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議会報告
REPORT

09.11

2020年 第3回定例会 本会議・一般質問 2020/9/9長沢和彦

第3回定例会本会議一般質問

2020年9月9日 長沢和彦

第3回定例会本会議にあたり、日本共産党議員団を代表して一般質問をおこないます。

1.区長の政治姿勢と行政報告について

(1)被爆75周年にあたって

〇広島・長崎に原子爆弾が投下されてから75年目の夏を迎えました。長崎市平和式典では、「平和宣言」の冒頭に長崎市長は「どうして私たち人間は、核兵器をいまでになくすことができないでいるのでしょうか。人の命を無残に奪い、人間らしく死ぬことも許さず、放射能による苦しみを一生涯背負わせ続ける、このむごい兵器を捨て去ることができないのでしょうか」と問いました。同じ平和式典では、国連事務総長が「75年という長い歳月が過ぎたにもかかわらず、核兵器の恐ろしさと被爆者の方々から重要な教訓は学ばれてい(ない)。国連が、勇敢な被爆者一人一人のメッセージを受け継いでいくことを誓(う)」とのメッセージを寄せています。

国連で2017年に採択された核兵器禁止条約は、現時点で84か国が署名し44か国が批准しています。条約発効に必要な50か国の批准に向けて、さらなる国際世論を巻き起こすときです。日本世論調査会の8月発表の調査では、核兵器禁止条約に「参加すべき」という国民は72%にのぼっています。

中野区では「憲法擁護・非核都市の宣言」から38年、平和行政の基本に関する条例制定から30年が経ちました。

そこでうかがいますが、被爆75周年の8月6日と9日を区長はどのような思いで迎えられたでしょうか。また、核兵器禁止条約の発効が迫っていることに、どういった思いを抱いているのか、うかがいます。

〇関連して、(仮称)中野区平和資料展示室についてお聞きします。

新総合体育館の開設にともなって、(仮称)平和資料展示室がオープンします。総務委員会での報告によれば、パネル・収蔵品を5つのテーマにかかわって展示することにしています。また、映像展示や収蔵図書についても鑑賞、閲覧ができるようにもしています。結構なことですが、ぜひ、充実をはかり訪れた人たちが鑑賞、閲覧しやすいように工夫していただきたい。目的を持って訪れる方だけでなく、新体育館を利用する方々にも鑑賞等していただけることを期待するものです。

この機会に区民に呼びかけて、戦争にかかわる遺品など展示物の収集を行なうことを検討してはどうですか。また、企画展の実施を検討しているようですが、東京都の協力も得ながら収蔵品を借りるなどにも努めていただきたいと考えますが、答弁を求めます。

(2)行政報告にかかわって

〇新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、区では感染症対策にとりくんでいます。そのことを労いつつ、コロナ危機から区民をどう守るのか。感染症対策の要諦ともいえるPCR検査の拡充についてうかがいます。

「第2波」による市中感染が広がっているもとで、PCR検査の拡充は欠かせません。新規陽性者数が減少した5月に検査数も減少に転じたことが、感染の抑え込みとならずに、6月末からの感染者拡大となっています。

感染源対策でまず重要なのが、症状のある人を確実に診断、保護・隔離し接触者管理に結びつけること。その次が、無症状で感染源になっている人の発見です。その中でも、医療従事者や介護施設の職員など、コロナウイルスへの暴露機会の多い人、人との接触の機会が多く、感染伝播リスクの高い人には、無症状であってもリスク状況に応じて検査を考慮する必要があると言われています。

未だにPCR検査に対する抑止の声がありますが、世界中で、PCR検査をやりすぎると問題になると議論しているのは日本だけです。診断を行う感染疑い者だけに限らず、感染力の強い無症状者の広がりを念頭に「社会的検査」としてのPCR検査の実施が必要です。

8月28日、安倍首相の辞任会見の際に、「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」が決定・発表され、そこでは感染拡大地域での一斉・定期的な検査を都道府県に要請することが盛り込まれました。当然ながら国の財政措置が必要となりますが、すでに8月8日には全国知事会により「緊急提言」が発表され、「PCR検査等の戦略的拡大について」として、「国の負担による行政検査」での実施の検討と民間機関を活用した検査体制の拡充について国の支援を求めています。

同時に、国の財政支出を待つだけでなく、中野区としてもできる限りの検査の拡充と、検査体制の強化を行うべきではないですか。区長がこの認識に立つことが肝要であると考えます。

「世田谷区モデル」の「いつでも、誰でも、何度でも」を参考に取り組みを強めることです。また、千代田区では、区内介護施設の職員全員を対象に定期的なPCR検査の実施を決めました。

中野区においても、医療機関や介護施設、障害施設及び保育施設などの職員・入院・入所者等に対して定期的なPCR検査の実施を検討すべきではないですか。うかがいます。

〇「行政報告」では、「地域の身近な医療機関でPCR検査を実施する方向を目指していきたい」と述べています。この点は是非とも速やかに実施を願いたいと考えます。そのうえで、PCR検査センターの現行実施している枠を医師会の協力を得ながら増やすことが必要と考えます。区内で感染が疑われる人が出ても、PCR検査センターでの検査日にあたらない場合、待機せざるを得ない状況も生じています。

また、医療機関でのPCR検査の実施についても、さらに医療機関への協力を求めて箇所を増やすことが大切です。そのためにも実施している医療機関に対する1日当たり1万円の支給については増額が必要と考えます。すでに世田谷区では、発熱外来の設置とPCR検査を実施する医療機関について3時間以上の診察で1日41,700円の助成を行うことにしています。武蔵野市では小規模な医療機関を含めて補助金を支給することでPCR検査の拡大を図っています。中野区においても検討すべきではないですか。うかがいます。

〇他にも医療機関への感染対策支援について、うかがいます。

国の第2次補正予算では、コロナ禍における医療機関への支援策が計上されました。速やかに実施されることが求められます。

加えて、中野区として区内医療機関への感染症に係る支援策の検討を求めます。先に触れた世田谷区では「地域医療機関支援」と銘打って、コロナ専用病床として確保したベッドに空きがあった場合は、1日1床当たり14,400円、区民入院時に1日1床当たり8,000円の助成を行うとしています。院内感染等により外来の休診や病床の使用停止に至った病院・診療所に対して、休診したラインごとに1日41,700円、使用停止の病床につき1日8,000円の助成も決めています。また、八王子市では、陽性患者の病床を確保する医療機関に、1床につき12,000円を基準に国と都の制度に上乗せして補助をしています。医療機関の経営ひっ迫については重々認識されていると思いますが、区内の病院・診療所における実態と要望を把握し、支援策を検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

行政報告にかかわって、区財政の見通しと行財政運営についてお聞きします。

「内閣府が発表した今年4月から6月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期から7.8%、年率換算で27.8%減り、リーマンショック後の17.8%を超える戦後最大の落ち込みと(なった)」と記しています。

ただし、コロナ感染だけが原因ではありません。日本で現在進行中の景気後退は、上層にコロナ禍による景気後退があり、中層に、消費税増税による景気後退があります。さらに、下層にここ20~30年来の長期停滞がある三層構造として捉えられます。それだけに国も自治体も真剣な行財政運営を模索・探求すべきときです。

〇「行政報告」では、「行財政の構造改革の推進」として、「行財政の構造改革は、財政的な非常事態に鑑み、これからの概ね3年間で集中的に取り組み、新しい区政を展開するための体力を養い、その後については、経済や財政の回復状況を見極めながら、刷新された持続可能な区政運営を推進していく…」と述べられました。

「構造改革」という呼称のイメージが、小泉「構造改革」や、その流れを汲んだ前区政時代の「構造改革」路線を想起しかねないことは指摘しておきます。問題は、日本ではいわゆる新自由主義による「構造改革」路線が、規制緩和による雇用破壊や自治体レベルでの「小さな政府」、「官から民へ」などにより自治体を大きく変質させたことで、今日の貧困と格差の拡大をもたらしたことです。コロナ危機により世界的に新自由主義路線が破綻したことが明らかとなりました。リーマンショックを挟み、結果的にあらゆる面で国も自治体も、もちろん中野区においても財政出動をせざるを得なくなりました。この轍を踏んではなりません。要は目先の採算・効率だけに目を奪われてはならないということです。

区民福祉を守ることで経済・財政の回復につなげていけます。改革をいうのであれば、そうした展望を持っていただきたい。新自由主義による構造改革で生活基盤が掘り崩されてきました。その上でのコロナ感染症です。直接、区民生活を支える事業については、実施の継続とともに拡充を図ることも検討すべきです。見解をうかがいます。

〇基金への積立と繰入について、うかがいます。

財政調整基金の昨年度末「残高は279憶円、そのうち年度間調整分は165億円であ(る)」と言います。

例年、第3回定例会において昨年度の決算剰余金のうち今年度予算で繰越金に計上された4億円を除いた全額が財政調整基金に積み立てられています。

実質収支額(決算剰余金)は、この5年間で見ても29億円~22億円を超え、リーマンショック後の2009(平成21)年度からを昨年度の平均で見ても22億円の実質収支額となっています。新型コロナウイルス感染が、どこの時点で収束するかはわかりませんが、感染症対策への財政措置を行いながら財政調整基金の繰入によって、歳入における一般財源の確保は一定程度可能ではないでしょうか。

また、特定目的金の積立についてもコロナ及びコロナ後の状況にふさわしく見直しを図ることが必要です。当初予算における積立金については、精査し一般財源の確保に努めることが必要だと考えます。見解をうかがいます。

〇まちづくりの開発事業は慎重であるべきです。開発規模に比例して財源も大きくなるのが常であり、見直しは必須と考えます。同時にコロナ後の社会を展望したとき、これまでの方針・計画での執行が無駄と浪費になりかねない事態も懸念されます。コロナ感染はそのことを行政に突き付けていると考えます。

テレワーク(リモートワーク)の普及によりオフィス需要は減ることが予想されています。住宅マンションにしてもオリンピック・パラリンピック熱狂が終わり、マンションバブルが崩壊すれば不動産としての資産価値は大幅に下がることにもなりかねません。また、7千人規模の多目的ホールにしても、中野区に整備することが本当に必要なのかと疑問を持たざるを得ません。

都内各区においては、財政のひっ迫により計画の見直しが相次いでいます。荒川区はホール整備を断念。足立区では本庁舎の大規模改修計画を見直し、世田谷区も庁舎の整備計画を一部見直すと報じられました。これら各区の事業は、計画を見直し事業費の削減を図ろうというものです。確かに中野駅新北口駅前エリア計画のように、専ら新庁舎の経費を賄おうとする中野区とは違います。しかし、財政面だけはなく、将来を見通した事業として検討を重ねることは必要であると考えます。

新型コロナウイルス感染の収束の見通しがたたず、収束後においても新たなウイルス感染あるいは気候変動による自然災害などの発生は、都市再生を強力に進めたここ20年余りの開発事業、都市計画の規制緩和のあり方が厳しく問われています。そうした時代を迎える中で、はたして現在描いている中野駅新北口駅前エリア計画で良いのか。禍根を残すことの無いよう検討を重ねるべきではないですか。

また、新庁舎整備が目前に迫っていますが、特別委員会でも議論になったところですが、整備事業を後年に送ることは本当にできないのでしょうか。区が「予定通り進める」としている以上、違約金云々も議論に付されることはありません。直近の財政削減には成らなくても、コロナ及びコロナ後を考えたときに、後年度の財政負担を生じさせないためにも、いま一度、検討を重ねるべきではないですか。見解をうかがいます。

〇中野4丁目西地区の市街地再開発についてもお聞きします。

当該地区は組合施行の市街地再開発を予定しています。現在は準備組合で、都市計画の手続きも視野に入っている状況です。市街地再開発には区が補助金を支出し、バス乗降場や公共駐輪場の整備、歩行者デッキなどの「地域貢献」として整備を計画しています。

コロナ感染後のタワーマンションの整備は、新たな課題を住民に突き付けていると考えます。

感染症対策などは、生物医学的にも、社会疫学的にも検討することが必要だと言われています。今はまだ解明されていない点が多すぎます。にもかかわらず、準備組合の理事長名で準備組合員宛に今月下旬の臨時総会開催通知を出し、議案「再開発事業の推進承認の件」として、準備組合員に承認議決を求めています。これだけコロナ後の社会・経済、生活スタイルに至るまで議論されている時に、何事もなかったかのように臨時総会を開催して承認の議決を得ようというのはいかがなものか。しかも、端から臨時総会に準備組合員を真剣に集めようとはしていないようでもあります。

区は都市計画決定手続きを急がせるのではなく、準備組合に対して時間をかけて検討を重ねるよう助言すべきではないですか。うかがいます。

2.「子育て先進区・中野」について

(1)子どもの貧困の解消について

〇昨年6月に「子どもの貧困対策推進法」が改正され、区市町村による貧困対策計画の策定が努力義務とされました。旧法では、子どもの貧困対策を「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう」にするための施策と規定していましたが、改正された新法では「現在及び将来」と改め、子どもの現在の生活を改善することも子どもの貧困対策のターゲットに加えられました。子どもの「現在」にも目を向けた施策が必要であることが確認されたということです。

区は昨年度に「子どもと子育て家庭の実態調査」を実施しています。改正された新法の意義とともに、この調査結果を踏まえ、どのように貧困対策を進めていくのか。見解をうかがいます。

〇先の第2回定例会での第4次補正予算により、国の事業であるひとり親世帯臨時特別給付金が実施されました。対象世帯は児童扶養手当受給世帯、直近収入が児童扶養手当対象水準となる世帯など1,630世帯を見込んでいます。ひとり親世帯へのコロナ感染症対策に係る支援の強化です。

ひとり親世帯の多くは、もともと経済的に困窮している世帯です。先の「実態調査」では、生活困難層の割合と世帯タイプ別の分布が示されました。生活困難層は、ふたり親世帯に比して、ひとり親世帯が二世代・三世代ともに多いことがみてとれます。

今般のコロナ禍で、日本社会の貧困が顕在化したとも言われ、ひとり親世帯の厳しさが改めて浮き彫りにもなりました。

都内ではいくつもの区と市で、国の事業に上乗せする支援が行われています。

中野区としても、先の国の事業にとどまらず増額の支援を検討すべきではないですか。うかがいます。

〇今年度より高等学校等就学支援金制度が始まっています。

所得制限はあるものの公立と私立高校の無償化が実施されたことは喜ばしいことです。同時に、高校入学時においては制服や学用品などの出費がかさみます。育ち盛りの世代ゆえに、食費や衣料品費等の生計の負担が大きい。この世代の子どもが居る世帯は、ここからが教育費をはじめとした生活費の負担が増大するとも言われています。まして低所得の世帯においては深刻な問題です。

足立区では今年度から高等学校等の入学前にかかる費用の一部を助成し支援する高等学校等入学準備助成の制度が始められました。区内在住で就学援助世帯として認定されていることと、中学3年生で高等学校等へ進学先が決定していることが要件となっており、一律5万円を支給するというものです。

中野区の中学校に通う就学援助費の認定者のうち中学3年生は、今年度までの3年間で平均263人であると聞いています。中野区においても実施を検討すべきではないですか。うかがいます。

(2)少人数学級実現について

〇7月2日に、全国知事会、全国市長会、全国町村会の3会長名で、少人数学級を含む「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」が出され、文部科学大臣に「少人数編成を可能とする教員の確保」を要請しました。これに先がけて、日本教育学会が5月に教員10万人増の提言を行っています。さらに、7月30日には、文部科学大臣と、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、全国特別支援学校長会、日本私立小学校連合会の各会長らによる学校再開後の学校の状況に関する意見交換会が開催され、参加者から少人数学級の検討を求める声が上がりました。

コロナ禍を契機に、学校現場はもちろん、教育関係者、保護者をはじめ国民の間で少人数学級実現への期待が一気に焦点化してきました。

8月19日公表の中央教育審議会特別部会の「中間まとめ(骨子案)」に「新しい生活様式」を踏まえた、少人数学級を可能とする指導体制や施設・設備の整備を図ることが盛り込まれました。そして8月25日に政府の教育再生実行会議にて、委員から「少人数学級を進め、30人未満の学級にしてほしい」との意見が出されたことに対して異論や反対意見は出されず、会議後の会見で文部科学大臣から、少人数学級を来年度から段階的に進めるために必要な予算要求を行う考えが表明されました。

そこでうかがいます。機運が高まる少人数学級を求める各方面からの動向について、区教育委員会の見解をお尋ねするとともに、この機会を逃さずに国に対して少人数学級実現を求めていくべきではないですか。答弁を求めます。

(3)GIGAスクール構想について

〇議決された第5次補正予算では、ギガスクール構想の推進による区立小中学校の児童・生徒1人1台の学習用端末の配備と校内ネットワークの整備等の事業費が計上されています。前倒しの実施だと言います。毎年度のランニングコストは、単純計算でも約4億5千万円もの支出となる一大プロジェクトです。コロナ禍では国から唐突の休校要請が出され、中野区もそれに従い区内一斉休校となりました。ICTを活用してのリモートによる授業・学習を試みる機会となりました。

先日、区内で開かれた学習会で、学習院大学特任教授の佐藤学先生の講演を聞く機会がありました。

先生は、「国がギガスクール構想をぶち上げたのは、そもそも教育に名を借りて、国際競争に太刀打ちできず低迷していたIT産業に対し、国を挙げて自治体での学校現場を市場としつつ促進を図ろうとすることが目的で、その証拠に文部科学省よりも経済産業省が前面に立って主導している」と断じます。続けて「ICT教育の追及している『個別最適化』は、子どもの学びを促進するのか。また、それは教育と言えるのか。ICT技術が『未来の教室』を準備するのではない。教育においてコンピュータは『学びの道具』(思考と表現の道具、探求と共同の道具)として活用されなければならない。しかし、現在コンピュータの教育ソフトは大半が『教える道具』であり、学校においてそのように使用されている」と話されます。

確かに、ICT環境が整えばICT教育ができるわけではなく、現在のICT教育とギガスクール構想に対しては、危惧する声が多方面から出されています。ビジョンもなく、グランドデザインにも欠けたギガスクール構想で良いのかが問われているのだと考えます。しかし、このような視点を持って区教育委員会がギガスクールについて検討した形跡は見当たりません。これからでも中野の子どもたちにとってギガスクール構想による「学び」とは何かというビジョンについて検討を行うことを求めます。

3.介護保険制度について

来年度から施行の第8期中野区介護保険事業計画の策定に向けて、審議会への諮問や利用者、ケアマネ等事業者への調査も始まっています。

中野区介護保険の運営状況をながめてみると、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス及び介護予防給付とも、介護サービス見込量(計画値)と年間実績に大きな隔たりはないように思われます。実績割合は80%代から100%を超えている事業も多数散見されます。

介護保険財政は、国庫負担金・都負担金・区負担金、そして第1号・第2号保険料負担で実施されています。そのうえで、介護サービス給付量に対して介護給付費準備基金の積立と繰入によって調整を図っています。

2019(令和元)年度は、約1億3100万円の繰入を行っています。実に8年ぶり第4期計画の最終年度であった2011(平成23)年度以来のことです。一方、介護給付費準備基金へは約1億7850万円積み立てました。この年度もマイナスとはならなりませんでした。いまや介護給付費準備基金残高は28億円を優に超えています。第7期「事業計画」の最終年度である今年度に、現「事業計画」の審査の際に述べていた12億円の「準備基金」からの取り崩しがなされるとは思えません。推計された介護サービス見込量と実績に大きな隔たりが見られないのに、なぜこうした事態が生じるのですか。このことを分析しなければ毎回の「事業計画」改定の際に、保険料を取り過ぎてしまうことになります。

介護保険制度が施行されて20年が経ち、保険料は、施行当初の第1期「事業計画」の基準額では年額36,300円であったのが、改定のたびに値上げが続き第7期の現在は基準額68,700円と約1.9倍にもなっています。年金は目減りして、医療の保険料や税、公共料金などの負担も重なっているため、生活そのものを圧迫しています。

先に述べたように、第5期から今期まで基金残高は一度たりとも減っていないのですから、来期の第8期の「事業計画」においては、基金を取り崩すことで保険料の値上げを抑えることは十分可能です。

〇介護保険運営と保険料についての見解を求めます。ご答弁ください。

〇厚生労働省は、医療においては新型コロナ感染症による重症者を受け入れた病院に対して4月18日から診療報酬の上乗せを始めています。医療崩壊を防ぐ手立てであり当然のことです。しかし、介護事業所においては、「介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準」を柔軟に運用するとなっており、現場の少ない人員配置、多少サービス時間が短くなっても従来の介護報酬を支払うとしています。デイサービスなど通所型サービスにおいてはこの運営基準をもって実施が行われていると聞きます。しかし、従来の介護報酬を支払うと言いますが、あくまでも利用者・家族の同意が必須とされてもいます。利用サービスに対する1割等の一部負担があるため同意が得られないケースも考えられます。

介護事業者による努力だけに頼るのではなく、介護報酬の上乗せや介護事業者への支援を、国に求めるべきではないですか。うかがいます。

4.リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)について

〇コロナ禍でのリプロダクティブ・ヘルス&ライツについて、お聞きします。

コロナ危機にあたり国連女性機関が出した声明は、妊娠や出産、避妊や中絶など、性と生殖にかかわる問題で、女性が安心して医療機関や必要な資源にアクセスできる環境が十分に整えられているかと問いかけています。

5月半ばごろから長引く休校の影響により中高生の望まぬ妊娠の相談が増えているとの報道がされました。日常からの性教育の充実とともに、性交から72時間以内に服用すれば8割の避妊効果がある緊急避妊薬の情報など、妊娠不安におびえる中高生にも届けることが大切だと考えます。しかし、緊急避妊薬は薬局で安価で買える海外と比べ、日本では医師の診察、扱っている病院が近くにない、薬の価格が高いなど、心理的・物理的・経済的ハードルから身近なものになっていません。DVの増加も、望まぬ妊娠の増加を引き起こしています。避妊や安全な中絶へのアクセスがほとんど保障さえていない日本のリプロ政策の貧しさが根本から問われています。

リプロは、国では1999年の男女共同参画計画に書き込まれましたが、有名無実になってしまっています。リプロは、「産む/産まないは私が決める」という女性の妊娠や出産に関する自己決定権のことであり、ジェンダー平等を考えるときにも重要な権利の一つです。ところが現在、国や自治体による「官製婚活」などが行われていますが、これはリプロに反する恐れがあります。

中野区では、現行の「男女共同参画基本計画」で、「(リプロ)に関する意識を広く浸透させ、女性の生涯を通じた健康を支援する取組を行う必要があ(る)」と記しています。施策の充実が求められています。

そこでうかがいますが、検討中である「子どもの権利条例」においても「性の自己決定権」についても念頭に、検討すべきではありませんか。ご答弁ください。

〇中高生の性体験が多いことが言われています。正しい性情報なく行為におよんでしまうため、大人がスルーせず寄り添うことが大切です。

中高生の性体験及び妊娠の根底には貧困問題も存在するともいわれています。親子関係がとれていないため、親に言えず妊娠・出産をしてしまう。親は自分のことで手一杯で見て見ぬふりをしてしまうといいます。養護教諭、保健師、区内産婦人科の医師や看護師から聞き取りをするなど、実態把握に努めることが大事だと考えます。

そこでお聞きしますが、妊娠・出産に関する正しい知識・情報について、若年層への取組が必要だと考えますが、いかがですか。うかがいます。

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