【本会議・討論】
東中野小学校を廃止する条例案に対する反対討論(6月17日来住和行)


 上程されました第62号議案に日本共産党議員団を代表し反対の討論をおこないます。
 本議案は、東中野小学校を廃校し、中野昭和小と統合するとともに、中野富士見中学校と第一中学校を統合するというものです。
 学校の歴史には、それぞれ創立の経過があります。学校があるゆえに、そこにくらし、住み続けてきた人々もいます。学校は、住民と区民の手によって育まれてきた区民の歴史的財産であり、文化的、教育的資産です。
 教育委員会はもとより、区行政と議会は住民に代わって区民の財産を守り育てる義務と責任があります。

 本議案に反対する理由の第一は、合意が得られていないということです。東中野小学校の統廃合の再検討を求める趣旨の6400筆の署名が東中野小学校同窓会の飯田雄一会長と「東中野に学校を残す会」会長名で、区長と教育長に要望書が提出され、2月15日には「統合の再検討を求める」要望書が区議会議長に提出されています。
 この間開かれた3回の区主催の住民説明会は280名が参加し、圧倒的に、統合計画の見直しを求める意見が多数でした。5月に実施された東中野小学校PTAの統合アンケートでも、統合に賛成した保護者は1人だけという結果です。このことからも、地域と保護者の理解は得られていません。
 また、「学校統合委員会」の副委員長をはじめ複数の委員から統合反対の態度表明がされ、さらに5月26日に区議会議長に、「統合の見直しについて」の陳情書が同窓会会長と父兄有志代表名で提出されています。
 中野区と教育委員会に問われているのは、説明のあり方や不充分さではなく、東中野小学校と中野昭和小学校を統合することに道理がなく、地域と保護者の合意は得られていないということです。

 反対の第二の理由は、児童の安全が確保されていないことです。子供の安全を確保することは、すべてにおいて最優先されるべき重要課題です。
 東中野小と昭和小の統合においては、これまで地域と保護者から通学安全対策での強い要望が出されていたのに、区側は無視してきました。区は、あわてて本年4月22日初めて、10項目の対策を示したのです。
 東中野小PTAから2004年11月に「直線で1.4kmとあるが、実際に歩いてみてのことか」「山手通り、早稲田通りについてどのように検討したのか」「青原寺交番前の交差点は事故が多い」などの意見が地域と保護者の共通の要望書として提出されています。
 小学校PTA連合会からも同年12月に「抜本的な安全対策」を求める要望書が出されています。
 区が安全対策の目玉のひとつとしてきた、新たな通学路に指定した上高田中通りのガードパイプも、布設し2カ月後には車にぶつけられ曲がるなど、区側提案の安全対策に保護者、地域の信頼は得られていないのです。

 小さな身体にランドセルを背おい、手に道具を持ち、早稲田通り沿いを歩き、山手通りを横断し、危険な上高田中通りを30分も通学する計画でありながら、交通安全対策の検証を区も教育委員会も実施してきませんでした。だから、対策の提案も出せなかったのです。せっぱつまって今回出した提案も、警察だのみのものなど抜本的な安全対策とは到底いえません。
 5月23日に本議案関連を議決した教育委員会においても、「今後とも通学安全対策については教育委員会の議題としていく」ことを確認せざるをえませんでした。このことからも議決した教育委員会自身が安全対策は万全でないことを認めているものです。
 「子供たちにもしものことがあったら誰が責任をとってくれるのか」といった説明会での地域、保護者の切実な訴えはもっともな声と受けとめるべきです。
 また、昭和小の保護者からも、子供の交友関係が山手通りを横断して拡大することに、不安が表明されていることも無視できません。
 子供の登下校時における安全対策がいまだ確定せず、子どもの安全といのちの保障に対し、地域と保護者にその理解が得られていないのが第二の問題です。

 反対の第三の理由は、乱暴な計画であるということです。戦時中に塔山小学校、桃二小学校があったにもかかわらず、東中野小学校は現在の第三中学校所在地に開校されました。空襲で焼失したもののこの地域には一つの小学校が本来必要と、現在の位置に設置され51年の歴史をきざんできました。
 中野富士見中学校もまた、49年におよぶ、歴史を重ねてきた点においては、変わりはありません。
 中野区における学校統合再編についての検討は、2000年1月に「適正規模適正配置審議会答申」として「小規模校を統廃合し、望ましい学校規模を確保しなければならない緊急性は見当たらない」との結論を得ていたものです。
 ところが、田中区政になって「すべての施設をゼロベースで見直す」として、これまで小規模校の良さを認めていた教育委員会も、人間関係の固定化が進む、学校行事の活気が失われるなどの理由をあげ、小規模校を否定する論を展開しました。しかし、いずれも財政効率の尺度からのものです。
 学校の存在が住民の心にどのような位置を占めているのか、地震、水害等の避難場所、子供を通しての情報発信、地域コミュニティの基地としての重要な拠点、何より子どもの立場、教育的視点からの検証もない中で、計画は15年間で小学校29校を21校に、中学校14校を9校に削減するというものです。統合ありきのモノサシをあてて切り捨てる、乱暴な計画を強行したことにあります。

 最後に、東中野小学校における教育方針は全体として地域、保護者の方々の支持と理解のもとに実践され、高い信頼を得てきました。区と教育委員会はここにこそ自信と確信を持つべきです。これからもそこを拠り所として子供の成長と教育に責任を負う行政を推進すべきです。
 学校は子供が主人公であり、学校は保護者と地域の協力・協同の力をもって、それを活かしてこそ豊かに育まれるものです。
 合意のない乱暴な統廃合は、中野の教育現場により一層の困難を持ち込み、区政への信頼も失いかねないことを強く指摘し反対の討論とします。