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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

11.26

2019年第4回定例会本会議一般質問:長沢和彦

 2019年第4回定例会本会議にあたり日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

1.区長の政治姿勢と区政運営について

(1)政治姿勢について

○「桜を見る会」による公金支出が、公職選挙法及び政治資金規正法違反の疑惑として大きな問題になっています。安倍政権による「税金の私物化」、モラルハザードは目に余る事態となっています。昨日、国会のすべての野党が参加する「総理主催『桜を見る会』追求本部」が発足しました。徹底した真相究明が必要です。
 暮らしと経済に目を向けると、10月より消費税が増税となりました。消費が冷え込んでいる時期の増税は初めてであり、深刻な消費不況になりかねません。すでに区民からは負担増を嘆く声が聞こえてきますし、零細企業や商店からは憤慨する声も寄せられています。
 政府の経済指標でも景気の悪化を招きかねない事態がみてとれます。日本共産党は、消費税を5%に引き下げ内需をあたためる経済政策を提案し、その実現に力を尽くします。そもそも空前の利益を得ている富裕層や大企業への優遇税制を是正し、「能力に応じた負担」を原則とする税制改革が必要です。大企業でいえば大幅な賃金アップを避け、設備投資にもお金を回せず、結果内部留保を貯めています。
規制緩和による非正規労働を改善し、正規雇用を拡大していくことも欠かせません。
 労働分配を正し、所得の再分配機能をまともに機能させることが、今日の日本には必要だと考えます。GDPの6割を占める家計消費を温めることこそ重要です。
区長は、今日の日本経済と国民・区民の暮らしの実態をどのようにみているのか。見解をうかがいます。

(2)基本構想・基本計画について

 10月28日付で、中野区基本構想審議会より答申が出されました。
 区はこの答申を踏まえて基本構想と基本計画を策定していくことにしています。
 現状規定や課題抽出は、今後の区政運営の指針をつくる上で重要な構成・要素になります。同時に、自治体として普遍的な理念や役割については、基本構想・基本計画でしっかりと明記しておくことも大切だと考えます。
 その立場から何点かうかがいます。

〇日本国憲法と地方自治法における地方自治の本旨である住民自治と団体自治の視点を盛り込むことが必要と考えます。中野区の基本構想に地方自治体の目的である「住民福祉の増進を図ること」が貫かれていることも大切です。
 例えば、全国で広がっている子どもの医療費助成。国は制度を作ろうとせず、実施自治体にペナルティまで課しています。
 窓口での一部負担の軽減に対して「患者の過大需要や医者の過大供給をもたらし、過大な診療が行われる」、「モラルハザード」の問題だと言う識者がいます。しかし、現在では、ほとんどの自治体が小児医療費の助成を行い、特に就学前の児童に関しては、窓口での一部負担がないのが通例です。東京都では2007年10月から中学卒業までの子どもに関し一部負担を無償としています。本来ならば子ども医療費助成は国の制度として作ることが求められます。自治体での取り組みが国の制度設置に影響を与えることに繋がると考えます。
 住民自治は、その地域の住民とその代表者によって行われる、つまり民主主義を徹底することであり、団体自治は、国から相対的に独立した地方自治体がその責任において事務が執行されることを言います。この両者が相まって地方自治が健全に発展していくと言われています。また、「住民福祉の増進」は、区民生活総体を意味し、本質的な地方自治の役割と捉えられています。
 こうした視点をきちんと据えた基本構想・基本計画となることを求めます。見解をうかがいます。

〇2018年に公表された「自治体戦略2040構想」では、AIやロボティックス、RPAなどを活用して「従来の半分の職員」で自治体業務を機能化させると提言しています。「自治体戦略2040構想」の柱の1つである「公共私のベストミックス」の基礎を支える「スマート自治体」は、AI等の積極的活用が前提になっています。
 AIは情報処理技術であって、情報処理と制御をするソフトウェアです。自治体職員の仕事に、何をどのようにAIを道具として使っていくのか、自治体現場での議論が欠かせないと考えます。その意味で、ただでさえ少ない公務員の数を半減させる「スマート自治体論」は非現実的とも言えます。むしろ公務員の役割を積極的に見直して、憲法で規定された住民の幸福追求と、最低限の健康で文化的な生活を保障する「全体の奉仕者」としての公務労働者の増員を行い、質の高い行政サービスを充実していくことこそ必要になっていると思われます。
 また、「自治体行政の標準化・共通化」も提言されていますが、これでいけば効率性・能率性を強めるために自治体の独自性を退けることになりかねません。
 区職員の専門性を高め、住民からの相談や実情の把握、他部門との連携など、住民の基本的人権を守る自治体の機能、区の役割をしっかりと果たしていくことが大切ではないでしょうか。見解を求めます。

○参加と自治についてもお聞きします。参加と自治については、中野区自治基本条例で謳っていることではありますが、基本構想・基本計画のなかでも改めて記す必要があると考えます。普遍的なテーマであるがゆえに、ともすれば行政都合によって、なおざりにされかねません。参加と自治は区政運営全体を貫くものであり、同時に、地域における課題解決や要求実現のプロセスとしても欠かせないものです。触れておくべきだと考えます。見解をうかがいます。

○現状規定とそのもとでの課題抽出については、今日の社会経済情勢を捉えたとき貧困と格差のひろがりのもとで区民の多くが豊かさを実感できず、安心感を持てずにいます。区民生活の実態から出発し、そこでの課題抽出とその解消・解決の方向性、及び政策については、新しい基本構想のもとで描くことが必要ではないでしょうか。いかに中野区として貧困と格差の問題に向き合うのかが問われています。見解を求めます。

○今日、個人の尊厳とジェンダー平等は極めて重要です。差別や分断をなくし、誰もが自分らしく生きられる社会の実現が待たれているところです。
 働く場で、また、政策・意思決定の場への女性登用の促進。性暴力、DVなど女性に対する暴力を許さず、ハラスメントに苦しむ人をなくしていくこと。LGBT/SOGIに関する差別のない社会、国籍や民族の多様性を認め合い共生する社会の実現など。基本構想・基本計画の改定の機会をとらえ、中野区からジェンダー平等社会を推進、発信していく事が大事だと考えます。
 基本構想審議会の答申では「多様性を受け入れ、誰もが輝ける社会」として、「それぞれの個性や意思が尊重され、誰もが、生涯を通じて自分らしく暮らすことができるまちになっている」と将来の姿を描いています。答申で言及しているこのような視点を、基本構想・基本計画の中できちんと位置づけて盛り込むことを求めますが、見解をうかがいます。

(3)子ども・高齢者の施策について

(子ども)
○基本構想審議会の答申では、「子育て・教育」のところで「子どもの命と権利の保護」を謳っています。児童相談所等の設置にあたってはもちろんの事、子どもに関わる部署をはじめ地域全体で育むことを位置づけ、子どもの最善の利益を守り、子どもの意見表明権をいかした区政運営となることを要望します。教育・保育においては、「自己肯定感」を狭く捉えることなく、「自分が自分であって良い」「ありのままの自分」の存在を認める保育・教育の現場であってほしいと願っています。
 中野区では「子育て先進区」を表明していることから、子育ち・子育ての分野で区民・子育て世帯が実感できる施策を行っていくことが必要と考えます。
 子育て実態調査を実施したなかで、子どもの貧困の解消を国や都に求めると同時に、中野区としても実施を図ることが大切です。
例えば、第2子、第3子への給食費の軽減や国保の均等割の減免などは、子育て世帯から歓迎されるでしょう。他の自治体や国と東京都への波及的な効果も期待されます。とかく財政問題が言われがちですが、中・長期的にみれば健康増進や食文化の推進など相乗的な取り組みとしての効果も期待できると考えます。実態調査の結果も踏まえて、より建設的・重層的な子育て施策の検討を求めます。ご答弁ください。

(高齢者)
○高齢者施策に関してうかがいます。
 「自治体戦略2040構想研究会」による報告書では、2040年頃に「我が国の内政上の危機」が迫ってくるとしています。これは日本の高齢者人口が2040年頃にピークを迎えることを受けての捉え方です。では、これから高齢者数が最も伸びる地域はどこかと言えば大都市圏。しかも東京圏、そして東京都がダントツです。そのうえ高齢者のなかでも年齢の高い層が急速に増加することになります。このことに伴い、東京を中心とした大都市圏では、入院・介護のニーズが全国で最も高くなり、絶対量として膨大な医療・介護サービスの需要が発生すると言われています。東京圏の後期高齢者収容能力は、2015年時点で東京23区においてすでに介護施設とサービスが不足している状況です。それが10年後の2025年になれば周辺3県を含む東京圏全体として大幅に介護施設・サービスが足りなくなり、2040年になるとさらに悪化することになります。こうした状況に対して「2040構想」は「圏域内の自治体が連携して長期にわたる医療・介護サービス供給体制を構築する必要がある」と述べるだけで、その具体的な解決策はまったく示していません。
 「2040構想」では、人口減少・高齢化に伴って、自治体、住民組織、市場の3つがそれぞれ機能低下していかざるを得ないため、公共私間の協力関係を新たに構築しなければならないとしています。この協力関係を「プラットフォーム」と呼んで、東京圏のプラットフォームが必要と説いています。しかし、行政を広域化するのではなく、狭域でまちづくりに取り組む区市町村を補完・支援していくことが都道府県の役割です。区市町村や住民に身近な地域単位での高齢社会のまちづくりを進めるというのが地域包括ケアの理念でもあります。
 区は「自治体戦略2040構想」で想定している事態をどのようにとらえていますか。見解をうかがいます。

〇また、ひとり暮らし高齢者についてはどうでしょう。65歳以上の高齢者のいる世帯中のひとり暮らし高齢者世帯の割合のことを指す「ひとり暮らし高齢者の出現率」を都道府県別でみると、東京都は2015年には65歳以上の割合が24.6%。出現率は35.8%と全国一位です。これまで基礎自治体単位で、高齢者、とりわけひとり暮らし高齢者を主な対象とする多くの調査を実施してきた明治学院大学の河合克義名誉教授は、東京都港区と山形県を対象とした調査について述べています。第1に、共通点として、生活保護基準相当額以下のひとり暮らし高齢者は、大都市と農村という地域の違いを超えて5割半いることがあげられています。参加している社会活動の実態については、社会参加している高齢者の割合に差異はみられません。相違点として、住宅の種類を比較すると山形県では持ち家率が約9割と高く、港区は5割です。港区ではひとり暮らし高齢者の4分の1が公営賃貸住宅に住んでいます。また、緊急時の支援の有無は、山形県では支援者がいない人が5.7%に対し、港区では16.7%と割合に違いがあります。
 では、中野区ではどうでしょう。今後、ひとり暮らし高齢者の増加が想定されています。課題への認識と高齢者への政策・施策の検討・実施を急がなければならないと考えます。特に高齢者の住まい確保、なかでもひとり暮らし高齢者の住まいの確保は喫緊の課題であると認識しています。
 区は、地域包括ケアの推進を言いますが、その目的や現状に照らせば現在は緒についたばかりと言えます。見解をうかがいます。

(4)その他

○哲学堂公園の国の名勝指定について、うかがいます。
 11月15日、文部科学大臣が諮問した文化審議会による答申で、哲学堂公園が新たに国の名勝に指定されました。来年の2月に国の告示により名勝指定認可されることになります。
 哲学堂公園については、区長は公約どおり昨年度に再生整備計画の見直しを行い、「インバウンドを目指した周辺エリアの整備と施設整備を優先した」考え方を改め、「歴史文化を守り、区民や外来者が憩い楽しむ利活用」を目指した整備とするとしました。
 このたびの国の名勝指定は中野区では初めてのことであり、それゆえに名勝指定にふさわしく保存がなされ、区民はもとより訪れる人びと誰もが親しめる文化財となることを期待します。
 国の名勝指定を受けた文化財として、区は今後どのように哲学堂公園の保存活用計画を作成していくのか。うかがいます。

2.生活困窮者自立支援制度について

○2018年に改正生活自立支援法が成立し、目的に「人の尊厳」を掲げ、これまでの経済的事情による困窮に加えて「社会的孤立」が定義に入れられました。人の生活上の困難が複合的で折り重なっており、同時に孤立を伴っているという社会的背景があることから法律で定められました。
 区の就労支援事業プログラムによる実績をみると、2017年度は、支援者数497人に対し、就労者261人、2018年度は、支援者数417人に対し、就労者数236人と、支援者中、5割強の人が就労に結びついています。しかし、中にはすぐに辞めてしまうなど、長く続かず安定的な就労に繋がっていないとも言われています。当然、支援事業を繰り返し受ける方もいると聞きます。
 現在、区では生活保護受給者の就労支援プログラムと一体的に就労準備支援事業を実施しています。この事業は、就労意欲が未形成であったり、生活習慣上の問題等から、ただちに一般就労をめざすことが困難な者に対して、就労に必要な知識や能力向上を行うものです。区では現在どういった訓練を行っているのか、うかがいます。

〇就労準備支援事業は、人によっては就労自立のハードルが高く感じられると言われています。したがって、すぐには就労自立に繋がらなくても、日常生活自立や社会生活自立を目指すための訓練プログラムの充実を図ることはできないでしょうか。見解をうかがいます。

○家計改善支援事業について、うかがいます。
 生活困窮者自立支援制度の任意事業であった家計相談支援事業は、家計の状況を「見える化」し、利用者の家計管理の意欲を引き出す相談支援事業であり、貸付けのあっせん等も含むとしていました。ただし制度施行以来、中野区では実施していませんでした。
 家計相談支援事業については、「支出の節約に関する指導その他の指導」と定義されていましたが、自治体における実践での「一方的な指導ではない支援が効果的」と言った現場の声が強く、また、実施の中で、自立相談支援とは異なる家計改善支援の専門性が明確になってきています。これらを踏まえ、昨年の法改正で、家計改善支援事業に改めるとともに、生活困窮者が自身で家計の把握を行い、その改善に取り組む力を育てる支援との位置づけを明確化しました。
 そして、支援の効果として、この事業を通じて自力で家計を管理できるようになり、世帯の家計基盤が整った結果として、再び困窮状態になることの予防や滞納している税・公共料金等や債務の解消、就職活動の円滑化、効果的な貸付の実施などが期待されています。法改正では、家計改善支援事業の実施は努力義務となりました。
 そこでうかがいます。家計改善支援事業に対する区の認識と、本事業の実施についての検討を求めますが、いかがですか。お答えください。

3.文化芸術活動及び施策について

〇2017年6月に「文化芸術基本法」が制定されました。2001年に「文化芸術振興基本法」として議員立法により制定されたものが、16年ぶりに改正されました。この改正で法律前文に「我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行なう者の自主性を尊重することを旨としつつ、…」と、「表現の自由」が加えられました。「表現の自由」は、人々の自由な創造活動を促し、文化・芸術の発展に大きく寄与するものです。
 改正された基本法では、第2条の基本理念のところの文化芸術の創造と享受について、旧法では「国民がその居住する地域にかかわらず等しく、…」となっていたのを、「国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく、…」と追加・変更されました。さらに、「文化芸術の施策推進に当たっては、乳幼児、児童、生徒に対する文化芸術に関する教育の重要性に鑑み、学校等、文化芸術活動を行う団体、家庭及び地域における活動の相互の連携が図られるよう配慮されなければならない」と、基本理念の条文に新たに加わりました。未来ある子どもたちが本物の芸術に触れることの大切さを謳った条文が新設された意義は大きく、関係者からも注目されています。その上で、第2条10項で総括的に、「文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策と有機的な連携が図れるよう配慮されなければならない」と改正の趣旨を述べています。
 文化芸術基本法の目指すところの理解を深め、中野区での文化芸術施策に活かすべきと考えますがいかがですか。うかがいます。

○文化芸術基本法では、「文化芸術団体の役割」を明記し、さらに、「関係者相互の連携及び協働」として、国や地方自治体、芸術団体などの連携を求めています。同時に、国などとの連携はあり得ますが、創造活動、文化・芸術の享受は、ほんらい国の施策とは関係なく行われるものです。文化芸術基本法の審査の際には、議案提案者から「国への協力がないと支援がうけられないと、こういうことがあってはならない」との答弁を得て、国会での共通認識となりました。
 ところが、国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019での「表現の不自由展・その後」展示が、脅迫などでいったん中止となり、そののちに再開となりましたが、文化庁は、あいちトリエンナーレへの補助金の全額不交付を、補助金の審査委員会にも諮らずに決めました。不交付理由に「展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実」を認識しながら、その事実を申告しなかったことなどを挙げています。しかし、文化庁には暴力から表現の自由を守る責任があります。それを放棄した決定は悪しき前例となりかねません。「表現の不自由展・その後」を前後して、さいたま市大宮区での公民館だよりへの不掲載、川崎市での映画祭、三重県伊勢市での「市の展覧会」など、全国いたるところで同様のことが起きています。本来、自由であるはずの文化・芸術活動が、芸術家・専門家はもとより、多くの国民の創造活動が委縮してしまいかねません。表現の自由が脅かされれば、民主主義の土台が崩れます。
 中野区においては、文化・芸術活動における表現の自由を尊重し、区民公益活動に対する政策助成の支給、区の後援申請・許可などが公正・公平に行われることが必要です。見解をうかがいます。

〇文化芸術基本法の第二章では文化芸術推進基本計画等が述べられています。その第7条の2では、地方文化芸術推進基本計画を努力義務により定めるものとしています。その際、国の「文化芸術推進基本計画を参酌して、その地方の実情に即した文化芸術の推進に関する計画」の策定を求めています。
 また、2018年には、「国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律」、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が成立しました。これらの法律は、地方自治体に施策の実施や基本計画を作るよう求めています。
 一方で、地方自治体の文化分野の職員が少ないなかで、計画ばかり作成することになって本来の現場の仕事に力が裂けなくなるということが懸念されています。そうなると、国の作った計画を少々手直ししたような、どこの自治体も似たような計画になってしまわないかと、専門家も危惧を表明しています。個々の計画を次々と作るのではなく、新たに作る基本計画で定めるべきと考えますがいかがですか。うかがいます。

○中野区として予算をきちんと確保しつつ、住民が文化・芸術をつくり、楽しむことができるように、区の文化・芸術に関する条例の制定が必要であると考えます。
 2016年の文化庁の調査では、文化振興に関する条例が設置されているのは、23区では13区です。
 文化芸術基本法第35条は、地方自治体による文化・芸術の施策の推進を求めています。条例の設置は、中野区での文化・芸術の活動と施策に安定的・継続的にとりくむ基盤になると考えます。検討を求めます。

4.中野駅周辺まちづくり

○中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)について
 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画(素案)では、区有地等資産活用の考え方の中で、「公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断…、土地のみでの所有も視野に入れて検討」するとしています。権利変換により権利床として床と共有の土地として持つのか。それとも跡地は土地単独で持つのか。定期借地権を設定することで土地は手放さずに持つべきなのか。現在、こうした議論がみられます。先般の区民会議をはじめ区民のなかでは、サンプラザ跡地に整備する集客交流施設の規模等について、いまだ納得していない状況がみられます。このエリアの区民財産の活用等についても慎重に合意形成を図ることが欠かせないと考えます。
 会派としては、貴重な区民財産をすべて転出(売却)することは避けるべきであることを主張してきました。前提として、事業計画(素案)で示された新区役所整備費用254億円と、借入金返済43億円などは、ここの再開発事業で工面しなければなりませんが、権利床を持つことで将来に生じかねないリスクが懸念されています。
 そこでうかがいますが、権利床を持つことにどのような目的があるのか。また、「土地のみでの所有も視野に検討」とは、何を想定している記述なのか。お聞きします。

○中野駅周辺の再開発による人口増における他の分野・施策への影響についてうかがいます。
 駅周辺・観光特別委員会で、中野駅周辺で新たに昼間人口2万人増、夜間人口1万人増を想定している旨の話がありました。
 夜間人口がこの地域で1万人も増えれば、新たな行政需要が生まれることになります。あるいは行政サービス量の拡大が求められることになります。
 例えば、学校の教室は足りるのか。保育園には入れるのか、子ども関連施設や公園を利用できるのか。子育て世帯だけみても、認識を共有し対応・対策を検討しておかなければならないのではないでしょうか。
 さいたま市の副都心開発として進められてきた武蔵浦和駅周辺再開発では、開発地区面積30ヘクタールのうち6つの街区・計13ヘクタールで再開発が完了していますが、開発地区周辺の小中学校がすべてマンモス校となり、校庭面積は県平均の3分の1以下、全国平均の5分の1以下です。教室不足が深刻で、部活動では校庭での走り込みができない、1棟のマンションで下層階と上層階で学区が違うなどの問題も出ています。公園が不足し、児童センターや子育て支援センターは人があふれ、子どもや親子が安全に遊ぶ場所がない、保育所は10希望まで申し込んでも入れないなど、採算優先の再開発の弊害が広がっていると聞いています。
 中野区でも同様のことが起こりかねません。他の分野・施策への影響をどのようにとらえていますか。庁内で情報を共有した議論を行っているのか、うかがいます。

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