【本会議・討論】
児童館廃止条例案に対する反対討論(6月17日岩永しほ子)


 日本共産党議員団を代表し、上程されました第57号議案「中野区立児童館条例の一部を改正する条例」に反対する立場から討論を行います。

 中野区は、10か年計画に沿って2014年度までに児童館を7館廃止するとしています。その計画推進の1番目が議案として上程された塔山児童館です。
 塔山児童館は東部地域センターに併設して、1983年に25番目の児童館としてようやく開館しました。その児童館にある塔山学童クラブは、塔山児童館ができる20年前に区内4つの学校で「子どもクラブ」として開始していた学童保育事業の一つでした。本議案で廃止となれば、遅くに児童館に移行した学童クラブが真っ先に学校に後戻りすることになってしまいます。
 中野区の児童館建設は学童クラブの歴史と密接な関係があります。学校の空き教室を使って始まった学童保育は、安全対策や活動スペースなどの苦労が多く、1966年に「校庭開放と区別して学童保育の確立を」と望む区民から請願が出され、区議会で採択されました。そして、10年の間は毎年2館ずつのペースで児童館建設が始まりました。
 1973年には「幼児グループ」事業がはじまり、その頃から、児童館の行事は子ども実行委員会を組織するなど子ども主体となり、次第に地域から大人の参加も広がりだしました。1978年には区の児童館条例が全面的に改正され、児童福祉法や東京都の設置基準に基づき、スペースの確保、児童への健全な遊びの提供、乳幼児親子や小・中学生への情操育成など、子育てネットワークの核として活動を展開しています。学童クラブと一体となって取り組む児童館まつり、親子育成事業などでのボランティア参加や地域との連携を深めることにより、児童館が「人づくり」の役割も果たしています。
 こうした活動の展開ができるのは、子どもが歩いて行ける身近な距離に児童館があり、職員配置と、地域団体や父母などによる運営協議会の設置などでの民主的な運営がされているからです。
 ところが、10か年計画によって遊びの機能が学校に移行され、キッズプラザ事業とする位置づけは、条例もない設置根拠に乏しいものに変えられようとしています。先にも触れましたが、児童館が、地域に住むすべての乳幼児親子や児童・生徒の健全育成事業に取り組めたのは、事業目的が明確であり、そのために必要な設置基準などが示された条例があったからです。なんの根拠も示されないまま子どもたちは学校に押し込められ、当該学校以外の子どもたちが参加できず、場所を提供するだけのキッズプラザでは地域との連携も深められず、「連携と人づくり」という、これまで築いた地域の財産が継承されません。
 また、学童クラブが児童館建設に道を開き、1972年に児童館事業として位置づけたことにより、学校から児童館に移行してきたものを再び学校に閉じ込めてしまい、その上民間に委託しようとするのでは明らかな事業の後退です。加えて、学校への移転は体育館や校庭などの使い方と安全対策、具合が悪くなったときの静養スペースを確保する対策などは今より後退することも目に見えています。児童福祉法に基づいて制定された「放課後健全育成事業の実施について」で求められている「施設や運営を向上させる努力」をすることとにも逆行したままです。
 児童館の廃止による問題は、子どもたちの活動と居場所を奪うだけでなく、地域の養育力と子育てネットワークの低下を招きます。
 中野区が少子化対策を喫緊の課題としているときに、子どもたちの身近にあって健全育成を地域住民とともに取り組んでいる児童館廃止に区民の合意はありません。納得のいかないまま、廃止することは、子育て支援が財政効率を優先させたものとなり、子どもたちに負担をおしつけるものとなります。児童館を廃止することは見直すべきです。
 以上を指摘して、本議案への反対討論とします。