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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

06.27

2019年第2回定例会本会議一般質問:浦野さとみ

 2019年第2回定例会・本会議におきまして、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。質問は通告のとおりです。

 質問に先立ちまして、4月の区議会議員選挙では、日本共産党議員団6名を区議会へと送っていただきました。一つひとつの公約の実現に向けて、区民の皆さんと一緒に力をあわせて、全力を尽くしていく決意です。

 それでは、質問に入ります。

1、まず、はじめに、行政報告について伺います。

 酒井区長が就任し、1年が経過しました。一昨日に示された行政報告とあわせ、1年前の就任時の所信表明をあらためて拝見しました。所信表明の冒頭に、「政策決定過程での区民参加のあり方が問われた選挙でした。区政の主役はあくまでも区民の皆さんであり、区政は住民自治によって進められるべきものという区民の皆さんの強い意思を感じました。区民の皆さんにさらに区政に関心を持っていただき、区政への参加が一層進むように努力していきたい」と述べています。

 今回の行政報告では、特に、2の「新しい基本構想と基本計画の策定」の項の中で、「広範な区民参加による議論を経て、区民の皆さんとの協同により」という記述や「多くの区民の皆さんの声を聴くことができるように努めている」など、区長が就任以来大切にされてきた「区民参加のあり方」に関する言葉が記されています。無作為抽出により選ばれた区民によるワークショップ、郵送やホームページでのアンケートを実施するなど、区民参加を拡げる新たな取り組みを実施されたことは評価致します。質問の後半で取り上げますが「ひきこもり」についてをはじめ、「所得の低い世帯への対応」「一人暮らしの世帯への支援」などを、課題として認識されていることは重要な点として共有致します。

●「区民参加のあり方」として、参加を保障し拡げていくことはもちろん、その場で出た「声」や「要望」が実際に活かされていくこと、互いのキャッチボールを重ねる中で施策に反映されていくことがより重要と考えます。そのことが、今回の行政報告の最後で述べられているように、「多様な主体との協働などの積み重ねにより、区民や関係団体の皆さんと区との間にゆるぎない信頼関係が築かれるとともに、地域全体の活力が増していくものと考えます」という、区長の想い・姿勢につながっていくのではないでしょうか。そして、このことは、区長自身が掲げた公約を実現させていく過程においても同様であると思いますが、区長の認識・見解を伺います。

2、次に、平和の森公園再整備について伺います。

 区から「平和の森公園内に新体育館を整備し、あわせて公園全体を総合スポーツ施設に改修していく」という方針が示されたのは、4年3カ月前、2015年の第1回定例会でした。当時、区のそれまでの方針としては、新体育館建設場所は現在の体育館がある場所を含めた「中野四季の都市(まち)区域3区有地」を候補地としており、あまりにも突然の方針転換でした。次年度の本予算が成立した直後、定例会最終日に平和の森公園改修検討に4000万円の補正予算が急遽、提案されたことも、その唐突さを裏付けるものでした。

 そもそも、現在、平和の森公園がある場所は中野刑務所があり、当時、刑務所移転のための大きな運動がおこり、その跡地の活用については沢山の要望があった中で、ここには「緑と広場の避難場所をつくろう」と、多くの区民・区・区議会が一体となって、長年の運動の結果、緑と広場の防災公園である平和の森公園の開園に至ったことは、まぎれもない事実です。そうした経過がある平和の森公園に、区民の皆さんや区議会でのまともな議論もないまま、公園のあり方を大きく変えてしまうこの方針が出されたことは、これまでの歴史と経過をないがしろにするものであったことは、重ねて指摘し、計画の見直しを求めてきたところです。

 その後、当時の少年スポーツ広場に多目的広場を、草地広場に300mトラックや100m直線コースを、さらにはバーベキューサイト設置や草地広場を分断する園内灯の設置、築山を壊してのすべり台設置などが示されました。
 そのことに対し、多くの公園利用者や地域住民の皆さんからは見直しを求める声が各意見交換会やパブリックコメント等でも圧倒的多数であったこと、また、議会に対しても、それらのことを趣旨とした10を超える陳情や請願が出されたことなどをみても、「緑とひろばを壊さないで欲しい」というのが、区民・公園利用者の圧倒的な声だったのではないでしょうか。

 だからこそ、昨年の区長選挙でも大きな争点となりました。もちろん、平和の森公園の問題だけで、酒井区長が当選をしたわけではありませんが、「草地広場への300mトラック設置は見直しをしていく。緑と広場を守り、草地広場は残します」との公約が、酒井区長が支持をされた大きな要素の1つであったことは間違いありません。そして、その後、昨年8月に平和の森公園再整備見直し案が示され、区民との語る会などを経て、まさに多くの公園利用者・地域住民の皆さんが望む平和の森公園第二工区に関する見直し案に基づいた工事請負契約変更に係る議案が今年の3月に提出されるという経過を辿ってきました。しかし、残念ながら、この見直しの議案は、19対20の僅差で否決となりました。

 しかし、その後の4月の区議会議員選挙でも、「平和の森公園草地広場を守って欲しい。これ以上壊さないで欲しい」という平和の森公園に対する、区民・公園利用者の願い・想いは一貫しているのではないでしょうか。こうした一貫した願い、そして、2度の選挙での示された区民の意志をないがしろにすることは、絶対にあってはいけないと思います。

 政治の主役である区民の皆さんが、自分たちの「声」と「行動」で政治は変えられる・動かすことができると実感している想いを、真っすぐに受け止めるべきです。議会構成は大きく変わりました。区長は、区議会議員選挙後の4月25日の区長定例記者会見の質疑応答の中で、「平和の森公園の整備スケジュールはどうなっているのか」との質問に対し、「平和の森公園については区議会の議決を尊重すべきと考えている。よって、3月の区議会の判断を踏まえ工事を再開したところである。今後は、第二回定例会での議会の意見を踏まえ考えていきたい」と、今後についてはこう述べています。まさに、第二回定例会での本会議質問は今日がスタートです。 一昨日の先議での補正予算審査でこの補正予算の中には、当初の予定通りの再整備内容、つまり、300mトラックや100m直線、コンクリートのすべり台設置などを含む当初案を完成させていくために必要な経費が含まれていることが質疑の中で明らかになりました。

 「工事がストップしていたことで、本来発生しない工事延伸に関わるお金が区民の税金から支払われることになるのではないか」との質疑もありましたが、区民の願いが反映された見直し案が可決されていれば、必要なかったお金ですし、そもそも、区民が望んでいないものにそれこそ税金をかけてつくることの方が、よほど無駄遣いになるではないでしょうか。建設委員会での質疑にあったように草地広場へのトラック敷設工事は8月からです。

●区長が「区民参加のあり方」を大切にし、そして、「300mトラックは見直しを、緑と広場を守り草地広場を残す」という自らの公約を実現するためにも、この新しい議会構成のもとで、あらためて、その意思を示すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

3、次に、よりよい子育て・教育環境について伺います。

(1)はじめに、子ども実態調査について伺います。

 先進国に比べても、日本の子どもの貧困率が高いことは厚生労働省の調査などからも示されており、また、特にひとり親家庭ではさらに深刻であることなどを提示しながら、区内での子どもたちの状況把握は欠かせず、区としての調査実施をと、かねてから党区議団として、繰り返し求めてきました。また、他の同僚議員からもこの問題提起は重ねて行われてきました。今年度、この実態調査が予算化され、実施に踏み出したことは歓迎するものです。

●今回の実態調査の対象者、および、調査の項目について答弁を求めます。 同時に、この調査を今後の区の施策に役立てていくためにも、しっかりと現状把握ができるものにし、その上で、対象者に回答していただき、回収率を高めていくことがより重要と考えます。5月末のNHKニュースで、全国で不登校になっている中学生370人余りを対象に、NHKがインターネットを通じてその原因を聞いたところ、5人に1人の割合で「いじめ」や「先生との関係」をあげました。
 一方で、文部科学省が学校を通じて行った調査で同じ原因をあげる生徒はわずか数%にとどまり、2つの調査に大きな差があったことが報道されました。 例えば、不登校の要因として、文部科学省が教員らを対象にしたものでは、「教員との関係」が2.2%だったのに対し、NHKの調査での生徒の回答は23%と大きな開きがありました。文部科学省の松木生徒指導室長は「子どもたちが、先生や親などに本当の悩みを打ち明けられない状況があるのではないか。子どものSOSを見逃さないように、スクールカウンセラーの配置やSNSなどお多様な手段で相談体制を充実させていきたい」としています。

●これから区が実施する今回の調査では、保護者だけでなく、小学4年生~中学3年の児童・生徒本人にも回答をしてもらうと伺っています。よりリアルな回答をしてもらうこと、そして、回収率を高めていくことが大切です。そのためにも、子どもたちが安心して回答できるよう、実施方法や回収方法での工夫が必要だと考えますが、見解を伺います。

●そして、この調査をどう活かしていくかが重要です。調査用紙の配布・回収以外で検討していること、また、当面のスケジュールについてもあわせて伺います。区としてようやく実施に踏み出したこの調査が、実態をリアルに踏まえた上で、よりより子育て・教育環境の施策につながることを切に要望し、この項の質問を終わります。

(2)次に、平和の森学校の新校舎建設について伺います。

 平和の森小学校は前期の小・中学校再編計画において、2011年4月に野方小と沼袋小の統廃合によって現在の位置に開校しました。統廃合にあたり、当時の方針も二転三転をしましたが、隣接する法務省の矯正研修所の移転が確実になったことを受け、その跡地に平和の森小学校新校舎を建設することを前提としての統廃合となりました。当初のスケジュールでは、2016年(H28年)4月が新校舎開校予定でしたが、度重なるスケジュールの変更があり、現在に至っています。

 児童数が当初の想定を大きく超える中、児童の休み時間の過ごし方に制約が出てしまったり教室数の不足によって毎年なんらかの対応が迫られたり運動会等の行事などでもかなりに窮屈な状況となってしまったりと、統廃合自体に問題があったことは、これまでも繰り返し指摘し、再編計画自体の検証・見直しが必要であることを求めてきたところです。

●今年1月末の子ども文教委員会に報告された資料では、2月に基本構想・基本計画(案)についての区民との意見交換会を経て、3月末に基本構想・基本計画の策定、2019年度から2020年度で基本設計・実施設計、2023年度に新校舎供用開始との予定スケジュールが示されていますが、現時点で基本構想・基本計画の「(案)」はとれていないと伺っています。その理由について、答弁を求めます。

 今月初め、中野たてもの応援団の方々が主催された「子どもたちの身も心ものびのびイキイキする建築と空間」をテーマにした講演会へ参加させていただきました。子どものための建築を数多く手がけてこられた富田玲子さんが講師で、今後の中野区での新校舎建設等で活かせる視点やヒントが沢山ありました。「子どもの五感が刺激され、しなやかな感性が高められて心身が解放されるような環境であること」「ここにしかないという地域のシンボルであるために、地域の特性を十分に反映し地域に連続した場所になっていること」「自然とともに、風・光・緑の心地よさを感じ、虫や鳥と接し、四季の移り変わりや雨や雪の楽しさ美しさを実感できること」が大事であると述べられていました。

 もちろん、地域で様々な状況が異なることは大前提ですが、だからこそ、地域や子ども・保護者、学校関係者を含めた議論を繰り返していくこと、設計や建築の専門家との共同でよりよい環境の学校をつくっていくことが必要だと、あらためて実感しました。

 平和の森小学校新校舎建設予定敷地内には、旧中野刑務所正門があり、先程、ご紹介させていただいた富田玲子さんがおっしゃる、まさにここにしかない地域の特性を活かせるのではないでしょうか。旧中野刑務所正門は、歴史、文化、教育など多角的な価値があり、区内のみならず都内、全国、国際的にも注目されています。今月23日には、ハーバード大学に在籍し、日本研究の第一人者であるアンドルー・ゴードン教授が中野を訪問し、旧中野刑務所正門を見学されました。

●区では、今年1月に、この正門について「現地での保存」とすることとしたという報告をし、2月に平和の森小学校新校舎整備に関わっての区と区民との意見交換会がおこなわれました。参加者からは、「区だけで決めずに、しっかりと意見を交換できるようにして欲しい」「門を活かした学校建設を」などの声も出されていました。区内の建築専門家の皆さんからは、門を活かした配置案も示されています。こうしたものも参考としながら、地域住民や子ども・保護者、学校関係者や各専門家の意見と知恵を最大限に集めて、設計の作業にあたっていくことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。

(3)次に、桃園第二小学校の校舎建て替えについて伺います。

 区では、中野区立小中学校施設整備計画に基づき、学校統合を伴わない建築後50年が経過している校舎の建て替えにあたっては、一時的に未使用となる空き校舎を仮校舎として使用し、その期間に現校舎を解体、新築にすることとしています。今後、その対象となるのが本郷小学校と桃園第二小学校ですが、ここでは、桃園第二小学校について伺います。

 桃園第二小学校の建て替えにあたっては、仮校舎として上高田小学校を使用することが検討されてきましたが、かなり遠方のために通学距離が長くなること、特に児童への負担も大きく安全対策についてなど保護者や地域住民からは見直しの声があがっていました。2015年第1回定例会予算特別委員会の中で、この問題を指摘し、改善・対応策について要望しました。また、他の議員からも指摘があり、先程、酒井議員からも質問があったところです。

 こうした中、今年の第1回定例会の子ども文教委員会で、今年の10月までに校舎建て替え手法の具体的検証を行い、11月頃に校舎建て替えの手法の方針を決定していくとの報告がされました。これは、区としても先に述べたような声も受けて、例えば、校庭に仮校舎を設置の上での現地での建て替えなども含め、校舎建て替えのあり方について検証をしていくということだと認識していますが、今回、あらためてこうした検証をおこなうこととした理由は何か、また、今後の検討を進めるにあたっては、最大限、児童・保護者・学校関係者・地域住民の要望が反映されるようにすべきと考えますが、あわせて見解を伺います。

(4)この項の最後に、子ども食堂への運営助成について伺います。

●東京都の制度を受け、今年度から中野区でも開始されました。当初、10件程度の申請を想定していたとのことですが、5月の〆切で1件のみの応募だったと伺いました。周知などに問題はなかったのか、伺います。

●これまで、社会福祉協議会での助成制度を利用していた皆さんにお話しを伺うと、助成制度の利用は社会福祉協議会か区かいずれかしか利用できないために、あらためて区に申請するよりは、これまでと同じく社会福祉協議会での制度を利用した方が手続きも楽であるとの声が多くありました。ただ、せっかく区として開始した制度なので、必要としている方々が利用しやすくなるように、今後の改善策、手立てについて検討すべきと考えますが、区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

4、次に、聞こえのバリアフリーについて伺います。

 先月、日本共産党都議団が「難聴と補聴器に関するアンケート」に取り組み、504人の方から回答をいただきました。その中では、「「聞こえないけど、なんとなく相槌を打っている」「サークルの中でまわりの声が聞こえづらくなった」「広いところでの話し合いには参加しなくなった」など、聞こえに対する不安の声が多く寄せられました。

 難聴が認知症の危険因子の1つであることは、2017年に開かれた国際アルツハイマー病会議での発表や厚生労働省の新オレンジプランでも指摘されています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年、認知症の人は予備軍とあわせて1400万人になると言われています。補聴器が必要な難聴者も、今後10年間で、1600万人になるとも言われています。難聴になると、周囲からの情報量が絶対的に減少します。その結果、先程、ご紹介したようなことが増える中で会話がうまく成立しないという経験を繰り返し、周囲との関りを避けるようになり、コミュニケーション・交流の機会が減少することにもつながります。

 そのことが、精神的健康にも影響を与え、認知機能の低下やうつ傾向を引き起こすことにもつながることが指摘されています。65才以上の2人に1人が難聴でなんらかの形で生活の質の低下につながるという実態もあります。難聴を「医療」のカテゴリーで捉えて補助制度がある欧米と比べ、日本では「障害者」のカテゴリーで捉えて助成対象を絞り込んでいるため、補聴器所有率が圧倒的に低くなっています。そこで伺います。

●こうした指摘や実態がある中、「聞こえのバリアフリーの重要性」についての区の認識・見解をお答え下さい。

●日本では、両耳で平均聴力が70db以上など、かなり重度の難聴でなければ障害認定による補聴器購入の補助が受けられません。これは、非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない状態で、聞こえても聞き取りには限界がある状態です。一方、国連の世界保健機構(WHO)では、中等度難聴の41db以上から補聴器使用が推奨されています。現段階では、加齢性難聴を治療する方法はないと言われています。そのため、難聴が進行してからの使用ではなく、自分にあった補聴器をなるべく早く使用することが重要とされています。こうした聴力低下がみられる方への早期からの補聴器使用の重要性についての認識もあわせて伺います。

 補聴器は非常に値段が高いため「本当は両耳で必要だけど片方のみにしている」「必要と感じるが、高すぎてなかなか手が出せない」という声も少なくありません。先に紹介したアンケートでも、補聴器を使用してみようと思う動機のトップは「購入費補助制度」でした。補聴器の現物支給や購入費補助など、補聴器に補助を実施している自治体は23区中8つ(中央・新宿・墨田・江東・大田・豊島・葛飾・江戸川)あります。この8つの自治体のうち、3つの自治体で東京都の補助制度を使っていることがわかりました。高齢者のための福祉の補助で「高齢社会対策 区市町村包括補助事業」と呼ばれるもので、この補助のメニューの一番下に「その他」の欄があって、「その他」と使えば補助を活用でき、東京都が2分の1を補助するというものです。ぜひ、こうした活用できる制度の情報収集などもおこないながら、中野区でも補助実施に向けて、前向きな検討を要望致します。

●加えて、聴力に関しての健診の重要性について伺います。加齢性難聴は、ゆっくりと進行していくため、本人自身が自覚しにくく、気がつくのが遅れがちになります。先にも述べたように、適切な時期に適切な補聴器使用につなげるためにも、早期発見が必要です。そのためには、聴覚検査が重要です。現在、中野区でおこなっている国保特定健診の項目に聴覚検査は入っていません。例えば、豊島区では65才になった際に無料で聴力検査を追加しておこなっています。北区では、500円と有料ですが、65才以上の奇数年齢の方に実施しています。ぜひ、中野区としても、健診メニューへ追加を検討してはいかがでしょうか。見解を伺い、この項の質問を終わります。

5、次に、ひきこもり支援について伺います。

 5月28日に川崎市で起きた無差別殺傷事件はいかなる理由があっても絶対にあってはならないことです。お亡くなりになられた方、被害にあわれた方、そのご家族ご関係者の皆さんに心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。ご遺族や事件に巻き込まれた子どもたちや保護者・関係者の心のケアを十分におこなっていくことが求められます。また、この事件から4日後の6月1日には、元農水事務次官の長男刺殺事件が起きました。容疑者である父親は「川崎市での殺傷事件を知り、長男も人に危害を加えるかもしれないと思った」との趣旨を話したとの報道も受け、非常に胸が苦しくなりました。

 なぜ、このような事件が起きてしまったのかを社会全体で考え、解明していくことがとても大切であると感じます。容疑者がひきこもり傾向にあったということで、「ひきこもり」と「犯罪」を軽率に結びつけるような報道もあり、「誤解や偏見を助長するようなことは控えて欲しい」と当事者や家族会、ひきこもり支援団体から相次いで声明が発表されました。
 特定非営利活動法人KHJ(Kazoku Hikikomori Japan)全国ひきこもり家族会連合会さんは、今回の事件についての声明文の中で、「ひきこもり状態にある人が、このような事件を引き起こすわけではない。ひきこもる行為そのものが問題なのではない。(中略)社会の中で属する場もなく、理解者もなく、追い詰められ、社会から孤立した結果、引き起こされた事件だったのではないか」「ひきこもり支援は、制度と制度のはざまに置かれがちである。行政の縦割り構造をなくし、部署を超えた多機関で情報共有して、密な連携が取れる仕組みをそれぞれの地域につくることが喫緊の課題である」と述べています。これは、重要な指摘・見解だと思います。
●そこで伺います。現在、中野区でおこなわれているひきこもり支援の現状について答弁を求めます。
●中野区のホームページにおいて、「ひきこもり 支援」と検索をすると、一番初めには「中野くらしサポート(自立相談支援窓口)」が出てきます。これは、健康福祉部生活援護課所管です。その次には、「こころの健康に関する相談・支援 こころのクリニック」が出てきます。これは、地域支えあい推進部の各すこやか福祉センターが所管です。また、障害福祉所管では「せせらぎ」があります。先に述べたように、部署を超えた多機関での情報共有が大切と考えますが、現在、部署間でとっている連携のあり方について伺います。
●東京都では「ひきこもりサポートネット」があります。電話・メール、家族への訪問により、本人・家族などからの相談に応じています。ひきこもりの長期化・高齢化も課題となる中、これまで「義務教育終了後の15歳~概ね34歳まで」の方を対象としていた訪問調査を、今月からは35歳以上の方への支援も開始し、年齢を区切らずに支援すると改善したことは歓迎すべき取り組みです。加えて、訪問相談の回数を増やすこと、各区市町村との連携を強め、年齢にかかわらず、本人も家族も安心して相談できる窓口に改善することが求められています。家族だけでの対応は限界があり、専門家の支えも欠かせません。都との連携はどのようにされているか伺います。
 今年3月末に内閣府から引きこもりに関する実態調査が公表されました。全国的な規模で数が明らかになるのは初めてで、この調査では、40~64歳の中高年のひきこもりの人が全国で61万人を超え、15~39歳の推計約54万人を上回りました。引きこもりの「高齢化」「長期化」が1つの調査として示されました。中野区としての支援のあり方を考える上で、今回の調査結果は活かせるものがあるのではと思います。
●区の資料を探すと、「中高年のひきこもり調査のまとめ」という2017年5月の健康福祉審議会-介護・健康・地域包括ケア部会の資料があります。この調査は、社会福祉協議会が実施したもので、資料としてはとても貴重なものだと思います。区長の行政報告・地域包括ケアシステム推進の項目内でも一部、触れられていましたが、今後、一つの大切なテーマになると考えます。東京都では、庁内横断の「ひきこもり支援施策推進会議」が始まっています。内閣府の調査、社会福祉協議会が実施した調査も積極的に活用しながら、また、東京都の取り組みなども参考としながら、区としての調査や支援のあり方を検討すべきです。見解を伺います。
●いま、とても生きづらい社会の中で、ひきこもるということは誰にでも起こりえることだと私は思います。そして、そこに至る状況や原因はひとりひとり異なります。だからこそ、ひとまとめにしてはいけない、ましてや「ひきこもり」と「犯罪」を安易に結びつけるようなことはあってはなりません。一般社団法人ひきこもりUX会議さん(Unique eXperience ユニーク・エクスペリエンス=固有の体験)のこの事件に関する声明文の中で、「社会のひきこもりへのイメージが歪められ続ければ、当事者や家族は追いつめられ、社会とつながることへの不安や絶望を深めてしまいかねません」と、指摘しています。
 一人ひとりが異なるということ、ひきこもり状態からそれぞれが自分なりの生き方を見つけていくことも、その道筋やゴールもみんな異なります。そこを共有していくことが本当に大事だと思います。その人にふさわしい「寄り添う支援」「伴走型の支援」が必要と思いますが、区の認識を伺い、この項の質問を終わります。

5、最後に、その他で、

(1)商工会館の跡地活用について伺います。

 昨年の第二回定例会で、中野区立商工会館条例を廃止する条例が可決され、今年3月末をもって、廃止されました。前区長のもとで売却の方針でしたが、酒井区長のもとで、安易な売却はしないとの方針が示され、この期間、同僚議員からも何度か質疑があったところです。
●商工会館が位置していた場所は、立地条件がよく3階にあった会議室などは、多くの区民・区内団体が様々な形で使用しており、地域住民からはこうした会議室機能は残して欲しいとの要望が強く寄せられています。跡地の活用については、区民の方々からの意見をしっかりと聞いた上で検討すべきと思いますが、見解を伺います。また、現時点で示せるスケジュールがあれば、あわせて答弁を求め、すべての質問を終わります。

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