子ども・子育て関連三法に基づく子ども・子育て支援新制度は、これまでの保育所、幼稚園の制度を根底から改変するものであり、多くの問題を抱えています。
新制度は介護保険制度をモデルにしており、これまでの市町村の責任によって保育を提供する制度を改め、利用者と事業者の直接契約にする仕組みへの変更です。市町村の責任が後退し、保育の市場化に道をひらくことになりかねません。
第一に、新たに地域型保育である小規模保育、家庭的保育、事業所内保育などが導入されますが、定員が19人以下と規模が小さいことを理由に、保育所等に比べて保育者の資格要件の緩和などが盛り込まれ、その結果、施設・事業によって保育に格差が持ち込まれることになりました。
小規模保育B 型は、保育従事者が国基準と同様の5割以上の有資格者にとどめています。他の14区で基準の上乗せをしていることからも、現行の認証保育所で保育士6割以上としている点からも、保育格差の解消に努めるべきでした。
第二に、保育所等の利用者にこれまで行っていなかった上乗せ徴収を、「区が定める利用費・日用品等実費を徴収可」として認めていることです。「保護者から文書による同意を得る」と言いますが、断ることができずに負担を強いることになりかねません。
第三に、認定、利用手続き、利用調整などに関する、区の責任についてです。法律では、短時間(8時間)と標準時間(11時間)の利用上限時間は月単位で定めるとされていますが、政府は、短時間は施設が設定した9時から5時までの利用を基本に、それ以外の時間帯は延長保育扱いとする、などと説明しています。しかし、延長保育や土曜日の保育についてはどう考えるのか、区もまた示していません。
第四に、本条例では、幼保連携型認定こども園について定めています。区は、「幼保連携型認定こども園を政策的に推進していく」としています。区立の幼稚園と保育園が幼保連携型認定こども園に移行されかねません。また、私立幼稚園等で行っている預かり保育の補助金をなくして、給付扱いすることで、認定こども園への誘導を図っていくことも考えられます。
最後に、現行の認可保育園を基本に待機児童解消と保育の質を確保すべきなのに、その姿勢が見られないことです。児童福祉法24条1項があっても、政府が新制度で極力触れないという欠点を抱えているもとでは、区が条例にきちんと明記すべきでした。
児童福祉法24条1項を根拠に保育所の増設と施設・職員配置の改善と充実を図ることが極めて大切です。