【本会議・代表質問】
(2012年2月20日)

中野区議会議員 長沢和彦

  1. 区長の政治姿勢について
    1. 所信表明について
    2. 事業見直しと2012(平成24)年度予算案について
    3. その他
  2. 第5期介護保険事業計画について
  3. 公契約について
  4. その他

○31番(長沢和彦) 2012年第1回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

1 区長の政治姿勢について


(1)所信表明について

 初めに、区長の政治姿勢について、所信表明について伺います。
 区長は、所信表明で「経済成長の見通しもなしに税負担だけをふやしても、不況による経済規模の縮小で増税の効果が相殺され、予定するほどの税収増は得られない」と述べられています。これ自体はそのとおりです。現在焦点となっている「社会保障と税の一体改革」とは何でしょう。無駄遣いは続けたままの消費税10%の大増税であり、肝心の社会保障は切り捨てばかりです。これでは日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻も一層ひどくなり、到底認められません。区長は、消費税増税に対して政府が「なりふり構わず進めようとしている」と批判しています。そうであれば、区内外に消費税増税反対の意思表示を明確に行うべきではないですか。伺います。
 また、不況のときばかりか、1997年の景気が回復してきた時期に消費税5%への引き上げと社会保障改悪で国民負担増を行い、景気悪化を招いたことも忘れてはならないでしょう。そもそも低所得者ほど重い負担となる消費税は、根源的に不公平税制です。
 区長は続いて「負担と給付のレベルが見合った社会保障制度、それに耐えられる産業構造や雇用のあり方など、社会全体の設計図を引き直すこと抜きに現在の危機を乗り切ることはあり得ない」と述べています。もし負担と給付のレベルが見合った社会保障制度云々が破綻した新自由主義の「構造改革」路線による負担増と給付減であるならば、家計消費を一層冷え込ませ危機を広げるだけです。
 我が党は、2月7日に「消費税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表しました。社会保障拡充と財政危機打開のために、まず「第1段階」として「構造改革路線」で大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行に着手し、財源は巨大開発や原発推進予算、米軍への「思いやり」予算、政党助成金など無駄の一掃と富裕層・大企業優遇の不公平をただし応分の負担を求めること。次の段階では「先進水準の社会保障拡充」を行い、そのために「応益負担」の原則に立った税制改革で財源を確保すること。これら社会保障の再生・拡充と同時並行で国民の所得をふやし、経済を内需主導で安定した成長の軌道に乗せる民主的経済改革を進める。そのために正規雇用が当たり前の社会とし、最低賃金を大幅に引き上げ、中小企業の本格的な振興策の実施、大企業にたまった260兆円に上る内部留保を社会に還流させることなどを提言しています。「社会全体の設計図を引き直す」契機になると思いますが、区長の見解を伺います。
 大震災と原発大惨事の被災者・被害者及び被災自治体への国の支援が遅々として進んでいないとする指摘はそのとおりです。ただ、原発事故の問題に踏み込んで触れなかったのはなぜですか。放射能汚染による被害の賠償や除染の問題に東京電力と政府は真剣に取り組もうとしていません。区内においては、今も内部被曝など放射能汚染による人体や環境への影響に対して区民の不安が厳然と存在し、さらにエネルギー政策にも関心が高まっているときに、区長が行政の長として、かつ政治家としてこの問題への言及は避けて通れないはずです。見解を伺います。
 東日本大震災での被災地自治体と被災者の支援には改めて敬意を表するものです。被災地自治体での必死な取り組みと復興支援での「多くの自治体が柔軟で機動性の高い対応を行って」いる努力には頭が下がる思いです。我が党も引き続き被災地の復興支援に力を尽くすものです。
 同時に、被災地の現状を見れば、地域経済の疲弊に加えて国が主導してきた市町村大合併、地方財政の削減、集中改革プランによる職員削減を押しつけ、医療費など社会保障費の削減と公立病院改革ガイドラインによって病院の統廃合・病床の削減、医師・看護師の削減などを進めて、被災自治体が住民の命を守り、地域を支える本来の役割を発揮できずにさせられてきました。被災者の救出を困難にさせ、被災者支援のおくれや二次災害を招いてしまうなどの脆弱さが明らかになりました。
 単純に比較できる話ではありませんが、例えば中野区の職員2,000人体制が至上命題となっているもとで、震災・災害時における即時の参集と体制、一つとってみても機能できるかが懸念されています。地域防災会をはじめ、団体や民間企業に協力は求めても、区みずからの役割が弱くなってよいわけはないはずです。施設を減らし、人を削ってどうやって震災時に区民を守るというのか。2,000人体制ありきは見直すべきです。避難所である学校や地域本部である15カ所の区民活動センターなどにどんな時間帯においても職員が即時に参集できるのか。日常から地域情報の収集がされる体制があるのか。防災訓練等への指導・援助が施されているかなど、区民の不安や要望にきちんとこたえられていないではないですか。見解を伺います。
 ことし2012年は「憲法擁護・非核都市の宣言」から30周年を迎える節目の年です。やはり所信表明で触れられなかったのは残念です。
 「核兵器と人類は共存できない」との被爆者の思いにこたえて、世界で核兵器の廃絶を求める動きが大きく広がっています。昨年12月には国連総会でも核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が130の国々の賛成で採択されました。日本も唯一の被爆国の政府として核兵器を廃絶するために役割は果たすべきであると強く感じます。中野区においては「宣言」30周年にふさわしい取り組みが求められます。また、中野区の「宣言」は憲法擁護を掲げています。憲法をテーマとした事業の実施もあわせて求めるものです。お答えください。


(2)事業見直しと2012(平成24)年度予算案について

 次に、事業見直しと2012(平成24)年度予算案について伺います。
 平成23年度事業見直し内容が決められて、一部を除いて来年度予算案に盛り込まれました。政府が新たな国民への負担とサービス給付の削減を打ち出しているときに「財政非常事態」だと財政難を理由に事業の廃止や削減、区民負担を強いています。社会科見学・遠足代公費負担の廃止による負担増、就学援助基準の引き下げや外国人学校保護者補助、福祉タクシーに所得制限を求めて削減、精神障害回復者の訓練実施場所を減らし、地域生涯学習や高齢者福祉センターを廃止する、シルバー人材センターの補助金もカット、保育園保育料の値上げまでも示唆しています。おしなべて区民生活に直結する事業ばかりです。長引く不況と国と東京都の失政から区民を守るべき区政が、国・都に追随して区民いじめを、とりわけ高齢者や障害者、子どもたちにかかわる事業を廃止・削減、負担増を行い、参加と自治を標榜しながら区民施設を廃止するなど、断じて認められません。区の役割は、区民福祉の向上を図ることにあります。行革も事業見直しもその立場で行われなければならないものです。区民生活を守る自治体としての使命を放棄しているのではないですか、伺います。
 環境リサイクルプラザが廃止され、民間事業者に貸し付けることになりました。その前年には消費者センターを庁内に移設し、来年度からは消費者相談しか行わない。同様に、消費者・環境問題等にかかわってきた団体を環境リサイクルプラザから追い出し、今後の利用については「区民活動センター等を使え」ということでしたが、これまでのように自主的な活動を保証できていません。そうまでして企業に賃貸しすることを決めたのは、これまでかかっていた維持管理費等の約3,200万円を削り、企業からの賃貸料をあてにする。ただし、企業から見れば安価な料金であり、営利活動を保証してあげるというものです。
 さて、事業見直しでは四つの高齢者福祉センターの廃止を打ち出しています。老人福祉法と中野区高齢者福祉センター条例で定めている高齢者福祉センターを制度の趣旨とは違うものに転換してしまい、やはりここでも賃貸料を得ることにしています。これまで利用してきた多くの高齢者、区民を追い出すというのでしょうか。
 区は、高齢者福祉センターでこれまで行ってきた事業をやってもらうこともあると言いますが、区が求める事業を行ってもらうことになれば、ここでも賃貸料をまけてあげるという話ではないですか。指定管理者に支払ってきた管理運営費の削減も期待しているようです。法制度のもとで行政目的により事業を実施してきた高齢者福祉センターを廃止に、それも公的責任投げ捨てて区みずからが収益を得るために奔走するなど認められません。見解を伺います。
 中野駅周辺のまちづくりについて伺います。
 中野駅周辺のまちづくりは、区も言うようにハード・ソフト一体の開発事業です。区長は所信表明で「一般財源への負荷はほとんどない形で進めている」と述べていますが、既に2010年度までに4億8,000万円と多額の調査費と業務委託費等をこの事業に支出してきました。
 また、中野駅周辺大規模開発関連にかかわる職員人件費も多額の経費を要してきました。今年度は組織改変を施行し、そこに充てている人件費も相当な額に上ります。今年度の中野駅周辺まちづくり費20億8,536万2,000円中、一般財源で2億3,544万1,000円が予算化されました。同じく来年度は2億8,441万5,000円中、2億2,216万5,000円を支出する予定です。ソフト面の産業都市振興費においても、すべてではないとしても人件費等の一般財源をこれまでも使ってきたし、今後も使うことになります。負荷や負担をかけないことにならないのです。どう説明されるのですか、伺います。
 一般会計予算案について伺います。
 一般財源規模は歳入で626億円、歳出は676億円でその差50億円となり、想定していたより厳しいと言われています。そのため、財政調整基金から年度間調整として50億5,000万円余を取り崩すことにしたと言います。確かに、景気悪化によって区民税や特別区交付金の減額により歳入が落ち込んでいるのは事実です。しかし、2010年度決算の際に指摘したように、決算値では違う結果が出ます。今年度においても本定例会に上程中の補正予算で財源更正や減額更正を行って基金への積み増しを行いました。決算では歳入で当初予算を上回り、歳出では30億円から40億円の不用額が出ることで剰余金も発生します。財政調整基金の繰入金だけ見ても、予算と決算との乖離は必然です。ここ二、三年で「財政調整基金が底をつく」ことにはならないでしょう。これは区民要求を押さえ込む方便でしかないのではありませんか。税収が厳しい間での措置であれば、目的基金への積み立てを見合わせても福祉・子育て・教育に係る経費を削減することなく充実を図ることが可能ではないですか。伺います。
 地方分権についても触れられていますが、求められているのは単なる「地方分権」ではなく、真の地方自治権拡充です。「自治立法権」の「行使の可能性」を定立することではなく、自治体が住民福祉の増進を旺盛に進めることのできる財政や権限の実質的な拡充です。その点では「地方分権改革」の名で国が権限を投げ出し財源を削減する中で、幾ら「受け皿」をふやしても次々と民営化、民間委託を進めているのでは「受け皿」にさえならず、公的責任を果たしているとは言えないでしょう。「財政効率」だけに目を奪われ、住民の命と暮らしを守れない状況からは自治体行政のあり方が問われています。
 さて、区民施策を維持・拡充していくには、国や東京都からの補助金・負担金、つまり特定財源も欠かせません。投資的経費の開発事業にかかる交付金や補助金だけ気にして福祉・教育の国や都の負担金や補助金の削減にだんまりを決め込むのは問題です。とかく一般財源だけを気にとめる虚構の「財政非常事態」だと言わざるを得ません。見解を伺います。
 歳出のところで伺います。
 来年度予算案では、義務教育施設基金に年度当初から10億円の積み立てを計上しています。学校の建てかえにかかる経費に充てるとの説明ですが、その理由は一定理解できます。しかし、建てかえ計画を示していないもとでの予算措置は、およそ自治体行政としてはいかがなものでしょう。新たな学校再編を考えているようですが、その学校再編計画を示していない中での急場しのぎといったところでしょうか。
 先日、中野区区有施設耐震改修計画が示されました。平成27年度までに完了を目指すとしています。近い将来に大地震発生が言われています。耐震補強実施計画の区分1に該当する小・中学校の耐震化については、前倒しして来年度予算で診断、設計、評定取得を実施するなど、早期に終えるべきです。答弁を求めます。
 健康福祉費のところで伺います。
 障害者相談支援事業所の拡充や75歳以上の肺炎球菌ワクチン接種費用の一部助成などが予算に計上されたことは多とするものです。しかし、生活保護費の増額と障害者自立支援法に基づく介護給付と訓練等給付の増額はあっても、健康福祉費総体としてはお寒い状況です。
 中野区はこれまでに財産保全サービス、自立支援型家事援助サービス、生きがい対応型デイサービス、見守り事業、福祉電話、訪問食事サービスなどを廃止してきました。訪問理美容・寝具乾燥サービスなどは介護保険の給付に移してきました。介護保険制度だけで高齢者の必要な福祉施策を実施することはできません。だから介護保険制度の発足当初、区も介護と医療・福祉の連携を言ってきたのではありませんか。今や他区と比べても中野区は高齢者福祉施策は極めて乏しく、事業の数では23区最低です。引き上げることが必要です。区内の高齢者人口がふえ、特に75歳以上の方が多くなっています。元気で長生きをされていることは喜ばしいことですが、加齢に伴い体力が落ち、足腰が弱ってくるのもやむを得ないことです。買い物や通院、公共施設、公園など外出の支援が大切になっています。例えば、他区で実施しているように歩行補助用具、シルバーカー助成などを検討してはどうでしょうか。伺います。
 国民健康保険について伺います。
 1月16日の特別区区長会で2012年度の保険料改定が決められました。これで10数年連続の保険料の値上げ、それも区民の所得がずっと下がり続けているもとでの値上げです。今年度から賦課方式が変わり、経過措置があっても多くの被保険者が値上げとなりました。保険料の納付率の落ち込みもあります。区民への保険料負担の増加は既に限界です。
 1980年代から2000年代半ばまでの国保制度の改定は、いずれも社会保障制度としての国保を否定し、単なる相互扶助の制度へ逆行させていく内容を持つものでした。国庫負担の削減、受益者への負担転嫁、被用者保険の拠出拡大、滞納制裁の強化など、一連の制度改悪により国保は住民の命と健康を守るという本来の役割を大きく損ない、逆に高過ぎる保険料や過酷な取り立て、無慈悲な保険証取り上げで住民を苦しめる事態が拡大しています。今や国保は財政難→保険料の値上げ→滞納増→さらなる財政難→さらなる保険料の値上げという悪循環から抜け出せなくなっています。国が本来の責任を果たせば解決できます。一般会計からの繰出金がふえ続けることを気に病むのなら、真剣に国に対して財政負担を求めるべきではありませんか。伺います。
 東京都の役割も問われています。2005年度から「三位一体改革」において定率国庫負担の一部が都道府県の調整交付金に移りました。これを期に東京都が支出していた独自補助が減少しています。東京都に対しても保険料の値上げを抑えるための財政支出を求めるべきではないですか。伺います。
 国民健康保険は社会保障の制度です。国民健康保険法でしっかりと定めてあります。ところが、区が毎年発行している「みんなの国保ガイド」では「国民健康保険のしくみ」として「相互扶助の制度です」とうたっています。国保法は相互扶助という文言はありません。国保は社会保障制度であるとの認識はあるのでしょうか。制度の根本にかかわるにもかかわらず、区民に誤ったことを提示することはやめるべきではないですか。伺います。

2 第5期介護保険事業計画について

 次に、第5期介護保険事業について、介護保険料に限って伺います。
 2012年度から2014年度の第5期中野区介護保険事業計画(案)では、保険料基準額を年額6万3,190円、月額で5,260円とすることにしています。現在の第4期の事業計画と比較すると、年額で1万4,290円、月額で1,180円の値上げです。値上げ幅は23区平均より高くなっています。
 区は、介護給付費準備基金の取り崩しを行うことにしていますが、初めに残す金額6億円を設定するようでは保険料増額の歯どめとなりません。「介護保険事業計画(案)」の中で「介護給付費準備基金の取り崩し後の残金は、大規模災害やその他の不測の事態に備え留保する」と記していますが、中野区介護給付費準備基金条例ではそうした定めはなく、基金の設置目的からしておかしい話です。6億円の残額ありきではなく、一層の介護給付準備基金の取り崩しを行うべきです。答弁を求めます。
 「介護保険事業計画(案)」では「より応能負担を求める多段階設定に」と特例を含めて16段階とすることにしています。これ自体は一定の評価ができます。しかし、高齢者の間においても格差と貧困が広がっています。「2010年度高齢者所得別人数調べ」によれば、中野区の当時の高齢者人口約6万1,000人の中で、年収153万円以下は3万2,700人を超え、高齢者全体の約54%に、年収80万円以下では2万2,300人を超え、約37%にものぼります。このことを斟酌すれば、一層の多段階設定を行い、より応能負担にすることが必要ではないですか。伺います。
 根本的には、国の社会保障と財源保障の責任を求めていく必要があります。保険料の値上げかサービスの切り下げかという介護保険の矛盾の解決は、国庫負担割合の引き上げしかありません。さらに、財政安定化基金の取り崩しについてもお聞きします。第5期介護保険事業計画の策定にかかわる全国会議に関するQ&Aにおいて、都道府県が受ける返還金の使途として、保険料軽減のための市町村に対する交付金とすることは可能であるとしています。東京都が介護保険に関する事業に要する経費に充てるものには、保険料の上昇抑制への活用を想定しているとも答えています。国への国庫負担割合の引き上げと東京都に財政安定化基金の返還金の活用を要求すべきではありませんか。伺います。

3 公契約について

 次に、公契約について伺います。
 公共サービスの質の確保と生活できる賃金への底上げを求める公契約条例を制定する動きが広がっています。昨年12月には多摩市において東京都内の自治体では初の公契約条例が制定されました。2010年2月には全国初の野田市で実施され、昨年には政令指定都市の川崎市で、さらに調達に関する基本方針・推進計画を策定し、検討を重ねてきた国分寺市においてもこの3月に制定される見通しです。23区では世田谷区であり方検討委員会が設置され、制定に向けた検討作業が始まりました。長引く不況下で下請業者の賃金がまともに支払われない実態があります。
 東京都においては、元請による不払いが急増していると言われています。公共事業、公共サービスの仕事発注から見て、あってはならない事態が生まれているのです。全国や東京都下での公契約条例の広がりは当然と言えます。区は、我が党議員の質問の答弁で「最低賃金法などの法体系によって守られるべきもの」と述べられました。しかし、ダンピングと品質劣化、ワーキングプアがますます広がっている実態があります。政府は公契約条例に最低賃金法における地域別最低賃金額を上回る最低賃金額と罰則を規定する場合「制約はない」と答弁をしています。中野区においても制定に向けて検討組織を立ち上げるべきではないですか。伺います。

4 その他

 その他の項で2点伺います。
 初めに「指定管理者制度」のもとで生じている問題について伺います。
 区立打越保育園の管理運営を受託しているピジョンハーツ株式会社の園長と上司等からいじめ、嫌がらせ、暴言、退職強要などパワーハラスメントを受けていたとする保育士2人が裁判に訴え、現在東京地裁で係争中です。2人は解雇と自宅待機命令を会社と保育園から受けました。2人の訴えは、保育園でのすさむ保育の実態にまで言及しています。
 打越保育園では、2010年度に1年間で10人が退職しました。また、ピジョンハーツ株式会社が練馬区から業務委託を受けている光が丘第八保育園でも2005年度には8人、翌年には園長をはじめ10人の常勤職員が退職しています。尋常ではありません。事の重大性から区から園長を派遣して保育を存続させました。労使関係は民間の中での問題であり、行政は直接口を出せないとよく言われます。しかし、対象となっているのは子どもであり、安定的な保育こそ子どもたちには欠かせません。委託している中野区の責任も問われています。部内で調査機関を立ち上げ調査をしていると聞きます。子どものすこやかな成長発達を促し、安心できる保育環境に努めることは保育園が何よりも大切にしなければならないことです。その際、保育士など職員の労働環境の改善は大切な要素の一つです。この視点を持って調査をすべきです。伺います。
 もう1点、図書館の指定管理者制度導入について伺います。
 区は、2013年度から中野区立図書館全8館の指定管理者制度導入を図ろうとしています。既に7年前から民間に業務委託を行い、地域図書館には職員がいません。新たに中央図書館の職員人件費分を削減したいねらいから、指定管理者制度の導入に踏み出そうというものです。
 地方自治法は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに指定管理者制度の適用を許容しています。しかし、図書館への指定管理者制度の導入については、国会での「弊害あり」という全会一致の附帯決議、当時の文部科学大臣も「図書館になじまない制度」であると表明しています。
 区は、指定管理者の導入は図書館の新しいあり方に基づいたものだと説明しています。ところが、「あり方」では蔵書の充実や施設の拡充など基盤整備を図った上での導入だとしてきました。そのことがない中での指定管理者制度の導入は問題です。23区では全図書館に指定管理者制度を導入しているのは千代田区、中央図書館に導入しているのも千代田区だけです。もともと図書館は事業収益が見込みにくい公共サービスであり、自治体が住民の知る権利と生涯学習を保障するためにその経費のほとんどを負担すべき事業です。したがって、受託業者は区からの委託料からさらに人件費を削って利益を上げざるを得ないため、非正規・低賃金で働く人たちに依存することになり、安定した人材を確保することができないと言われています。
 そこで伺います。地方自治法で言うところの「目標を効果的に達成する」ことができるとする理由をお示しください。
 二つ目に、国会での附帯決議や文部科学大臣等の発言は、図書館は指定管理者制度になじまない、公共サービスの維持・発展のためには安上がり労働とならぬようにというのが趣旨でしたが、区はこのことをどう検討してきたのか伺います。
 以上ですべての質問を終わります。

○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えをいたします。
 消費税の増税について反対の意思表示を明確に行うべきでないかということであります。
 人口減少と少子高齢化が同時進行する中で、給付に比べて負担が少ないままの現状を見ますと、給付の削減や消費税を含む負担の増加、これは避けることはできないものと考えております。一方で経済成長の見通しなしに税負担だけをふやしても成功しないと考えております。産業構造の転換による新規の成長分野の創出や地方分権改革による地方の活性化など、成長戦略に向けた具体的な政策プログラムと税・社会保障制度の一体的な改革が同時に行われることが必要である、こう考えておりますので、繰り返し表明をしてきているところであります。
 それから、共産党がされた提言に対する見解についてという御質問であります。
 共産党の提言については一般に広く報道されておらず、十分に承知をしておりません。また提言は共産党の主張を述べたものであると考えておりますので、それについて検討し、コメントする立場にはありません。
 それから、原子力発電所の事故についての御質問であります。
 施政方針説明の中では、震災や津波などによって引き起こされた事象において幾つか例示して取り上げたものでありまして、特に原子力発電事故にかかわる賠償をめぐる国や東京電力の対応といった個別の内容について言及するというものではありません。今後とも区内で対応が必要な事象があれば、それに的確な対応を行っていくのみであります。
 それから、2,000人体制と災害対策についてであります。
 区が責任を持って災害対策を実施するために、実践的な職員の訓練や講習を継続して実施いたしますとともに、今後災害対応マニュアルの改定に取り組んでまいります。区では、これまでも地域防災会はじめ区内の学校、事業所、PTA、地域団体等が実施する各種防災訓練や防災座談会等へ職員を派遣するなど、防災担当の職員を中心にさまざまな支援を行ってきているところであります。今後とも引き続き実施をしてまいります。
 また、区民活動センターに配属されているすこやか福祉センター職員が避難所運営会議や運営訓練の日程調整を行うなど、地域防災の窓口としての役割を担っているところであります。2,000人体制に向け、着実に努力をしてまいります。
 憲法擁護非核都市宣言30周年についての御質問もありました。来年度も平和の集いや平和企画展示など充実した取り組みを行いたいと考えております。
 それから、さまざまな事業の見直しについて、廃止、削減、負担増を行うことは認められない。区民生活を守る自治体としての使命を放棄しているのではないかという御質問がありました。
 区の事業が時代の状況や財政状況の制約を受けることはやむを得ないものであります。これまでも相対的に必要度の低い事業について対象や内容を変更し、より必要度の高い事業や効果の高い事業に財源を振りかえるなど、不断の見直しを行ってきているところであります。今回の見直しにつきましては、財政上の非常事態との認識を踏まえ、利用者負担の適正化、事業規模の縮小・廃止などを含む大幅な見直しを行ったものであります。限られた財源の中でより切実で守らなければならない事業を着実に行いながら区政全体の持続可能な運営を図ることは、責任ある区政運営として当然のことであると、このように考えております。
 私からは以上です。そのほか、それぞれ担当のほうからお答えいたします。

○教育長(田辺裕子) 図書館への指定管理者制度導入についての御質問にお答えをいたします。
 地方自治法では、住民の福祉の増進という目的を効果的に達成するため、必要のある場合には公の施設の管理を指定管理者に行わせることができるとしております。この目的に合致することから、図書館に指定管理者制度を導入することとしたものでございます。この制度の導入により、開館日の拡大と開館時間の延長、各館の個性づくりと高い専門性の確保、IT化の一層の推進に伴う図書館システムの改善など、さらなる図書館サービスの向上と管理運営の簡素効率化を図っていきたいと考えてございます。
 また、国会での決議等についてどう検討してきたかということです
 国会での附帯決議等を受けて平成22年度に総務省から指定管理者制度を導入する場合には、公共サービス水準の確保などに留意すべきとの通知が出されてございます。こうした点も踏まえ、指定管理者の選定に当たっては公立図書館の運営にふさわしい管理能力と経験を有する館長及び司書の数を一定水準確保することや、職員の配置に係る労働基準法等関係諸法令を遵守することなどを含め、事業者から企画提案を求める企画提案公募型事業者選定方式を採用する予定でございます。
 さらに、図書館の効率的・効果的な運営に必要な諸経費については、区と指定管理者との協議の上、協定書の中で決定していきたいと考えてございます。

○地域支えあい推進室長(長田久雄) 高齢者福祉センターの廃止についてお答えをいたします。
 高齢者福祉センターとしての機能は廃止をいたしますが、転換後の施設は保健福祉や介護予防の基盤としてこれまでの利用層に加え、幅広い区民に対する施設として民間事業者への貸し付けにより転換を図っていくものでございます。高齢者福祉センターで活動している自主グループ団体への施設提供などにつきましては、引き続き継続していくことを検討しているものでございます。転換後の施設は、民間事業者の力を活用しながら地域における高齢者をはじめとしたさまざまな区民が集う活動拠点として期待していることから、撤回することは考えておりません。

○政策室長(竹内沖司) 中野駅周辺まちづくりと一般財源についての御質問にお答えをいたします。
 まちづくりなど大規模な事業に当たっては、国や都の特定財源、それから特別区交付金の財産費等の確保を図るなど、一般財源に過度な負担を及ぼすことがないよう十分な財源的裏付けを持って事業を実施しており、区民の皆さんに対しても同様の説明をしているところでございます。事業の実施に当たっては、区職員でなければできない業務は区職員が直接行ってまいりますが、施行管理業務など民間の力で実施することができる業務については民間に任せることとしております。その経費については国や都の特定財源などを確保する対策を講じているところでございます。
 なお、区としての政策や方針にかかわる調査や計画づくりは当然に区の本来業務でございます。適切な執行と経費節減を図りつつ一般財源で行うものでございます。
 次に、財政調整基金についてでございますが、平成24年度一般会計予算(案)では、基準となる一般財源規模650億円に対し歳入と歳出が均衡せず、財政調整基金の年度間調整分を50億円あまり繰り入れなければ予算が編成できない状況でございます。こうした状況が続けば当然に基金は減少し、やがて底をつくことになるものでございます。そして、歳入と歳出の不均衡が続けば、予算編成の時点において一定の財政調整基金がなければ予算そのものが編成できないことになるものでございます。予算の執行に当たっては、契約落差やさまざまな執行上の工夫により経費の節減に努めているところでございますことから、決算剰余金が生じるのは当然でございます。こうした剰余金を基金に積み立てることで健全な財政運営につながっているものと考えております。
 それから次に、一般財源だけを気にとめて非常事態と言っているとの御質問がございました。
 特定財源は特定の対象事業に対して交付されるものであり、一般財源とは全く性質を異にするものでございます。自治体として自由に活用できる一般財源をしっかり管理することが重要でございます。区税収入などが減少する一方で扶助費の増大などによる歳出が増加し、収支不均衡を調整するため財政調整基金を50億円あまり繰り入れなければ予算が編成できない状況は、まさに財政運営上の非常事態ととらえているところでございます。

○経営室長(川崎亨) 小・中学校の耐震化の前倒し実施についてお答えをいたします。
 今回の耐震改修計画策定に当たりましては、緊急度、施行能力等を考慮して決定しております。可能な限り早期に耐震工事を行えるよう計画をしたところでございます。
 次に、公契約条例制定に向けた検討組織についてお答えをいたします。
 区が発注する工事等にかかわる労働者の賃金や下請事業者への請負代金の支払いにつきましては、最低賃金法などの法体系によって守られるべきものであるとの考えに変わりはございません。このように、区といたしましては公契約に関する条例の制定に取り組む考えは持っておりません。したがいまして、検討組織を立ち上げるということについても考えておりません。

○健康福祉部長(田中政之) 私からは、高齢者の歩行補助用具等の助成についての御質問にお答えをさせていただきます。
 高齢者の歩行補助用具等につきましては、介護保険制度におきまして現在要支援1、2、要介護1から5と認定された方が利用できる福祉用具の貸与制度がございまして、福祉用具貸与の中には車いす、シルバーカーを含む歩行器や歩行補助つえがございます。介護保険制度の適用とならない高齢者につきましては、必要に応じて個人が対応しているのが実情でございまして、区として助成については考えてございません。
○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは、国民健康保険と介護保険に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険でございますけれども、国や都の負担割合をふやすべきではないかという御質問でございます。
 国や都の負担割合をふやすということは、その財源としての税金を新たに国民に転嫁するということになります。ふえ続ける社会保障負担について自治体や国がどう分担をしていくのか、国民にどれだけ負担をお願いするのか、国民的議論が必要だと考えています。
 次に、国民健康保険制度に対する認識でございます。
 区としては、社会保障の重要な柱である国民皆保険制度を支えるものとして国民健康保険制度があり、相互扶助の精神にのっとり運営されているものと認識しているところでございます。
 続きまして、第5期介護保険事業計画(案)の介護保険料についてでございます。
 平成24年度から始まる第5期中野区介護保険事業計画(案)においては、持続可能な安定した制度運営や給付と負担のバランス等に配慮しまして介護給付費準備基金の一定の活用も行っており、適切な介護保険料を設定するものと考えております。また、介護保険料の料率の段階設定についてでございますけれども、新たな特例段階を設けるなど、低所得者の方々の負担軽減にも十分配慮しており、段階の設定については妥当なものと考えております。
 また、介護保険に関しての国や都への財源保障を求めていくことについてでございます。
 介護保険制度につきましては、これまでも特別区長会を通じて国に対して財政的支援を要望してきたところでございますが、今後も必要に応じて国や都に対して要望していきたいと考えております。

○子ども教育部長(村木誠) 私からは、指定管理者が運営する保育園に関する問題についてお答えを差し上げます。
 中野区に対しまして、昨年平成23年11月24日付で公益通報がなされたことに対しまして、当該保育園における保育児童の処遇につきまして通報事実に関する調査を行い、現在とりまとめを行っているところでございます。
 なお、保育士の雇用関係につきましては運営事業者内の問題でございまして、区が関与する立場にはございません。

○副議長(久保りか) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。