政策・見解

新しい基本構想と10か年計画に関する申し入れ

2004年11月
日本共産党中野区議会議員団



2004年11月8日

中野区長 田中 大輔 殿

日本共産党中野区議会議員団

新しい基本構想と10か年計画に関する申し入れ

 区は、新しい基本構想の素案を12月に発表して区民説明を行い、来年第1回定例区議会で議決に付し、その後に基本構想のめざす中野を実現するための「10か年計画」を策定することにしています。
 日本共産党議員団は、基本構想と10か計画の「検討素材」が発表されるたびに、区民への報告と懇談会を開き、意見・要望を反映させる努力を重ねてきたところです。
 いよいよ素案発表の大事な段階になりましたので、あらためて下記のとおり申し入れを行う次第です。基本構想の素案と10か年計画に反映されるよう求めます。

1 区民の生活実態を踏まえ、自治体本来の役割を果たす行政計画にすること

 区は、「市場競争原理の導入」「ゼロベースからの見直し」「官から民へ」などの方針を強調し、「小さな政府」をめざす徹底した財政支出削減の方策を強行して来ました。
 区が作成した10か年計画(検討素材)では、「地域センターの廃止」や「学童クラブ、児童館機能の一部を小学校に移す」など、基本構想審議会答申にないことを書き込み、大幅な職員削減と支出抑制の仕組みを作ろうとしています。
 そのため、「区民の共通目標」であるはずの基本構想(第1稿)が、区民の生活実態や期待とかけ離れた、抽象的な文章の羅列になっており、区民にとって理解しがたいものになっています。
 区と区民の協働の目標として、区民生活の実態を踏まえ、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)べき自治体本来の役割を果たすものにすることを求めます。

2 区民憲章は別の次元で検討すること

 基本構想は「議会の議決を経て、その地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るため」(地方自治法)のもので、全ての具体的な計画の基本となるものであり、中野区は、10年後を目標年度としています。
 これに対し、「憲章」は期間の定めのない、区民誰もが共有できる普遍的なきめごとで、自発的な行動意欲を喚起するものです。
 性格の違うものを一体化し、しかも行政計画の中に区民憲章を位置付けることには矛盾があり、無理が生じます。
 区民憲章を定めるなら別の次元で検討すべきです。

3 「自己決定・自己責任」論をあらためること

 この言葉は、冒頭の「1.新たな時代に向けて」の最後の部分で、「自助・共助」を区民に求めることと一体のものとして使われています。この2つの言葉を重ねることにより、区民の果たす責任と負担をより重くし、区の責任を狭く限定して仕事を軽くしようとする姿勢がより鮮明になっています。
 本来、区民が「自己決定」を出来る条件を整えることが行政の責任であるのに、それもないまま区民に「自己決定・自己責任」を迫るのは間違いです。
 「自己決定・自己責任」という文言をあらため、区と区民が協働で進める住民自治の姿を追求すべきです。

4 警大跡地等の利用は緑と防災の広場を基本にすること

 基本構想は、13.7ヘクタールの広大な警大等跡地やサンプラザ、中野区役所、中野駅北口広場一帯を含めて、民間開発による超高層ビル群を誘導しようとしています。
 超過密で震災危険度が高い中野区にとって、警大等跡地は区民にとってかけがえのない広場です。緑と広場の防災公園は、長い期間をかけてまとめあげた区民合意の計画であり、巨大ビル群の犠牲にすることは認められません。
 ヒートアイランド現象や異常気象による局地的な集中豪雨、阪神・淡路大地震や新潟中越地震などで、環境問題と自然災害への取り組みが重要課題になっています。
 環境を守り、区民本位のまちづくりを進めるために、緑と防災の広場を基本とした計画に見直すこと。そのためにも真の住民参加の実現を求めます。

5 10か年計画に関する事項について

(1) 学校の統廃合は教育的配慮と住民合意を基本にすること
  行き届いた教育のために、全国で少人数学級の取り組みが進んでいます。40人学級を前提とせず、少人数学級を見通した計画を基本構想の中に確立すべきです。あわせて、小学校18学級、中学校15学級を最適規模と断定する考え方をあらため、小規模校の良さを正当に評価すべきです。
 先日教育委員会は、統廃合計画を前期、中期、後期、それぞれ5年ずつ15か年で進めるとし、それぞれ具体的な校名を発表しました。学校は子どもの教育の場であり、地域の文化と交流、および防災の拠点でもあります。
 [1]子どもと保護者及び地域住民の意見を十分聞きとり、全体の合意を得られる計画にすること、[2]少人数学級への変更にも対応できる、ゆとりを持った計画をつくることを求めます。
(2) 児童館は1小学校区1館を基本にすること
 乳幼児親子から中学生まで、幅広い年齢層の交流ができる場、学童クラブの場として今後も地域に必要な施設です。
 [1]1小学校区に1館の児童館を今後も基本として維持すること、[2]乳幼児親子への子育て支援の場として、機能と事業を区職員により充実させることを求めます。
 なお、中高生対応の施設が従来から求められています。10か年計画の中に、新たな整備計画を盛り込むよう求めます。
(3) 学童クラブを従来どおり児童館事業として位置づけること
 小学校の一角に学童クラブを移すことになれば、授業や学校行事との関係で遊びや運動が制限され、児童の預かり所になってしまうことは明らかです。
 統廃合計画によって学校規模が大きくなれば、いっそうの矛盾と軋轢を生むことは必定です。
 学童クラブを今後とも児童館事業の中に位置づけ、子どもと保護者の期待に応える努力をすべきです。
(4) 地域センターを存続すること
 地域センターは住民活動の拠点であり、「地域の区長室」「住民自治の拠点」としてこれまで大きな役割を担ってきました。住区協議会もそれぞれ地域の特徴を生かして、それぞれ活動を続けてきました。
 これまでの総括や、今後の課題を検討することもないままに、区の判断だけで職員を引き上げ、一方的にセンターを廃止することはあまりにも乱暴なやり方で、住民自治の発展を阻害するものです。
 地域センターと住区協議会のあり方を十分検討し、区民参加で今後の方針を決めるべきです。
(5) 総合公共サービスセンターの設置を再検討すること
 統廃合によって廃止された校舎を「子育て支援と保健福祉の拠点」にし、保健福祉センター等は廃止するとしています。
 総合公共サービスセンターでは、乳幼児健診から子育て相談、高齢者の相談や介護保険、障害者支援などを行うとしていますが、施設の条件や環境を考えれば、子どもと高齢者の生活実態を無視した、無茶な計画と言わざるをえません。
 保健福祉と子育て施策の全体像がないまま、施設計画だけが先行するのは区民不在の典型です。まず、保健福祉と子育て支援の総合的な施策を示すべきです。
(6) 区立保育園を存続し、保育と保育行政の質の向上を図ること
 「子どもにとって質の高いサービスが提供」されるとしながら、全国でも例のない「全園民営化」を打ち出しています。しかも東京都のお先棒を担いで「認証保育所の開設を誘導する」とまで書いています。
 子育ての環境の変化や、子どもの育ちに関する心配が増えているなかで、保育行政に  おける公的責任はますます重要になっています。保育メニューの拡大は、時代の要請として検討すべきことですが、そのことによって保育の質が犠牲にされることはあってはならないことです。
 中野区の未来に重大な禍根を残す民営化計画を撤回し、区立保育園を存続して質の向上を目指すことを求めます。
(7) 区立幼稚園を存続し、幼児教育の充実を目指すこと
 区立幼稚園を民営化し、保護者負担の引き上げを行うことにしています。
 これまでは、区立幼稚園が、幼児教育の「中核的存在として役割を果たす」「障害児を積極的に受け入れる」など、公立としての特色を生かした取り組みを進めることを明らかにしていました。この立場は今後とも幼児教育にとって重要です。
 私立幼稚園児の父母負担軽減につとめ、幼児教育に関して教育委員会が公的責任を果たせるように、教育条件・環境の整備に努めるよう求めます。
 なお、幼保一元化の方針が示されていますが、国は、幼稚園・保育園それぞれの規制を緩和し、それぞれのレベルを低い方にあわせて一元化しようとしており、関係者から厳しい批判があがっています。双方のレベルダウンにつながる幼保一元化はすべきではありません。
(8) 図書館は統廃合でなくいっそうの充実をめざすこと
 図書資料購入費を23区最低になるまで削減し、地域図書館の全面民間委託を強行するなど、図書館行政に関する予算の削減が際立っています。かつては図書館の建て替えが提案されていましたが、10か年計画では削減計画しかありません。
 図書館は子どもから大人まで、もっとも多くの区民が利用する社会教育施設です。
 現在の8館体制を維持し、図書資料とサービスの充実、新たな図書館機能を備えるための努力を求めます。
(9) 廃止しようとする学校や狭い公園の用地売却方針をあらためること
 区有地は貴重な区民の財産で、いったん手放せば戻ってきません。みどりと広場の効用が見直され重視されているだけに、公有地の存在は大事にされるべきです。
 売却を前提とした方針は見直すべきです。
(10) 平和、環境、住民自治などの取り組みを充実させること
 憲法擁護・非核都市宣言の精神を生かす取り組みや、環境問題、住民自治を発展させる分野には新たなものがほとんどみられません。今日いずれも新たな位置づけをもって重視すべき課題となっています。
 平和、環境、住民自治などの充実を求めます。
(11) 高齢者・障害者等への支援策を充実させること
 各事業の基盤整備の多くを民間事業者によって進めることになっており、事業の推進と内容の充実に関して、区がどういう役割を果たすかが大きな課題となっています。また、介護保険や支援費制度における苦情処理や処遇困難ケースへの対応について、民間事業者の努力に期待するだけでなく、区が主体的に取り組む必要が生じています。
 高齢者・障害者等への支援策の推進とレベルアップのための、区の主体的努力を求めます。

6 区民生活優先の財政運営にあらためること

 「10か年の行財政運営の考え方」では、三位一体改革の「税源移譲による収入の増は、計画的な事業実施のため基金への積み立てなどを行って」いくとし、新たな基金として[1]道路・公園整備基金 [2]まちづくり基金 [3]施設改修基金を創設することにしています。国の補助金が削減される一方で、税源移譲を受けた収入を積み立てることになれば、区民生活はいっそうの不便と犠牲をこうむることになります。
 区民生活にしっかり根ざした財政運営を求めます。

7 10か年計画の審議に十分な時間を保障すること

 基本構想の文案そのものは極めて抽象的で問題点があまり見えませんが、それを具体化する10か年計画では、区民生活にかかわる重要問題がたくさん見えます。
 本来両者は一体のものとして審議を尽くすべきものですが、来年の一定では基本構想だけが審議の対象となります。
 10か年計画については、別途十分な議会審議のための時間を保障することを求めます。

以上

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