上程中の第1号請願【平和の森公園再整備基本計画について】につきまして、日本共産党議員団の立場から賛成の討論をおこないます。

この請願は、区が現在進めようとしている平和の森公園再整備にあたっては、「区として平和の森公園利用者に対し利用者アンケートを実施すること、また、その結果を踏まえ、利用者・区民の多様な意見・要望を把握し、真摯に向き合って区と区民が共同しての平和の森公園の再整備をおこなって欲しい」ということを主旨とするものです。また、本請願には、請願提出者の皆さんらが中心となって実施した、公園来園者に協力をいただいたアンケート1605名分が添えられています。

そもそも平和の森公園の開園に至っては、区民・中野区・区議会が一体となっての長い歴史と運動がありました。72年間、刑務所として機能してきた用地に、1954(昭和29)年を起点に刑務所の移転を求める区民運動が広範に、かつ、ねばり強く展開されました。1975(昭和50)年9月の法務大臣の廃止声明は「全区民一致の長く苦しい区民運動の成果」とされています。その後、廃止声明をめぐって区民の間に多様な区民福祉施設等の要求が広がり、跡地の活用については、「300mのトラックと100mの直線コースが設置できるようにして欲しい」という陳情や「野球場をひろば部分に移したらどうか」などの様々な意見が出されていました。
しかし、区民協議会において再三の討議が重ねられ、「今後、二度と出現し得ないであろう貴重な公共空間」であるとの認識から、「20余年の区民運動が求める“みどりの広場と避難場所”の目的と過密な中野区の現況に照らし、跡地は可能な限り空間として確保し、分割的な利用はせずに一体的な活用を図るべきである」「覆蓋の上部は緑の芝生とし多目的に使えるひろばとする。固定したスポーツ施設は一切設けない」とされ、「緑とひろばの避難場所」をとの結論に至っています。

1981(昭和56)年2月には、前年に設置された「中野刑務所跡地利用計画区民協議会」が丸1年を費やして、「中野刑務所跡地にみどりの防災公園をつくるために」と題する基本計画案をまとめ、区長に提出しています。基本計画案では4つの柱が示され、その中で「緑の広場を中心に樹林帯と水辺をできるだけ多く配置して防災に備える。平常時には、子供たちが自由に遊びを創り出せるような広場や、家族でレクリエーションを楽しめる多目的な空間とする。‥(中略)…さらに、障害のある人、お年寄り、子供などあらゆる区民が、日常、非日常とも気軽に利用できるよう十分配慮する」とされました。
また、1997(平成9)年から1998(平成10)年に至る「平和の森公園第2期整備地域検討会」における成果においても、この公園の基本的な位置づけは「刑務所跡地利用区民協議会報告-昭和56年-」が示す“みどりの防災公園”と“家族を中心としたレクリエーションの場”であることが確認されています。こうした、長年にわたる区民・中野区・区議会が一体となっての運動とその成果の結晶が、現在の平和の森公園です。

現在の平和の森公園は、いま、本当に区民に愛される公園になっているのではないでしょうか。緑が豊かで、いつでも・誰でも・自由に利用できる、これだけの広大な草地広場と樹林帯をもった場所は区内でも大変に貴重です。子どもたちにとっても安心して自由に遊べること、また、どの時間帯においても幅広い年代の方がそれぞれの親しみ方で健康・いきがいの場として利用されています。

しかし、今回、区が示している、少年スポーツ広場の拡張にあたり約300本の樹木が伐採されることが明らかになり、草地ひろば内への300mの陸上競技トラック設置によって、平和の森公園全体のあり方が大きく変わります。現在の利用が制約されかねません。昨年秋に区議会に提出された「いまのままの平和の森公園を残して欲しい」という主旨の7つの陳情や、このうちの2つの陳情に添えられていた6000人を超える署名の数をみても、その重大さがみてとれました。だからこそ、これまでに区が主催しておこなった区民との意見交換会などにおいても、計画の見直しを求める声が圧倒的だったのではないでしょうか。今回のこの請願は、こうした経過やこれまで出された意見に対する区の対応について問題があるからこそ、議会に対し提出されたものと考えます。

請願の1つ目の主旨である「中野区として平和の森公園利用者に対し利用者アンケートを実施してください」という点については、請願理由にも触れられているように、中野区が発行する【中野区みどりの基本計画】の第4章の中において、公園整備計画の策定においては利用者のアンケートなど踏まえて計画を策定しますと記されています。区は、「平和の森公園の再整備にあたっての利用者アンケートはおこなっていないが(中略)利用者の意見等は説明会の場で聞くこととした」と説明します。しかし、今回の平和の森公園再整備基本計画において、【中野区みどりの基本計画】は上位計画にも位置づけられており、区が定める計画に基づいて策定過程において利用者アンケートもあわせておこなうことは当然のことと考えます。

請願の2つ目の主旨である「前述のアンケート結果を踏まえ、利用者・区民の多様な意見・要望を把握し、真摯に向き合い、区と区民が共同して平和の森公園再整備を行う方向に立ち戻ってください」という点については、これまでの意見交換会等の中でも再三にわたり、要望が出されていました。しかし、先程も述べたように、それにも関わらず、区は意見を聞きおくだけの姿勢に終始しています。当初の計画に比べ、草地ひろば内のトラックの位置については若干の変更はあったものの、区自身も「反対意見が多かったことは認識しているが、計画の基本的な内容を変更することは考えていない」と述べるなど、区の計画を当初から押し付ける姿勢に変わりはありません。
請願理由にあるように【中野区みどりの基本計画】には、「公園リニューアルには日常的に利用する地域住民の意見を反映して行います。そのため、公園計画の策定、公園整備においては区民参加型での実施を検討し(中略)、区民主体の制度導入に努めます」とされており、区が利用者・地域住民の意見を反映しながら、再整備を進めていくことは当然の主旨と考えます。

区は今回の平和の森公園の再整備にあたり、「刑務所解放に係る長い区民活号の歴史や区民協議会の計画案を継承したもの」と繰り返しますが、区が今回示す「スポーツ振興の拠点」とすることについては、これまでの区民協議会の議論の到達を捻じ曲げるものであり、時の行政の都合で平和の森公園の利用計画を変更することは許されるものではありません。そもそも、この計画は、区役所・サンプラザ解体後の再開発のために、新区役所を移転しなければならず、その計画に押される形での平和の森公園内への新体育館建設ではないでしょうか。新体育館建設にあたっても、閉鎖期間が生じない最善の方法も含め、配置場所についても十分な区民参加を保障して検討する必要があります。

区が実施した、「平和の森公園再整備基本計画(案)」に対するパブリックコメントには、延べ137人から意見が寄せられ、その多くは計画の見直しを求めるものでした。しかし、パブリックコメントで提出された意見を受けての変更点は「なし」とされており、ここでも区の姿勢がみてとれます。工事費用や今後の植栽計画等もいまだ示されていません。公園も体育館も区民に愛されてこその大事な財産です。その上でも、利用者を含めた区民の意見に真摯に向き合い、合意形成の上で、再整備計画を再考すべきであることを重ねて申し上げ、本請願に対する賛成討論と致します。