最高は16倍にも「検討不十分のため出し直し」へ

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区長選直後だというのに、中野区は区の施設使用料・幼稚園保育料を大幅に引き上げる方針を示しました。「検討不十分のため出し直す」こととなりましたが、第3回定例会で再び大きな問題となります。7月25日に党区議団が区長・教育長に申し入れた文書を掲載します。

2006年第2回定例区議会において、「区の施設使用料・幼稚園保育料の見直しについて」の報告がされました。その「見直しの基本方針」では、これまでの考えを改めて「職員人件費」と建物の「減価償却費」を経費に新たに算入するとしています。「試算」によれば、引き上げられる施設区分は130件余りで、そのうち1・5倍以上の使用料額となるのは107件にのぼります。なかには現行額の16倍になる施設さえあります。区長選挙が終わった途端に、使用料の値上げが示されたことについては、区民をないがしろにするものです。
この「使用料見直し」については、議会・区民から様々な意見・批判が出たことで、「検討が不十分のため出し直す」こととなりました。「減価償却費」と「職員人件費」の算入、「公費負担のあり方」、及び「減免制度廃止」後の問題を再検討するためとしています。どのように再検討するかについては明らかにされていませんが、これまでの原価計算方式に、「職員人件費」や「減価償却費」を原価基礎に加え、すべて区民負担に転嫁するなどは許されません。
昨今、区は市場・競争原理を導入して、自治体行政を民間企業と同様に目先の「コスト・採算」を優先とした運営にひた走っていますが、「使用料見直し」もその一環といえます。
「出し直す」のであれば根本的に検討し直し、既に示した「区の施設使用料の見直し」については、撤回することを求めます。

1 「受益に対する区民負担の公平を図る」ことについて

地方自治法では「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」を公の施設(区の施設)としています。つまり、区の施設は住民自治と住民生活の向上に役に立つものとして、住民の自主的な目的と意思によって利用されることが必要です。区の施設は、多くの区民に利用されてこそ、その目的が達せられるといえるでしょう。それゆえ区が、施設を住民が積極的に利用できる条件・環境をつくっていかなければなりません。1998年に地域センター等を有料化した際に問題になったのは、この点にありました。区が公共性や区民の自主的・自発的な活動を狭くとらえ、新たな「基準」を設けたことが、その後の施設利用に少なくない影響を与えました。
したがって使用料は、誰もが利用できるように無料であるか安い料金であることが必須条件です。そのことを度外視して利用者に負担をかぶせるなどは、およそ自治体行政のとるべき姿勢ではありません。

2 「『職員人件費』や建物の『減価償却費』を経費に新たに算入する」ことについて

「職員人件費」や「減価償却費」を経費に算入させれば、現行の使用料が跳ね上がるのは当然です。だからこそ従来、原価計算には入れないできたといえます。議会・区民にまともな説明もなく、「施設の維持管理に係わる」からと勝手に「原価基礎に加える」ことは余りにも乱暴です。
「減価償却費」については、実際の支出を伴なうものではありませんが、事実上、施設の建設にかかった費用を回収するというものです。税金で建てた施設に、なぜ区民がこの分も加算された使用料としてお金を払うのか、まったく説明がつきません。

3 「減額・免除制度の廃止」について

「利用する区民と利用しない区民、利用する区民間における負担の公平を図る」ために、「減額・免除を行わない」としています。
子どもや高齢者、障害者などに対する新たな料金設定を行うことで、使用料値上げによる影響は及ばないかのような説明をしていますが、具体的には何一つ示されていません。減額・免除を廃止しても「区と一緒に行う『共催』ならば、その利用団体の使用料は無料にする」とか、「公益活動への助成制度」による団体への支援、あるいは「新たな補助金」についても検討しているようですが、もともと、施設利用に対する「減額・免除制度」とは性格の異なるものです。利用団体にとって利用しづらい状況をつくることは避けるべきです。また、区のお眼鏡に叶った「団体」や「事業」でなければダメといったことになりかねないことを危惧します。
「減額・免除制度」を区民にとって公正・公平でわかりやすく改善することはあっても、廃止するなどは認められません。

4 幼稚園保育料の改定について

この事項は「区の施設使用料見直し」と分けられ、既に区報への掲載と説明会が行われました。しかしながら、重要な問題であるため指摘しておきます。
「公私格差是正」の観点から、保育料を見直(す)としています。しかし、そもそも「公私格差是正」とは、公立に比較し相対的に高くなる私立の保育料を安くおさえるために補助金等で支援してきたのが実態です。それを都合よく解釈して、私立幼稚園保護者補助金の増額分をおよそ2万4千円から3万円とし、あとは区立幼稚園保育料の引上げで「是正」を図ろうとしています。3年後には、現行のおよそ1・5倍もの保育料になります。その上、私立幼稚園の保護者負担は年々上がっていると聞きます。「子育て支援」を言いながら、まったく逆さまのことを行うことは許されません。区が公的な責任を果たすことが肝要です。こうした「公私格差是正」を振りかざして、幼稚園保育料の値上げをすすめることは認められません。改めるべきです。