を前提とした検討のみをさせていることを明らかにしています。その理由として区は、2014年に発表した中野区独自の構造形式の比較検討において、高架化が最適という判断が出たからだとしています。しかしその判断には疑問があります。これは都議会の井荻駅―西武柳沢駅間の連続立体交差事業に係る都市計画の議論の中なのですが、我が党都議団が都に対して、地下案の検討に際して複線シールドで検討したのかどうかを聞いても、東京都は一切まともな回答をしません。また東京都が行った、野方駅―井荻駅間の連続立体交差事業の比較検討においても地下案の検討は多数の施工実績がある複線シールドではなく単線シールドによって検討がなされています。そして先ほど紹介した中野区独自の比較検討においても地下案は単線シールドでの検討となっています。当然のことながら、単線シールドで地下化するとなれば、用地幅が現在の線路幅を超え、高架仮線方式と同様に多数の用地買収が必要となります。それに費用面での比較を加えれば、地下方式が不利になることは目に見えています。これは高架案が最適という結論を導くための為にするやり方ではないでしょうか。横浜市は相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅連続立体交差事業において複線シールドでの地下化を採用しています。また、過去の高架化事例で、多数の用地買収が必要になり、施工期間自体が高架化の方が長かった実績も見込んで決定しています。こうしたことを考えれば、複線シールドで検討を行えば、最適案が変わる可能性もあったのではないでしょうか。
Q21.調査委託の前提となる2014年報告の構造形式の比較検討において、区は地下案について複線シールドでの検討をなぜ行っていないのか。お答えください
A.

 

 これまでも何度も言っている事ですが、野方以西の連続立体交差事業について区内全線地下化を事実上諦め、高架化を前提に調査委託をさせている事など現状は住民には何ら知らされていませんし、議論する機会も与えられていません。
 各駅周辺地区まちづくり検討委員会でのまちづくり検討においては「構造形式にとらわれず街の課題を検討する」という名目で、西武線について触れることを許されていません。これは「政策決定過程からの区民参加」と矛盾するのではないでしょうか。この間行われてきた意見交換会においても、区は事業者である東京都に参加を求める事もせず、構造形式についての区民の疑問に応えられていません。
Q22.西武線の構造形式について、住民と意見交換する場を設けるべきではないですか。お答えください。
A.

 

4.羽田空港新着陸ルートについて

 

 羽田空港新着陸ルートについてお尋ねします。昨年に取り組んだ中野区民アンケートにおいて、羽田空港新着陸ルートについてどう思うかの設問では、全体として①騒音や落下物対策をきちんとすれば良いが49.2%、②環境悪化、落下物の危険が増えるため中止が39.5%、③分からない11.3%という結果でした。同時に、年齢や職業別に回答を見てみると興味深い結果も得られました。年齢別でみると、年代が上がるほど反対の声が増えていくとともに、職業別の回答では、正社員や非正規などと労働者は賛成が多い一方、無職や家事専業と言った日中は区内に居ると思われる方は反対が多くありました。ここから見て取れるのは、航空機が中野区内上空を飛ぶのを目の当たりにしている方は反対が多いという事です。区はこうした区民の声に耳を傾けてもらいたいと思います。
 わが党はかねてから騒音被害や落下物の危険が排除できない都心上空を低空飛行するルートは撤回すべきと主張してきました。区は「対策は取っている」などと言ってきましたが、その中身は見舞金など、事故が起こった後の被害補償に過ぎません。昨年12月4日に那覇空港発羽田行きの日本航空機が那覇空港の北約100キロメートル、高度約5,000メートルにてエンジンブレードの破損・落下事故を起こし、航空重大インシデントと認定されています。事故原因は未だ調査中とのことですが、エンジンブレードの疲労破壊も指摘されており、そうであればいつ落下物となるかは全くの偶然で、下手をすれば当該航空機は羽田行きであったことから中野区内に落下したかもしれません。
Q23.この事故について区はどう認識しているのでしょうか。お答えください。
A.

 

Q24.また、このような事故を前にして、都心上空低空飛行はやめるように、国に対して意見すべきではないですか。お答えください
A.

 

 羽田空港の増便のためと、このルートを導入しておきながら、コロナ禍の下で需要は低迷し、増便の根拠はどこにもありません。都民の安全・安心な生活を脅かす新ルートは撤回すべきです。

 以上で私の全ての質問を終わります。

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