【予算特別委員会・総括質疑】
(2010年3月2日)

中野区議会議員 せきと進

  1. 区が掲げる「にぎわいと環境が調和するまち」について
  2. 非核平和のとりくみについて
  3. 沼袋駅北口の路上駐輪対策について
  4. ホームレス自立支援について
    1. 就労支援について
    2. 精神保健について
    3. 中野寮について
    4. 生活保護について
    5. 民間との連携について
    6. 地域生活移行支援事業について

○せきと委員 2010年第1回定例会総括質疑、日本共産党の立場で進めてまいります。

1 区が掲げる「にぎわいと環境が調和するまち」について

 区が掲げる「にぎわいと環境が調和するまち」について伺います。
 区は、警大跡地の計画を公園中心から超高層ビルが立ち並ぶものに変えようとした当初から、「にぎわいと環境が調和したまち」という標語を掲げてきました。ここで言う「にぎわい」とは何か、「環境」とは、「両者が調和する」とはどんなまちか御説明ください。

○松前まちづくり推進室副参事(拠点まちづくり担当) まず、「にぎわいと環境が調和するまち」でございますが、これは警察大学校跡地だけではなく、中野駅周辺全体のまちづくりを進めるに当たって、その目標を表現した言葉であります。
 ここで言う「にぎわい」とは経済活動をはじめとするさまざまな人々の活力、また、「環境」とは快適と感じる空間や美しい緑あるいは景観といったような、そのような人を支えるすべての要素ととらえているところでございます。このような活力を生むさまざまな経済活動を展開しつつ、それによって生じる環境負荷を抑制し、快適と感じられる空間で活発な活動が展開される、そんなまちの姿を「にぎわいと環境が調和するまち」と表現したものでございます。

○せきと委員 環境負荷を抑制するという表現がありました。こうした調和に向けた具体的な取り組みがあれば、御紹介ください。

○松前まちづくり推進室副参事(拠点まちづくり担当) このようなまちづくりを行うために、警察大学校跡地につきましては、開発を先行する事業者と覚書を取り交わしております。その覚書の中には、既存樹木の保全や活用、あるいは良好な景観形成といった内容を盛り込んでおります。これに区とともに取り組んでいくこととしております。

○せきと委員 開発行為は、必ず環境負荷を伴います。対立関係にさえありそうなにぎわいと環境が本当に調和し得るのでしょうか。ここでは、警大の超高層ビル建設による環境負荷を二酸化炭素排出量に換算することで数値化し、区が掲げる「にぎわいと環境が調和するまち」なるものが成り立つのかどうか考察します。
 私は、2008年の第1回定例会で、当時、警大跡地に予定されていた2棟の超高層ビル建造について、原材料の調達や運送など係るすべてを含めると、竣工時点で1,000トン以上の二酸化炭素が排出され、中野区内の二酸化炭素排出量は年間5,000トンもの純増になるという試算を示しました。その後、建物の規模や用途が大きく変わり、しかし、概要がわかってきましたので、今回新たに計算してみました。建築行為による二酸化炭素排出量の推定には係数を用います。延べ床面積がわかれば、大体の数字が出せるようになっています。建築行為による環境負荷を二酸化炭素に換算する計算式について御存じであれば御紹介ください。

○横山区民生活部副参事(環境と暮らし担当) 二酸化炭素の排出量につきましては、現在、各種統計資料からエネルギー使用量を把握いたしまして部門別に計算したデータをもとにしているところでございまして、委員のお話にございましたような、原燃料との調達から運送、建設、廃棄とすべてのサイクルを含めたデータについては承知してございません。
 建築行為に限ったデータにつきましては、一部の調査研究のレベルでの数値があるとは承知してございますけれども、一般的に使用できるような公的な数値というものについては承知してございません。

○せきと委員 公的な数値はないというお話でありました。私は、今、御担当が紹介もいただきました研究レベルでの数値ですね。芝浦工大の中口教授らが公開しております床面積当たりの二酸化炭素排出係数を用いました。これはただ、御担当もおっしゃったように、工事に伴う燃料の採取、輸送、供用、または事務所等における排出量は算定していないため、実際よりもかなり控え目な数字であることをお断りしておきます。鉄筋鉄骨造の係数は7.5kgCO2/平米、したがって、業務商業施設の大きいのが1,138.5トン、旧囲町公園部分のが293.25トン、帝京平成大学が469.5トン、明治大学が481.5トン、合わせて2,382.75トンの二酸化炭素が警大跡地の建築行為によって排出される計算になります。建物が建った後の施設の運用についても、二酸化炭素に換算してみます。商業施設、業務施設、教育施設による二酸化炭素の排出量の目安はありますか。あれば御紹介ください。

○横山区民生活部副参事(環境と暮らし担当) 私どものCO2削減の目標数値にも使ってございますけれども、特別区協議会におきまして、23区の業務部門別の二酸化炭素の排出量の推計がございます。これから、床面積1平米当たりの二酸化炭素の排出量を計算いたしますと、おおむね事務所ビルといったもので約100キログラム、それから大型小売店舗で150キログラム、学校ですと約30キログラムといったようなことが示されてございます。その他東京都等でも公表しているかと承知してございます。

○せきと委員 東京都省エネカルテというのがあって、施設の性質別に単位面積当たりの年間二酸化炭素排出量を平均値と少な目の数値と二つ示しています。これを使って計算しますと、警大跡地全体で2万トンから4万トン、区が警大跡地に呼び込むにぎわいによって、中野区内の二酸化炭素排出量は2%から4%程度もふえることになります。このふえた二酸化炭素排出量を緑化によって相殺するには、中野区全面積の100倍以上を毎年緑化していかなければならないことになります。来年度は、中野区環境基本計画を改定し、温暖化防止の数値目標を変更すると伺いました。今述べた警大跡地の開発によって、二酸化炭素排出量が年間2万トン以上もふえる件は環境基本計画改定時に当然盛り込むと思いますが、確認したいのでお答えください。

○横山区民生活部副参事(環境と暮らし担当) 中野区の環境基本計画、これにつきましては、先ほども御答弁いたしましたさまざまな経済活動等々含めました中野区総体としてのCO2排出量、これをベースといたしまして、目標を立てるなどしているものでございます。
 したがいまして、個別具体的な案件一つひとつを盛り込むと、反映するといったことは難しいというふうに考えてございます。

○せきと委員 大変残念であります。日本国内の温室効果ガス排出量のうち、建築行為によるものはどれぐらいかお答えください。

○横山区民生活部副参事(環境と暮らし担当) 環境省のデータによりますと、2007年度になりますけれども、建設業で全体の約0.9%排出というふうなデータがございます。

○せきと委員 0.9%という数値でありました。私が調べました日本建設機械化協会の研究でいきますと、日本国内の温室効果排出量のうち、建築行為が占める割合は1割半から2割、建物の運用まで含めると三、四割になるというふうに出ています。開発はどうしたってたくさんの負担を自然環境にかけるのであって、なるたけ負担をかけない工夫を幾ら研さんしたとて、帳消しに至ることは熱力学の第二法則からいっても絶対にあり得ません。警大跡地の開発が2年後に一区切りつくらしいけれど、「にぎわいと環境が調和するまち」は2年後においてもなお、いつかこうなったらいいなという未来の願望的な政治目標にすぎないようであります。私は、大規模再開発に反対していますが、区がどうしても突き進むというのなら、せめてにぎわいと環境が調和するといった非科学的な誇大公告は取り下げていただきたい。温暖化問題だけが環境ではないけれども、警大跡地の開発による二酸化炭素発生量はわずか1.5ヘクタールの公園や屋上緑化などではとてもあがない切れる代物でないことを事実として認識し、向き合ってください。このことをお伝えして次の質問に移ります。

2 非核平和のとりくみについて

 次に、非核平和のとりくみについて伺います。
 きのう、3月1日は何の日だったか御案内ください。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) 3月1日は、1954年に太平洋のビキニ環礁で行われました水爆実験で、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」をはじめ、多くの漁船が死の灰を浴びて被爆した日でございます。「ビキニ・デー」というふうに名づけられているというふうに伺っております。

○せきと委員 ビキニ・デーでありました。現地のロンゲラップ島の住民らが大変な被害を受けたほか、今御案内がありましたとおり、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が死の灰を浴び、無線長の久保山愛吉さんがその半年後、「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」との遺言を残し亡くなるなどの被害がありました。広島の8月6日、長崎の8月9日と並んで3月1日は大切な非核平和の日であります。3月1日に区として何か平和事業はしていますか。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) ビキニ・デーに合わせた特段の事業は区としては行っておりませんが、毎年、原爆の投下や被爆者に関する平和企画展示のほうを開催してございます。

○せきと委員 それは3月1日に合わせてということですか。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) 基本的には、広島の8月6日ですとか長崎の8月9日の時期でございますので、夏の時期に開催をさせていただいております。

○せきと委員 第五福竜丸の焼津市に行けとは言いませんが、庁舎1階で展示会を開くとか何かやってください。第五福竜丸の被爆を契機に、原爆禁止の署名運動が燎原の火のごとく全国へ広がり、3,000万という驚異的な数を集めて政治を大きく動かしました。何度も申し上げておりますとおり、今核廃絶の気運が地球規模で高揚してきています。また、ことし4月、中野区における平和行政の基本に関する条例が制定20周年を迎えますから、平和事業はこれから盛り上がっていくことが望まれます。来年度に予定している平和の取り組みについてお聞かせください。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) 委員、御指摘のように、中野区における平和行政の基本に関する条例が、施行しまして20年を迎えることにつきましては、平和のつどいですとか、その他平和事業を実施する際に、ポスターやチラシの中に記載するなどの方法によってPRをしていきたいというふうに考えてございます。

○せきと委員 中野区平和条例は全国初であり、沖縄県読谷村、三鷹市、神奈川県藤沢市、千葉県佐倉市、西東京市、宮城県気仙沼市、北海道苫小牧市がこれに続きました。かつて中野区は平和行政の先駆者だったのに、田中区長になってこのかた、署名に応じない、映画「日本の青空」の推薦を断る、平和行進へのあいさつの言づけもやめちゃった。平和献花への言づけもやめちゃった。その上予算まで大幅に削ろうとはあんまりではありませんか。今年度は、一般会計から47万5,000円が措置されていますが、新年度は一般財源からはたったの1,000円で、あとは平和基金を取り崩すとなっています。中野区の平和行政は後退してしまっているとお感じになりませんか。一般財源からの予算措置も必要だと考えます。伺います。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) メッセージの送付や署名につきましては、平和に関します区の理念や取り組みと整合性があるか、また、その必要性や効果などにつきましてもきちんと吟味した上で判断しているところでございます。
 来年度、確かに、委員、御指摘のとおり、なかなか区財政が厳しい中、平和行政に関する予算も厳しくなってございますが、これだけ厳しい状況でありますと、予算の縮減はある程度やむを得ないものかなというふうには考えております。少ない予算ではございますが、NPOですとか区民団体と連携しまして、効果的な平和事業に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○せきと委員 お金のことで言うのであれば、核兵器が使用されたときの損失を考えると、10キロトンの地表爆発による初期損失額が1兆ドルという試算もあります。被害総額は見積もることさえ困難と言われます。こういうのを費用対効果とは言いませんけれども、平和事業というのは、究極の安全・安心の取り組みであるに違いありませんから、予算というのはきちんと措置していただきたい。このように思います。
 以前にも質問しましたが、平和市長会議について伺います。平和市長会議から加盟要請は来ていますか、御紹介ください。

○小田政策室副参事(平和・人権・国際化担当) 平和市長会議への加盟に関しましては、せんだって、特別区長会のほうで御案内がありまして、区長あてに加盟要請の文書が届いているところでございます。

○せきと委員 これまでの一般質問等で、区長は平和市長会議への参加は考えていないとお答えになりましたが、中野区が参加しています日本非核宣言自治体協議会は、2007年の第24回総会決議で、平和市長会議による国際的な平和推進活動を指示すると表明しています。でありますから、どうぞ御安心いただきまして、平和市長会議に加盟するよう求めます。答弁は要りません。

3 沼袋駅北口の路上駐輪対策について

 沼袋駅北口の路上駐輪対策について伺います。
 店じまいしたところの軒先に買い物客がずらっと自転車をとめて道路が道路でなくなっていた状態が沼袋駅北口でありました。こういう事態があったことを区は存じていますか。

○滝瀬都市整備部副参事(交通・道路管理担当) 今年度行った調査では、沼袋駅周辺の放置自転車100台前後といったところでございます。うち30台前後が沼袋駅北口に集中しているというところでございます。
 御指摘の箇所でございますが、ある店舗が閉鎖をいたしまして、また新しい店舗が入るまでの間、2カ月前から2週間ぐらい前までなんですが、この間に一時的に放置がひどくなったといったところは承知してございます。

○せきと委員 本当に道路が買い物客の自転車だらけで、とても通行できる状況ではありませんでした。空き店舗は、今は事業者も入りまして、大分通行できるようになりましたけれども、まだ自転車はたくさんあります。こうした点について、区として何か対策は講じていますか。

○滝瀬都市整備部副参事(交通・道路管理担当) 駅周辺の実態にもよりますけれども、沼袋駅北口でございますが、大店舗がございまして、そういった大店舗付近等の放置が目立つ地域につきましては、該当施設と、例えば駐輪施設の設置や自転車整理員の配置になどについて、その実態を踏まえまして協議、指導、相談を行っているというところでございます。

○せきと委員 施設に出向いてお話もされているという話でありました。テレビで見たというおもしろい話を聞きました。駐輪場に自転車をとめると拍手の音やら景気のいい短い音楽が流れる機械を取りつけたところ、買い物客が喜んで活用するようになったという話であります。しかられるから駐輪場ではなく、楽しいから駐輪場が活用されるような視点を自転車対策に取り入れてください。伺います。

○滝瀬都市整備部副参事(交通・道路管理担当) 委員が御指摘された技術的な駐車施設の利用向上策、そういったものにつきましても、より効率的で適正な自転車駐車場環境の確立に向けまして調査、研究してみたいというふうに思ってございます。

○せきと委員 とかく取り締まり強化だ、罰則だ、だれが悪いという議論になりがちでありますが、楽しく解決した事例に学ぶこともぜひ検討いただきたいと思います。ありがとうございました。

4 ホームレス自立支援について


(1)就労支援について

 次に、ホームレス自立支援について伺います。
 ホームレスはふえていますか。区または国の認識を伺います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) ホームレスの数ということですが、ホームレスの数は年々減少傾向にございましたが、厳しい景気状況の影響で、平成21年1月の路上生活者概数調査結果より増加に転じております。中野区におきましては、平成21年8月現在、40人ということでございます。
 また、区または国のホームレスの増加についての認識ということでございますが、ホームレスの支援につきましては、東京都の23区が一体となって、路上生活者対策事業を平成12年度より行っているところでございます。この事業につきましては、一定の成果を上げているというふうに認識しております。

○せきと委員 ホームレス住居の喪失は、貧困が極まった状態であります。規制緩和と市場競争原理を拡大させた新自由主義が今日の格差と貧困をつくり出しました。つまり、間接的であれ住まいをなくす人がふえた外因は、その一端を新自由主義に求めることができます。住居喪失は、また孤立が極まった状態でもあります。少なくない人は、親族あるいは役所に頼ることなく、または事情あって頼ることができないままに仕事と住居を失ってしまい、さらに、住まいがない生活を継続し、あるいは住居を獲得するに当たっても自分一人の力だけで何とかしようとする傾向が見られるといいます。堤圭志郎さんはこれを、過剰に個人化された自立感と表現とし、自業自得、自己責任、加速責任といった自立主義的生活規範による社会的責任の免責であると批判しています。本来、社会問題であるはずの貧困が個人の問題へと転嫁され、矮小化されてはなりません。この点はいかがか伺います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) ホームレスという状況は、個人にさまざまな問題が集中してあらわれるという傾向があり、そのことに加え地域から孤立するという問題もあります。これは地域社会における支え合う欠如や無関心な人間関係の希薄化にも原因があると言われておりますけれども、区としましては、社会問題または個人の問題どちらかといったような、どちらか一方に偏った課題というふうには認識はしておりません。

○せきと委員 責任という言葉は、英語レスポンシビリティの略語として明治時代につくられました。漢籍にも出ているよという話を聞いてちょっと調べたんですが、当たり切れなくて、「越絶書」にちょっと見かけましたがどうかと思います。レスポンシビリティの語源は「応答する」を意味するラテン語と言われます。レスポンシビリティの意味は、自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務やつぐないであり、わざわざ取り出して自己責任とするまでもなく、責任といえば、つぐないとかそういうのは本人がもっぱら負うに決まっています。責任と言えば済むものを自己責任などと冗長に間延びさせてまで強調したいのは、要するに自業自得ということであり、その目的は公共の責任後退であるに違いありません。
 話がそれましたが、公共から地域に、地域から家族、家族から個人へと責任の所在を内へ内へと狭めていく自業自得論を過剰なまでに体現してしまった結果の住居喪失でもあり、だとすれば、規制緩和や市場競争原理の拡大は、住まいをなくすに至った内因か、少なくとも、それを助長している要素の一つであると言えます。こうした規制緩和や市場競争原理が住まいをなくした人をふやすのなら、こうしたものに甘い幻想を抱き、あまつさえ、牽引役まで名乗り出た中野区には、結果としてふえた住まいをなくした人への支援を他の自治体よりも熱心に行う自己責任があると考えますが、いかがでしょうか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 御質問のような件が中野区にあるとは考えておりません。ホームレスの支援は中野区だけで解決できるものではなく、都や23区一体となって取り組むべき課題と認識しております。

○せきと委員 人の命とお金をはかりにかけることは福祉増進機関の所業ではありません。以下、そうした観点で質問してまいります。
 12月24日、江原公園に住まいをなくした人が40人以上も集まりました。彼らはどこからやってきて、どこへ行ったのでしょう。駆けつけた警官から住民が聞いた話によれば、彼らはいわゆる公設派遣村へ行ったので江原公園は事なきを得ました。事なきを得たとは、公園は寝起きする場所ではないから、ホームレスは公園にいてもらいたくないと願う人の論理であり、多くの人がまずこうした立場だろうと思います。この件について、ホームレス入門という本におもしろい記載があります。公園は寝起きする場所ではない一方、避難場所ではある。仕事と住居を失った原因を貧困の拡大、雇用の規制緩和という人災、人が起こした災いに求めるならば、この災いから逃れて公園にいる分には公園の利用目的にかなっているとは言えないだろうか、いかがでしょうか。

○石田都市整備部副参事(公園・道路整備担当) 公園は、基本的にだれでも自由に出入りできる場所ではありますが、しかしながら、ホームレスがいわゆる寝泊まりしたり、生活用具等、長期間占用することは想定しておりません。
 したがって、都市公園法並びに区の公園条例に基づき指導を行っているところであります。また、今、委員、御指摘の避難場所という概念でございますが、広域避難場所の指定区域にある公園もありますが、震災時を想定した避難場所であるわけでございます。

○せきと委員 ここまで住居喪失とか住まいをなくした人という呼び方を使ってきました。ホームレスという言葉は、正しくは適正な住居に暮らしていない状態にを指します。フランスなどでは、成人が独立していないのは適正な住環境ではないとして、成人してなお親元で暮らす者はホームレスとされます。私も半年前まで親元におりましたので、そういう意味でいくと、私も半年前までホームレスでありました。しかし、日本での定義でいいますと、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が第2条で規定するとおり、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者、つまり住まいをなくした人に限っていますが、ネットカフェ難民や住宅、友人の宅へ居候している人が対象とならないため、問題があると私は考えます。24時間店舗や友人宅にいるのは、特措法2条が言う、その他の施設に含まれますか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 特別措置法第2条にうたいます施設の中には、24時間店舗や友人宅は含まれません。

○せきと委員 こういう住居をなくしそうな人への支援も大変重要だと思います。昨年の決算特別委員会でも少し紹介しましたが、日本共産党員が市長を務める蕨市は、適正な住居を持たず、故なく24時間店舗で寝泊まりする人に対し、その店舗での住民登録を認めるようになりました。就職活動をする際に、住民票があるとないとでは天地の開きがありますから、この取り組みは大変喜ばれており、実際に何人もそこから仕事に通っています。中野区も24時間店舗から仕事に通いたい人に住民登録を認める制度を検討すべきではありませんか。

○今区民生活部副参事(戸籍住民担当) 24時間店舗で寝泊まりする人への住民登録ということですが、住民基本台帳法の第4条で規定する住所というのは、生活の本拠というふうに定められております。ネットカフェなどの24時間店舗は居住することを目的とした施設ではないということと、また、旅館業法で定める宿泊施設にも当たらないということでございます。そういう意味では、宿泊ができる施設としても認められておりません。
 したがいまして、居住の場ではない24時間店舗を生活の拠点として認め、住民登録を行うことは、住民基本台帳の記載内容の正確性と安定性を損なうことになるため、認められないというふうに考えております。

○せきと委員 就労の偏重について伺います。
 現在の日本では、福祉を受けようとする者には可能な限り働いて稼いでもらうように指導することになっています。住まいをなくした人がそこから脱却したいと役所に相談に行った場合、どういった経路をたどるか御説明願います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 住まいがなくなった方やホームレスの方から相談のあった場合は、まず健康状況やこれまでの生活状況をお聞きしまして、例えば緊急に入院が必要とされる方には病院等の連絡をとりまして、入院の手はずを整えまして、入院をしていただくようなこともございます。また、特に体調に問題のない方につきましては、公的に設置している緊急一次保護センターや特別区人事厚生事務組合で運営しております施設や、または民間の宿泊所を紹介し、泊まる、宿泊の場を確保することとしております。その後、健康状態を取り戻した時点でいろいろなこれまでの生活のあり方について学び直すというか、反省をしたりとか、そういったようなことを通じまして、自立支援センターなどに移り、その後仕事を探し、アパートに移るといったようなことになります。

○せきと委員 全国の自立支援センターを利用した人のうち、就労による自立を果たしたのは3割から5割にすぎず、その上せっかく就労自立したというのに、また住まいをなくしてしまう人が随分おります。彼らが悪いのでしょうか。いえ、そうばかりではありません。北川由紀彦さんという方が批判しておりますが、自立支援システムは、現在では野宿者の再選別装置になっている。すなわち、野宿者を一たん路上からすくい上げた上で、二つの層、労働市場からまだ労働力とみなされ、かつ労働条件や職業適正上の問題があったとしても従順に働き続けられる層と、そもそも労働市場から労働力とみなされないか、せいぜいが使い捨て可能な労働力としかみなされず、かつそうした状況に堪えられない層に選別し、後者を再度路上へと切り捨てていく、こういう再選別装置である。このように申しております。
 名古屋の自立支援センターで仕事を見つけた人たちへの追跡調査を行った団体がありますが、それによりますと、就労し、部屋住まいの自立を果たしてから1年半が経過した段階で、自立の生活を維持している人はわずか3分の1しかなく、1年半で失踪が自立を上回るのだそうであります。求人を見ていますと、住み込み就労の募集をよく見かけます。住み込み就労は仕事と住居が一度に手に入る反面、失うときも両方一緒という再野宿の危険が高い、あまり進められない就労形態だと私は思いますが、御担当の認識はいかがですか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 就労に当たっては、社宅や寮などに入居することが望ましいといったようなこともございますので、住み込み就労等については、危険があるという認識はございません。

○せきと委員 私のところに来ました30代の住まいをなくした人は、一度は就職したのに、やがて離職してしまい路上に戻ったと話しました。公園生活だったという理由から職場で差別を受けたり、不安定雇用しか選択の余地がなかったり、いつも役所から就労による自立を半強制されるがうまくいったためしがないと語ります。役所は、住まいをなくした人に対し、働けるでしょう、働きなさいとばかり言います。では、社会が彼らにどんな仕事を用意しているというのか。ハローワークの情報端末は何十分待ちで、探しても仕事は見つからず、あっても年齢制限にひっかかり、ようやく見つけたと思ったら、200人も殺到してひっかからなかった。住まいをなくした人の稼働能力、働くだけの能力を活用していないのは、本人よりもむしろ社会ではありませんか。伺います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 全く失業のない、失業者のいない社会の実現というのはなかなか難しいことだというふうに考えます。この間実施している、生活援護担当で実施しております離職者支援の事業などは、委員の御質問のような認識に立ったものではございません。


(2)精神保健について

○せきと委員 毎日新聞2009年9月2日号は、路上生活者の6割以上がうつ病や統合失調症など、何らかの精神疾患を抱えるという医者らの調査結果が出たと報道しました。うつ病が4割、アルコール依存症が1割半、統合失調症など幻覚や妄想のある人も1割半、これらの合併症や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)も見られました。路上や公園での生活により、精神を病む危険が高いのは自明であるし、そうならないためのセーフティネット、安全網でもあるはずでしょう。ところが、住まいをなくした人への支援施策においては、こうした精神保健の観点が極めて乏しいと言わざるを得ません。なぜなら、心身の健康回復を図る緊急一次保護施設でさえ、精神科医や臨床心理士による相談は任意でしかないのだから、精神保健の観点は乏しいと言えると思います。
 私が見てきた人たちで言えば、アルコール依存症、ギャンブル依存症、統合失調症、アスペルガー症候群、うつ病と、精神保健の問題を抱える人は8割を超えます。彼らは、精神疾患や発達障害上に仕事が続かず住まいをなくしたのか。それとも、住まいをなくした後、精神疾患となったのかはわかりませんが、役所は彼らに、働けるでしょう、働きなさいとしか言いません。住まいをなくした人への支援が就労偏重と精神保健希薄である限り、住まいをなくした人は減らないと、こう思います。


(3)中野寮について

 今度、中野寮が建設されます。2011年4月から新型自立支援センターが開設し、2013年4月からは緊急一次保護センター機能が併設すると説明を受けました。今度の中野寮においては、精神保健を強化し、就労偏重を改めるよう求めます。この中野寮についてどこまで決まっていて、何が動いているのか。中野寮についての御説明とあわせてお答えください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 新型自立支援センター、(仮称)中野寮は、東京都と特別区が協定を結び、一体となってホームレスの自立を支援する路上生活者対策事業の自立支援施設の一つとなります。この(仮称)中野寮――新型自立支援センターは、23区を五つのブロックに分け、各ブロックごとに各区が持ち回りで施設を設置し、ブロック内のホームレスの支援を行ってまいります。現在、中野区が含まれております第4ブロックでは、練馬区に緊急一次保護センターができておりまして、こちらは宿所や食事を一次的にまず提供し、心身の健康の回復を目的とした施設でございます。
 また、杉並区には、自立支援センターを設置してございまして、こちらのほうでは緊急一次保護センターで心身の健康の回復を行った後、杉並区の自立支援センターに移り、就労支援を目的として、こちらのほうで生活を行っていくということになっております。この杉並区の自立支援センターが平成23年3月をもちまして、杉並区の役割が終了し、閉鎖となります。ということで、この後を、平成23年4月から中野区に自立支援センターを設置し、平成25年よりは緊急対応の機能、緊急一次保護センターを加えて新型自立支援センターとするものでございます。
 新型自立支援センター中野寮の現在の進捗状況でございますが、平成22年9月より、中野区新井三丁目37番に、東京都のほうで建設を始める予定でございます。また、平成22年10月からは、特別区人事厚生事務組合のほうが運営事業者の選定の準備に入る予定となっております。また、運営内容につきましては、特別区人事厚生事務組合のほうで定めることになっておりますけれども、先ほど委員の御質問にありました精神疾患であるとか、精神疾患というか、入所後心の病気等に悩む方が出てきた場合や、また、それ以外の疾患、いわゆる胃が痛くなるとか風邪を引くとかそういったようなことも含めまして、医師による相談等の体制がとられるというふうに考えます。

○せきと委員 緊急一次保護施設に入りますと、体の健康診断は入所者全員義務で受けるんですが、そうした心の面については、先ほども言いましたけれども、最終的には任意です。本人が受けないと言ったらやらないという形になってしまっています。繰り返しになりますが、6割の人がそうした問題を抱えていると言われているので、ぜひとも、その内容についてもきちんとやっていっていただきたい、このように思います。
 現在の緊急一次保護施設である練馬寮ですけれども、扱っております杉並区と板橋区と練馬区は、希望者があらわれる都度、練馬寮に申し込みをしますが、中野区と豊島区そうではなくて、中野区でいえば10日に一度まとめて申し込むようになっています。中野区も希望者によっては即時申し込む場合があるといいますが、多くは、何日の何時にいらっしゃいと言われてそのまま帰されます。この方法は、緊急度の高い要保護者を保護していないかもしれないこと、募集と応募の倍率が他区より大きくなる公算が高いこと、二つの問題点が考えられますが、これはいかがでしょうか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 委員の御質問がありましたのは、ブロックの中でホームレスの方に対して、その緊急一次保護センターに入所する段階でのその選定方法によるものだと思います。中野区と豊島区は、10日に一度抽せんによって入所を決めておりますけれども、板橋区や練馬区、杉並区は予約制をとっております。この予約制ですと、ホームレスの方が来て緊急一次保護センターに入って予約をしたいということになりますが、いざ当該区の空きが出た場合に、ホームレスの方に連絡をとろうとしますと、どちらかの公園に行っていらっしゃったりしまして、なかなか連絡が実際はとれないというような状況があります。そういったことで、そちらのほうの、ほかの区につきましては、そこの事務手続がとても大変だというような苦情も聞いております。私どもとしましては、ここで一括で抽せんをしまして、抽せんをする必要がない空き人数の場合にはそのまま皆さん入っていただけますが、抽せんをした場合には、民間の宿泊所等を御紹介しておりますし、そういった問題からは中野区のやり方が一番ベストではないかというふうに考えております。

○せきと委員 先日ちょうどたまたま、緊急一次保護施設の中野の10日に一度の申し込みの締め切り直後に入りたいんだがという人が来まして、その方はもう仕方ないのでお帰りいただいて、10日後にまたいらっしゃいと言うしかなかったということもあります。善し悪しがあることはわかりましたが、今後、住まいをなくした人がふえていく中では、必要に応じて運用していただきたいと、このように思います。

○いでい委員長 せきと委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。
 3時20分まで委員会を休憩します。

午後3時00分休憩

午後3時20分再開

○いでい委員長 委員会を再開します。
 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。


(4)生活保護について

○せきと委員 生活保護について伺います。住まいをなくした人のうち、就労の可能性の高い層を選別して入所させ、手厚い就労支援メニューを集中的に提供している自立支援センターにおいてさえ、事業成果は十分とは言えない、こういう報告がされている以上、住まいをなくした人に対する生活保護の適用は何ら渋ることではありません。生活保護世帯が激増しておりますが、生活保護の申請理由に変化は見られますか、最近の特徴があれば御紹介願います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 生活保護の申請につきましての申請理由の変化、また、最近の特徴ということでございますけれども、最近の特徴としましては、特に大きな病気もなくて働ける力があるんだけれども、仕事がなく、手持ちの預貯金等も使い果たして、やむなく生活保護の申請に至るといったような方がふえております。特にそういった方の中には若い方も多くなっております。また、世帯の傾向としましても、高齢者世帯が半数ぐらいおりますけれども、それ以外にその他世帯といいまして、今言ったような、特に病気もなく、本来であれば働いていただくというのが本筋でございますが、仕事がどうしてもないために生活保護になってしまうといったようなその他世帯もふえているというような状況がございます。

○せきと委員 しばしば問題とされます生活苦を理由にした生活保護の申請を抑制しようとする、いわゆる水際作戦は、よもや行われていないと思いますが、いかがですか。お答えください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 申請の抑制につきましては、これまでもどういった状況でもやっておりません。

○せきと委員 御担当もお答えになりましたとおり、仕事がなくて生活が大変困窮している人がふえております。先ほど言ったとおり、その人の稼働能力を十分に活用できていないのは、本人以上にこの社会の自己責任であるのだから、これまでのような稼働能力を楯に生活保護の申請に難色を示すやり方は通用しなくなって当然だと思います。
 居宅保護の原則と施設収容主義について伺います。住まいをなくした人が年末年始のいわゆる公設派遣村を訪れ、中野区内において居宅保護、つまり部屋住まいをして生活保護を開始した人は何人おりますか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 年末年始の総合相談のうち、中野区で生活保護の申請をされた方は23人いらっしゃいます。この23人のうち、14人がアパートで生活を行っていらっしゃいます。

○せきと委員 生活保護法は第30条で居宅保護、部屋住まいの原則を定めていますが、住まいをなくした人の多くは、さまざまな理由をつけられて、無料低額宿泊所や簡易宿泊所や一時保護施設に入れられます。厚労省は2003年7月31日に、「ホームレスに対する生活保護の適用について」という通知を示しました。居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではないことに留意し、生活保護を適正に実施するとした上で、直ちに居宅生活を送ることが困難な者については、保護施設や社会福祉法第2条第3項第8号に規定する無料低額宿泊事業を行う施設等において保護を行うが、ホームレスの状況によっては、養護老人ホームや各種障害者福祉施設等への入所を検討することとしています。つまり、法の原則は居宅保護であって、無料低額宿泊所は直ちに居宅生活を送ることが困難な者に対して適用する例外措置であることを明示しています。
 ところが、2007年に厚労省がまとめた平成19年ホームレスの実態に関する全国調査、これを分析した山田壮志郎さんという方の研究によりますと、無料低額宿泊所が存在する市区町村では、生活保護開始の場所で最も多いのは無料低額宿泊所で6割、一般住宅での生保開始は0.4割であるのに対し、無低が存在しない市区町村では、生活保護開始の場所で最も多いのは医療機関で5割半、一般住宅は2割以上となっており、山田さんは、施設収容主義が居宅保護を妨げているのではないかと、こう批判しております。また、無低の多くは相部屋でありますが、極度の孤立が長かった多くの人にとっては、そのことが何よりも耐えがたい苦痛となっています。当事者の口からもよく語られますし、容易に察せられます。相談者が居宅保護を希望しているのにそれを認めず施設利用を促すのは、生活保護法と厚労省通知に違反しているのではありませんか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 厚労省通知に違反しているというふうには認識しておりません。委員の御説明にありました厚労省の通知におきましても、ホームレスの方が相談に見えた場合に、居宅生活を営むことができるか否かの点について特に留意することというふうになっております。こちらのほうの厚生労働省通知と同時に、生活保護法による保護の実施要領の取り扱いについての一部改正通知も出ておりますが、これによりますと、居宅生活ができると認められる者の判断としまして、居宅生活を営む上で必要となる基本的な項目、生活費の金銭管理、服薬等の健康管理、炊事、洗濯、人とのコミュニケーション等を自己の能力でできるか、または自分の能力のみではできない場合にあっては、利用し得る社会資源の活用を含め、できるか否かについて、十分福祉事務所は検討を行って、これに基づいてその方の保護の決定をするようにというふうになっております。ということで、私どもは、まずは緊急一時保護センターや民間の宿泊所に宿泊をしていただく中で、1カ月程度その方の生活を見ながら居宅に移していくというようなことを実施しております。

○せきと委員 より適切な運用をお願いしたいと思います。
 では、住まいをなくした人が中野区に相談に来た結果、養護老人施設や障害者福祉施設に入所したという例はありますか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) ホームレスの方が直接そうした施設に入所した例はございません。

○せきと委員 今後は、住まいをなくした人の状況に応じて、そうした施設への入所を視野に入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 養護老人施設や障害者福祉施設等におきましては、それぞれの入所後の手続がございます。こういった手続を、必要のある方はきちんと踏みながらそういったことの検討はしてまいりたいと思います。

○せきと委員 ありがとうございます。けさの毎日新聞によりますと、路上生活者の34%が知的障害の疑いがあるということが関係者らの調査でわかったと報道されました。また、北九州ホームレス支援機構は、住まいをなくした人のうち、知的障害があるのに本人も社会も見過ごしていた事例が多くあると、このように報告しています。療育手帳に関する国の指針が示されたのが1973年であることから、1973年以前に義務教育を終えた現在50歳以上の世代には、軽度の知的障害という認識がないかわりに、それを勉学が苦手だとか努力が足りないと、こういう自覚にすりかえて、人より苦労して生きてきた方が多いのだそうであります。北九州ホームレス支援機構では療育手帳の活用を念頭に置いて、住まいをなくした人への支援を行っています。こうすることで、障害基礎年金や障害者入所施設、通所事業など、有利に働く場合があるといいます。しかし、一方で、療育判定には当事者を傷つける危険があるため、細心の注意が必要だといいます。御担当におかれましても、住まいをなくした人には療育手帳を持たない知的障害者が少なからずあることを御理解ください。答弁は要りません。
 厚労省は、居宅保護の徹底をたびたび通知しておりますが、2009年3月18日の「職や住まいを失った方々への支援の徹底について」では、今後、景気がさらに後退すれば、職や住まいを失い、生活に困窮する方がさらに増加すると考えられる、このように見通しつつ、現在地保護の徹底やホームレス緊急一時宿泊事業、シェルター等の必要な施設の確保を図ることを求めています。
 通知のあて先は、各都道府県・指定都市・中核都市民生主幹部(局)長であり、中野区は対象とならない部分もあるとは思いますが、アパートを借り上げるなど、シェルター、緊急一時宿泊事業の施設確保は必要だと考えます。区の考えはどうか、お答えください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 現在特別区では、23区が共同して路上生活者対策事業の一環として、緊急一時宿泊施設を設置しております。そういったことでは、ホームレスの課題は一つの区で解決のできるものというふうには考えないために、現在の方法で宿泊施設を確保することのほうが重要だというふうに考えております。


(5)民間との連携について

○せきと委員 施設収容主義を批判してきましたけれども、こうした無低、 無料低額宿泊所や簡易宿泊所を否定するものではありません。むしろ、これら住まいをなくした人を支援する団体への公費助成が薄過ぎる点は本当に改善されなければならないと考えます。ある無低がまとめた利用状況調査によりますと、無低を退所した理由のうち、累積違反と無届け、つまり失踪が4割もおります。退所した人へ実施した意向調査では、「施設に満足」「やや満足」と答えた人はわずか3割しかなく、違反者や失踪者は回答していないだろうことを考えれば、実際には8割以上の利用者が施設に満足していないことがわかります。この無低で生活保護を適用された人には月3万円の小遣いが渡されますが、これで転宅資金を蓄えるなど、できようはずはありません。相部屋である、月3万円しかもらえない、規則が厳しい、こうした無低の実態からして、寮長さんの人柄がどんなによかろうと、窮屈で逃げ出したくなるのは無理からぬことではないでしょうか。失踪する人たちがどうしようもないのか、それとも無低が最低限度の人間らしい生活環境を満たしていないのか、どちらだと思いますか。無料低額宿泊所での生活実態について、御担当の見解をお聞かせください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 民間の宿泊施設自体がベストであるというふうには私どもも考えてはおりませんが、こういった施設について、国についても来年度より指導員を置くといったようなことを検討しております。そういった意味では、今ある民間の宿泊施設について、なるべく生活自体が良好な環境で行えるように、区としても、訪問やいろいろな調査を通して指導していきたいと思いますし、東京都や国につきましても、そういったことについては認識をしてさまざまな対策を組んでいくものというふうに考えております。

○せきと委員 ありがとうございます。区内のとある簡易宿泊所は、全部屋個室のため絶大な人気があります。経営者兼管理人さんは、傘寿、80歳を超えたと思えないほどしっかりしておられます。管理人さんは、利用者の中には高齢のためか泌尿器系の問題を抱え、布団や便所を汚してしまう人がちょくちょくいて、中野区に布団代を要求するが、予算を理由に断られてばかりだと残念がっておりました。区が紹介して住まいをなくした人が簡易宿泊所を使うのだから、保護実施の面からも簡易宿泊所に対する区の支援を強めるよう求めます。お答えください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 委員の御質問の布団代等につきましては、生活保護法の適用に照らし合わせまして、必要があるときにはお支払いすることができますが、布団代自体がそもそも民間宿泊所に対して支給するものではなく、各個人に対して支給するものであるため、その方が例えば失踪してしまって既に中野区で生活保護を受給していないような場合につきましては、どうしても布団代等はお支払いすることができないような制度になっております。また、こういったことにつきまして、中野区独自で予算を計上するということにつきましては現在考えておりません。むしろ、そういった民間の宿泊施設等には、先ほども申しましたが、23区共同で検討していく中でそういった支援をしていくというようなことが重要だというふうに考えております。

○せきと委員 必要があるときにはできるという規定の積極活用をお願いしたいと思います。
 簡易宿泊所は、繰り返しになりますが、全部屋が個室でものすごく人気があります。こうした簡易宿泊所をふやすことの必要性について、どのようにお考えか、お聞かせください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 全室個室である簡易宿泊所について人気があるということは、個人が尊重されるということで重要であるというふうには考えますけれども、例えば緊急一時保護センターや自立支援センターにつきましても個別の空間を確保するというようなことはできておりますので、それ以外の簡易宿泊所等についても、団体というか、一部屋に何人かが泊まるような簡易宿泊所もございますので、一般的に現在の形での簡易宿泊所についてはふやす必要性はないというふうに考えております。


(6)地域生活移行支援事業について

○せきと委員 地域生活に移行した後の支援について伺います。住まいをなくした人のための地域生活移行支援事業というものがありますが、どんな事業か御紹介ください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 地域生活移行支援事業は、ホームレスの方を対象として、平成16年から19年度にかけて都区共同で行ったものでございます。この中身につきましては、大規模公園につきまして寝泊まりするホームレスの方をアパートへ重点的に移行させていくというようなものでございます。中野区でも、平成18年度に紅葉山公園を中心としましたホームレスについてこの事業を適用しまして、アパートへの生活を移行していただいたというようなことがございます。

○せきと委員 東京都の事業評価票等を見ますと、うまく機能した事例も多数あります。ですが、新聞等で報道もされていますが、入居してみたら定地借地権で、ずっと住み続けられると思っていたのに2年後に退去をさせられた人もあり、裁判ざたも起こりました。
 地域生活移行支援事業についてはわかりました。ここからは、地域での生活へ移行した後の支援について伺います。先ほども言いましたが、住居喪失から就労自立して1年半が経過した段階で自立生活を維持しているのはわずか3分の1しかなく、1年半で失踪が自立を上回るのだそうであります。いなくなってしまっては、それまで積み上げてきた自他の努力が水泡に帰します。だから、自立生活を始めた後の支援もまた手厚くすることが重要なのであります。ケースワーカー、地区担当員が定期的に訪問することが基本だと思いますが、これは実現していますか。聞き方を変えるならば、地区担当員の人数は足りていますか。伺います。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) ホームレスの方が民間の宿泊所等に入って、その後アパートに移られた場合には、おおむね生活保護を受給している方がというふうになっております。そういった場合には、ケースワーカーのほうが引き続き訪問を行うように努力しております。また、自立支援センター等、自立してアパートに住まわれる方につきましては生活保護を受給していないケースが多くございまして、そういった方につきましては、特別区人事・厚生事務組合のほうでフォローの訪問に入っているというようなことがございます。
 あと、ケースワーカーの人数は足りていますかということでございますが、平成22年度につきましては生活援護担当も増員をするというような予定でおりますし、今年度は高齢者の居宅介護支援事業という委託事業を実施させていただく予定でおりますので、全体としては業務の充実を図ることができるのではないかというふうに考えております。

○せきと委員 訪問するように努力しておりますというお答えですけれども、なかなか実現には至っていないというふうにも聞いています。その後の支援を惜しんでいますと、かえって扶助費全体がかさんでいくことになります。いなくなってしまっては、その人の支援が振り出しに戻って、また最初からやり直すということになるからであります。山田壮志郎さんは、ホームレスが喪失しているものとして、仕事と住居に加えて関係性を強調します。仕事や住居を確保しても、地域や社会との関係がうまく構築できなければ、また住まいを失ってしまう傾向が強いと、このようにしています。仕事と住宅の確保は自立の達成ではなく、自立の始まりである、これは至言だと私は思います。山田さんに限らず自立支援に携わる人は、ただ食う、寝る、働くだけでは、時間とともに労働意欲が減衰し、離職に至りやすいと考えています。自立生活を継続するためになくてはならないのは、家族のために働くであるとか、他人のために働く、社会貢献など、自分は必要とされていると思う気持ちになることだと思います。住まいをなくした人が自立生活を営み始めた後の生きがいづくりのようなことは、何か事業としてありますか。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 現在はそういった事業については実施しておりません。

○せきと委員 大阪にあります大淀寮は、身体に障害を負った日雇い労働者の保護施設で、生活保護法では更正施設に位置付けられます。大淀寮には通所事業部というものがありまして、地域での自立生活を獲得した後の支援に力を入れています。債務整理の相談や、お酒やかけごとへの依存問題の相談、介護保険や病院の諸手続の手伝いや付き添いなど、彼らが尋ねてくるのを待つのではなく、こちらから訪問して力になっています。また、地域から仕事を受けて、地域での自立を獲得した人に働いてもらっています。これは季節性の不定期な仕事ではありますが、仕事の創出よりも地域とつながることが眼目であり、このことによって多くの人が自立した生活を継続しており、貴重な経験だと思います。
 私がかかわっているある老人の話をします。彼は今、刑務所にいます。何をやったかというと、おにぎり一つとチーズかまぼこ四つ、合計580円の物品を万引きした罪であります。窃盗はどうしたって許される行為ではありませんが、貧困のきわみで犯行に及びました。初犯ではないため、実刑判決が下されました。その数カ月前までは中野区内の簡易宿泊所で生活保護を受けていましたが、行方がわからなくなり、生活保護は廃止されました。後で国選弁護人の調査によってわかったことですが、彼には精神疾患の病歴がありました。役所はしかし、そのことを知らなかったに違いありません。そうでなければ、簡易宿泊所で保護を開始して、失踪するに任せるわけがありません。ほかに彼が生活保護を受けるにふさわしい場所があったと思われ、精神保健の視点が弱いことを露呈していると言えると思います。
 弁護士は、彼の子どもに身元引受人になってほしいと手紙を出しましたが、断られました。断っただけでなく、子どもや社会に迷惑ばかりかけて、刑務所か病院か、父は人生が終わるまで施設に置いておいてもらいたいと、実の子どもは弁護士に返事を返したのであります。この老人は孤立のきわみにあり、人とのつながりを完全に喪失しておりました。私が面会に行きましたら、以前より血色がよくなっていて、いっぱしの老紳士にも見えました。そしてなんと、看守さんはいい人だ、いい人だと、泣きながら笑いかけるではありませんか。地域生活で失った人間らしさ、生活保護で得られなかった人とのつながりを、よりにもよって刑務所で取り戻したとは、私はこの国の社会保障は貧し過ぎると言わなければなりません。自立生活を始めた後の支援について、これは口で言うほど簡単なことではないことは重々承知しておりますが、生きがいや働きがいを見出して初めて自立は達成される点によくよく留意され、御検討願います。お答えください。

○黒田保健福祉部副参事(生活援護担当) 生活援護分野では、これまでもさまざまなプログラムを実施して、生活保護の受給者の方のための支援を行っておりますけれども、そういった新たな必要なプログラムにつきましては、必要に応じて今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○せきと委員 ぜひお願いいたします。
 住まいをなくす人の増加は避けられませんし、既に始まっています。住まいをなくしそうな人、住まいをなくしてしまった人への支援を強めるよう求めます。これは時代の要請でもあると思います。私は、あの老人が刑期を終えたら、支援団体に力をかしてもらうようお願いしたいと思っています。地域で生活していけるよう、私も何か力になれたらと考えます。それまでに、この国の社会保障が少しでもおくれを挽回し、困難を抱える人が地域でともに暮らしていける「人間のまち中野」に近づいていたらいいなと思います。
 以上で質疑を終わります。