2017年第一回定例会本会議にて、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。

1.国民健康保険について

(1)保険料について

○1月の特別区長会で、2017(平成29)年度の国保の基準保険料率が確認されました。被保険者に占める前期高齢者の割合が増え、調剤医療費も増えることで、一人当たりの医療費が増えるため医療分の賦課総額が増加するとしています。高額療養費への一般財源からの繰入れは2018年度には予定通り廃止をし、そのことを前提に一般財源の繰入れ割合を25%とします。その結果、1人当たりの平均保険料が11万8441円。前年度比7252円、6.52%の値上げとなり、これで15年連続の値上げになります。しかも、この5年間の中で金額・率とも最高の値上げ幅となります。国の政令改正で低所得者の均等割の5割・2割軽減の対象を増やしますが、低所得世帯を含め軒並みの値上げです。例えばモデルケース試算では、年収300万円の年金生活2人世帯で22万2936円の国保料が、1万4685円も引きあがり23万7621円にもなります。40歳から64歳の方は、これに各区の介護分が加算されるので負担はより大きくなります。
 保険料の負担は限界にきています。現在も約3分の1の世帯がそうですが、中野区の被保険者に占める滞納世帯がいっそう増え続けることになります。保険料だけでなく医療機関での3割の窓口負担が重くのしかかり、医療にかかれない事態を生むことにもなります。絶対にそうさせてはなりません。保険料の値上げはやめるべきではないですか。うかがいます。

○社会保険は強制加入が大原則です。国保は、他の公的医療保険の対象とならない人々すべてが加入し、皆保険制度を下支えする役割を担っています。保険料負担が困難な人も加入者になることが大前提です。だからこそ、保険料負担については負担能力に応じた「応能負担」の原則を徹底しなければ、負担能力の低い人々が社会保険から排除されてしまう。現実に国保の現場でおきている実態です。保険料負担が重く家計を圧迫し、貧困を拡大する要因ともなっています。国庫負担の増額は待ったなしです。
昨年の12月26日付けで厚生労働大臣あてに、特別区長会会長名で「国民健康保険制度に関する特別区緊急要望について」が提出され、「国の責任において必要な対策を講じられるよう」と要望しています。我が党議員団は、国保制度における国の責任と国庫負担の増額を繰り返し求めてきました。これまで区長は「求めない」と言ってきましたが、このたびの特別区長会による「緊急要望」には賛意を示し、国庫負担の充実を求める立場に立ったと理解してよいですか。うかがいます。

(2)国保の都道府県化について

○2018(平成30)年度からの国保の都道府県化では、「都道府県が財政運営の責任主体として中心的な役割を担う」こととされる一方、市町村においても、「地域住民と身近な関係の中、資格管理、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保険事業等の地域におけるきめ細かい事業を引き続き担う」とされています。新制度では、都道府県が1年間の医療費を推計し「国保事業費納付金」として自治体ごとに決定することになります。市町村は納付金を100%納付しなければならないため、不足が出れば一般会計からこれまで通り法定外の繰入が求められることになると考えますが、いかがですか。うかがいます。

2.地域包括ケアシステムと介護予防・日常生活支援総合事業について
○地域包括ケアシステムをめぐる取組みでは、医療と介護の連携が要であると考えます。地域包括ケアシステムで新しく位置づけられた4つの事業の1つに「在宅医療・介護連携推進」があります。政府は改定介護保険で、「在宅医療・介護連携推進」によって、医療提供体制の縮小・再編による「病院追い出し」の受け皿づくりを期待していますが、そうさせてはなりません。市区町村の役割は「地域の現状把握・連絡調整等」となっていますが、医療は都道府県が医療計画等を所管しており、市町村は権限そのものが少ない上に、医療分野の知識や蓄積が不足しています。また、医療と介護の両方を一括して担当するセクションが市区町村組織内にないところが圧倒的でもあります。厚生労働省や東京都が「医療と介護の連携」が大切だと唱えても、遅々とした前進しか実現されていません。「都・医療、区・介護」の壁を取り払うことは果たして無理なのでしょうか。
 お隣の練馬区は、独自に地域医療計画を策定しました。その中で、不足している病床確保のための分析と地域医療の課題が整理されています。練馬区が主張するように、医療計画の一部分、病床の回復期と慢性期については、基礎自治体の判断で必要数を決定できるようにすることは医療計画として検討に値するのではないでしょうか。見解をうかがいます。
 
○「介護予防への総合的な取組みの考え方について」では、介護予防ケアマネジメント体制の強化が示され、地域包括支援センター専門職員による訪問体制を含む相談体制の強化が記されています。これまでの介護予防ケアマネジメント、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援に加え、新総合事業が始まると、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、地域ケア会議の推進、生活支援サービスの充実・強化が盛り込まれました。相談件数の増加で日々業務に追われているなかで、虐待ケースへの対応や新総合事業にかかわる取組みをどうマネジメントしていくのかが大きなポイントになってくると言われています。
2006年の制度改定では、予防給付のケアマネジメントが発足したばかりの地域包括支援センターに移されたため他の業務に手が回らず、「予防プランセンターになっている」と酷評されたことがありました。今回をその二の舞にしてはなりません。
地域包括支援センターの職員体制の抜本的な拡充をはかるためにも、委託料を増額し、区が密接な連携を日常的にとって、行政責任を明確にした運営を行うことは不可欠です。見解をうかがいます。

〇また、地域包括支援センターに対する支援として、「すこやか福祉センターの技術的助言」とありますが、現場での高齢者福祉・介護に携わってこそ、相談支援業務やケアマネジメント支援等のスキルも身につくのではないでしょうか。
 地域に点在する地域包括支援センターで行われる業務がきちんとマネジメントされるためにも、区内全体を俯瞰してマネジメント機能を強化する必要があると考えます。基幹型の地域包括支援センターを直営にて新たに設けることを検討すべきではないですか。お隣の豊島区では、直営の地域包括支援センターがなくなっていましたが、基幹型の包括支援センターの必要性が再認識されて再建されています。
4つの生活圏域に点在する8か所の地域包括支援センターの水準を維持発展させていくことにつながるのではないですか。見解をうかがいます。

(新総合事業について)

○中野区では、介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防への総合的な取り組み、いわゆる新総合事業を4月から実施するとしています。先日、区民委員会等に報告された「現行相当サービスの進捗状況について」によれば、「現行相当サービスは、予防給付に係る報酬の95%相当額とする予定であるが、利用者の状態に維持・改善が見られた事業所に対して加算を創設することにより、事業者のインセンティブを促し、区民の介護予防をすすめる」としています。ただし、適用は平成30年度以降に実施するとされ、平成30年以降は報酬を下げて現行サービスを実施するというものです。改善を何によって判断するかと言えば、要介護度が軽くなればというものです。高齢者の状態は様々で、要介護度だけでは一律に測れません。しかも早期改善を求めていくとなれば、事業所のサービス内容の水準確保は欠かせません。今でさえ介護報酬が下がり、介護給付の中でのサービス維持が困難になっています。平成30年度以降についても介護報酬同様の報酬とすべきではないですか。うかがいます。

〇緩和した基準によるサービス(サービスA)の指定事業者の参入は、現在、通所サービスは1か所、訪問サービスは3か所だと聞いています。区は、指定事業者の参入を期待しているようですが、実状は厳しいのではないですか。安定したサービス提供は期待できないと思われます。国のガイはドラインでは専門性を問わない無資格者を大量に活用することを奨励しています。現行介護保険事業者への緩和基準サービスの導入は、ホームヘルプ・デイサービス全体に混乱を与え、その専門性と社会的評価を低め、サービスの質を低下させる可能性があります。生活全般の支援を行うホームヘルパーは在宅サービスの要であり、生活援助の担い手の「非専門職化」としないことが重要です。厚生労働省サイドからも「既存の介護事業者の報酬単価を削るようなサービスをつくるということは、専門職のホームヘルパーの賃金を低下させることにつながり、さらなる介護人材の不足を招く可能性もある」として慎重な対応を求める指摘がなされるほどです。
資格を取る講座を開くことや、積極的に専門職を置くところには補助金を出すなど検討すべきではないですか。うかがいます。

〇住民主体サービス(サービスB)はボランティア等が提供するサービスです。
国のガイドラインでは、人員・設備について一切の基準を示しておらず、「清潔保持」「秘密保持」「事故対応」などを運営基準に書いているだけです。「善意」「自発性」に基づく行為を、法令に基づく「サービス事業」に位置づけること自体に無理があります。生活支援に係わるサービスについて厚生労働省は「生活支援サービス=住民の互助」を推進する手段と位置づけています。「多様な生活支援サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援する」として生活支援の担い手の養成・発掘等の地域資源の開発やそのネットワーク化などを行う生活支援コーディネーターの配置と協議体の設置を行うとしています。生活支援コーディネーターは住民間のコーディネートだけでなく、地域課題を解決するために必要な資源、施策を作り出すための役割も期待されるところです。さいわい中野区では区の職員が生活圏域であるすこやか福祉センターと庁内にも兼務ではありますが配置されています。それゆえ具体的な地域課題の抽出、施策・事業の展開につながりやすいと考えます。
住民主体サービスは、「代替サービス」の受け皿づくりとしてボランティア等による互助に期待するのではなく、公的責任を果たしてサービスを確保すべきと考えますがいかがですか。うかがいます。

3.教育行政について

(1)中野区教育大綱(案)について

1月に中野区教育大綱(案)、並びに中野区教育大綱(素案)に係わる意見・質疑の概要が議会に報告されました。
○中野区教育大綱の位置づけについて、お聞きします。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改定により、「当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めることになりました。現在、中野区教育大綱(案)に対するパブリック・コメント手続きを実施しているさなかです。区は、議会への報告のなかで、大綱は基本構想を踏まえた教育部分の指針という形、10か年計画にあたるのが教育ビジョンというものであると述べています。また、教育ビジョン(第3次)については素案のなかで、基本構想、10か年計画及び中野区教育大綱と整合性のあるものとして策定としています。
文部科学省の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)」によれば、「地方公共団体において、…教育振興基本計画その他の計画を定めている場合には、その中の目標や施策の根本となる方針の部分が大綱に該当すると位置づけることが考えられることから、地方公共団体の長が、総合教育会議において教育委員会と協議・調整し、当該計画をもって大綱に代えることと判断した場合には、別途、大綱を策定する必要はない」とされています。この通知を読む限りでは、大綱と教育振興基本計画(中野区教育ビジョン)における上下関係はないと思われます。そこでうかがいますが、①教育大綱と教育ビジョン(第3次)は、対等の位置づけであると理解してよいですか。②教育長及び教育委員は教育行政が教育大綱に即して運営されるよう意を用いなければならない旨、定められていますが、これは教育大綱そのものに強制力があるものではないと理解してよいですか。うかがいます。

〇中野区教育大綱は、中野区の教育に関する総合的な施策について、中野区教育ビジョンで記す目標や施策の根本となる方針であるとしています。先に触れた国の通知では、「大綱の主たる記載事項は、各地方公共団体の判断に委ねられているものであるが、主として、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数教育の推進、総合的な放課後対策、…幼児教育・保育の充実等、予算や条例等の地方公共団体の長の有する権限に係る事項についての目標や根本となる方針」とあり、教育に係わる「外的事項」=教育の環境・条件整備を中心としたものであると認識しています。ところが中野区教育大綱(案)では、「めざす人物像を設定した上で、中野の教育のあり方について5つの取り組みの方向性を示す構成とした」としています。ちなみに東京都教育施策大綱骨子では重点事項を項目別に箇条書きしていますが、構成を「より分かりやすくするために」は、こちらを参考にすべきではないですか。見解をうかがいます。

○中野区教育大綱(案)の内容に触れて、お聞きします。
 中野区教育大綱(案)前文には「人として生きる上で変わってはいけないもの」の例示や、それを「守るべき人としての根幹的な価値」として記述されていますが、訓示的に感じられ、権利意識を育もうとする意思が感じられません。これらが子どもや若者の姿勢や心のあり方として、普遍的な価値観として捉えようとしているのはいかがなものかと考えます。
 また、「時代の変化を適切に受け止め、よりよい社会に向けて変化をリードする。そうした人材を育て、世に送り出すこと」と述べられれば、区が例示としてあげた価値観と合わせ読むと、国や企業が効率的に使える「人材育成」が中野区のめざす教育なのかと思ってしまいます。
時代の変化を適切に受け止めるのであれば、子どもの貧困をはじめ、今の子どもや若者が様々な困難にさらされ、自尊感情や未来への希望を奪い取られていることに言及し、その状況を切り拓き、子どもと若者に希望をもたらす教育を創り出すことを目標に据えることが必要ではないですか。見解をうかがいます。

○中野区教育大綱(案)で示す「中野の教育がめざす人物像」なるものは大綱にふさわしいのでしょうか。
例えば「公徳心に富み、社会に役立つ人」とありますが、決めつけの道徳教育という誤解を生みかねません。人間の道徳性は、自らの行動を点検し自己吟味する内的規範であるとともに、社会の仕組みや正義がどうであるべきかを批判的に吟味する規範としての側面を持ちます。「自己責任」論が流布されていますが、社会に目を閉じさせ、社会の不正義を問わないままに、すべてを自分の弱さや努力の足りなさとして放置するこの考えは、人間の道徳性の本当の発達を押しとどめるものですらあります。
また、「家族、わがまち、そして自らの祖国を愛する人」とありますが、家族、わがまち、祖国が住みやすく、居心地がよければ自然にわいてくる感情であり、めざす人間像としては違和感を持ちます。むしろ、家族形成、異文化に育った外国人とも協力して社会をつくっていく立場からの記述がふさわしいと考えます。
 子どもの権利条約では、子どもを権利の主体として尊重し、「子どもの最善の利益」を何よりも大切にし、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利などを謳っています。子どもの可能性を最大限に伸ばし、自分も他人も大切にされる存在だと知って、平和で平等な社会をつくる存在に成長しようとする、そうした教育のめざす姿を描くことを盛り込んではどうでしょうか。見解をうかがいます。

(2)学校統廃合と少人数学級について

○全国で35人以下の少人数学級が広がっています。東京都の小池知事は、この課題についてはまだ言及していません。国は、小規模校を問題にしますが、課題はふさわしい教員配置がなされていないことが大きい課題です。国も都も教員の増員と小規模校への配置を積極的に進めていくことが必要です。換言すれば、35人以下の少人数学級を推進し、ふさわしい教員配置をするなら、学力をつける学習面はもちろん生活面においても効果を発揮することは間違いありません。子どもたちの存在をありのままに捉えるために大人の目が増えることは良いことです。忙しい教員の報告事項などの事務仕事を減らして、子どもたちに向き合う時間を十分にとることもできます。
 35人以下の少人数学級は世界の常識です。今後、日本においても進められていくことになるでしょう。35人以下の少人数学級に対する評価と、今後の見通しについての認識をお聞きします。

○現在、小中学校再編計画、学校統廃合が進められています。来年度予算案の中では普通教室の不足が見込まれる学校について、学級数増設が予算計上されています。平和の森小、白桜小など、我が会派が再三指摘してきた学校の教育環境に係る問題が区内あちこちで顕在化してきています。
中野区の住民登録者数が増え、就学児童数の変動の見込み違いもあらわれています。廃校を避けて統合校を希望する児童も増えています。区の都合で子どもと保護者をふりまわし、地域にも影響を及ぼしてきました。
 また、統合新校での運動場面積についても改善が図られるどころか、1人当たりの児童に対する確保すべき面積は狭くなってさえいます。教育上も安全上も適切とは言えず、改善が図られるべき事柄です。前期の再編計画をまともに検証することなく、学校統廃合を進めているのは問題が大きいと考えます。
 今日の社会経済情勢のもとでは人口減少は続いていきます。一方、都心回帰など東京都の人口動態、中野区の人口微増は10年単位でみればあるでしょう。その上で、先に触れた35人以下の少人数学級が展開されることになれば、どうなるのか。学校統廃合計画はそうした教育の条件・環境の整備を考慮した上での計画になってはいません。統廃合の基準としているのは、あくまで学級数です。35人以下の少人数学級によって学級が増える可能性は高くなります。統合新校の児童数推計においては、1・2年生を1学級35人としているだけです。10年・20年の期間でみていけば、当然、他の学年についても1学級35人ないしそれ以下を与条件とした制度設計が必要となるのではないですか。しかし、計画ではうかがい知ることはできません。見解をうかがいます。

4.その他

(1)都立中野工業高校の建替えについて

〇来年度の東京都の予算案に都立中野工業高校の校舎等の建替えに係わる基本設計費用が計上されたと聞いています。大規模な工事が想定されますが、本来であれば、基本構想・基本計画などの事前の説明があってもよかったはずです。現在、中野区は当該地域の道路整備を進めていますが、中野工業高校の建替えに伴い、河川の管理通路の整備や河川改修等も計画として検討もされてくると思われます。
 こうした点について、地元の周辺住民の方々には何ら説明も、情報提供さえ行われていません。東京都が行う事業とはいえ、旧中野区立第六中跡地が更地のままになっていることもあり、周辺住民の方からの問い合わせもあります。
 中野区として、東京都に対して積極的な情報提供を求め、議会や当該地域の町会・自治会、周辺住民の方々に知らせることが必要ではないですか。うかがいます。