本会議・一般質問 小杉一男

3 誰にでも安心して暮らせる住まいの確保について

 3、誰にでも安心して暮らせる住まいの確保についてです。戦後の住宅政策は雇用と家族の「標準モデル」を優遇する制度で、終身雇用の男性が女性と結婚して世帯を形成し、住宅ローンを組み、持ち家を取得する。まさに「住まいの『梯子』」を上ることを後押しする「持ち家政策」が政策の中核でした。昨今の社会経済状況により、安定した仕事と収入という前提条件が崩れており、「持ち家」の取得自体が夢物語になっています。
 8月末に放送されたNHKの番組「老人漂流社会」では、親と同居する未婚者の子どもが激増しており、失職や病気などで親子共倒れになる事例が紹介されていました。また、普通に年収がある方であっても、高齢になり、さまざまな理由で生活保護基準相当、もしくはそれ以下で暮らさざるを得なくなる方もふえてきています。「2014年中野区民意識・実態調査」報告書を見ても、中野区民は「ずっと住み続け」たい、定住意向は残念ながら低く、区民の住居や公園、教育などの環境に対する不満は大きいのが実情です。私は、今こそ「誰でも安心して暮らせる住まい」の実現が求められていると考えます。
 そして、(1)生活保護の住宅手当引き下げ等への対応についてです。この7月から生活保護の住宅扶助費が改定されました。対象者の中には、「ここで暮らせなくなるのでは」という不安を抱える方も少なくありません。一人世帯と複数世帯で2人の場合に新基準額が細分化され、減額される方が出ます。経過措置が適用されるため、7月、直ちに減額になった方はおられなかったようですが、それぞれの経過措置が切られれば、その時点で引っ越しをせざるを得なくなります。
 厚労省は、通知で、従来の家賃のまま暮らせる要件として、1、通院・通所あるいは通学・通勤していて、転居になってそれらに支障を来すおそれがある場合、2、高齢者、身体障害者など、日常生活において扶養義務者からの援助や地域の支援を受けている場合など、転居によって自立を阻害するおそれがある場合は従来の基準を適用するとしています。こうした経過措置の適用を含めて、「行政による追い出し」と指摘されないように、極力、柔軟に対応いただくよう求めます。
 そこで質問です。生活保護受給者には区が責任を持って丁寧に説明するとともに、契約更新後にはできるだけ経過措置を柔軟に適用するなど、丁寧に対応を行うことを求めます。対象の方が望まない地域や居住環境の劣悪な物件への転居にならないよう、十分配慮しながら対応していただきたい。これらについて回答をお願いします。
 (2)公営住宅の建設の推進について。2007年、制定された住宅セーフティネット法においては、国及び地方公共団体は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などの「住宅確保要配慮者」の住宅の確保について配慮を必要とする事案を勘案し、「既存の公的賃貸住宅の有効活用と、公的賃貸住宅の適切な供給の促進の施策を行うよう努めなければならない」とされています。「住宅確保要配慮者」向けの公的賃貸住宅である公営住宅は、低所得者等の住宅セーフティネットとしての役割を担っています。区内の都営住宅、区営住宅は、合わせて2,837戸にとどまっており、十分な供給が行われていません。区内には、最低居住水準の25平米未満の民間住宅に居住し、なおかつ公営住宅の入居収入基準以下の世帯が3,000軒もおられ、必要な需要に追いついていません。先日まで中野区でも、「公営住宅」「区立福祉住宅」の募集が行われていましたが、現空き家戸数はそれぞれ4軒、10軒とわずかばかりで、前回の倍率は家族向け住宅5.5倍から10倍、単身者用住宅55倍と高率でした。中野区は公営住宅について、「適切な管理」「建てかえの検討」にとどまるのではなく、区営住宅の建てかえと建設を行うべきではありませんか。
 そこで質問です。中野区が住宅政策において、住宅確保要配慮者に住宅の安定確保を行うために区営住宅の建設を促進させる施策へ転換することを求めます。東京都には、サービス付き高齢者住宅にとどまらず、新たな都営住宅の建設を行うよう働きかけることも加えて求めます。見解をお聞かせください。
 (3)家賃補助制度の創設など区制度の拡充についてです。「誰でも安心して暮らせる住まい」は、区民の生存と自由を保障するものです。民間賃貸住宅に公的な性格を持たせ、住宅確保要配慮者に対して家賃への補助を行うことが必要ではないでしょうか。23区内において、高齢者などに家賃補助・助成・減免を行っている自治体は15自治体にもなっています。新宿や北区、台東区では、子育てファミリー層や学生向けに家賃助成を行うなどの施策を打ち出しています。
 現在、中野区では、民間賃貸住宅への住みかえを支援する「居住安定支援事業」がございます。これは、保証人のいないため、賃貸借契約ができない高齢者、障害者の方が区と協定を締結した事業者を利用する場合に保証料の半額、1万5,000円までですが、助成するものです。しかし、他区が行う民間賃貸住宅に引っ越しをした場合のあっせん助成までは中野区では行っていません。杉並区では、高齢者、一人親、障害者世帯、災害被災者、犯罪・DV被害者を対象に、6万9,800円を限度に仲介手数料の額を助成し、昨年実績76件でした。豊島区では、高齢者等に加えて立ち退きの50歳以上の世帯も条件に、転居後の家賃と基準額との差額1万5,000円限度ですが、5年間助成し、昨年の実績は46件でした。こうした仲介手数料や契約金の一部、家賃と基準額との差額などに限って、各区でこの制度を実施しています。
 そこで質問です。中野区においても、「誰でも安心して暮らせる住まい」を実現させる一歩として、住宅確保要配慮者を対象に民間賃貸住宅のあっせんなどの補助を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
 (4)居住支援協議会の設置についてです。住宅セーフティネット法は、住宅確保要配慮者が民間の住宅に円滑に入居できるようにするため、地方自治体ごとに居住支援協議会を組織できると定めています。同協議会は、それぞれの地域の自治体、不動産業者、民間の居住支援団体などによって構成されます。2013年5月時点では、協議会は江東区、豊島区、板橋区など全国32自治体に設置されています。今後、民間賃貸住宅の建てかえが進み、その契約の更新ができない住宅確保要配慮者が多く出る可能性があります。協議会のある区では、窓口で協議会参加団体から協力を得ながら、高齢者等には民間賃貸住宅の情報を提供しています。豊島区では居住支援バンクを創設し、高齢者等でも拒まれない物件の賃貸を促す仕組みをつくりました。
 中野区沼袋で低所得者向けシェルターを運営する「つくろい東京ファンド」の稲葉剛さんは、この協議会を使って公的保証制度を提案しています。協議会は、貸し主が支払う保証料や公的な資金で運営し、物件を登録した貸し主は「保証人なし、礼金なし、更新料なし」の条件で物件を貸し出す一方で、協議会が家賃滞納や原状回復など費用の補?や貸し主と借り主のトラブルにも介入できるとしています。
 そこで質問です。居住支援協議会を創設することで、より一層、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅への円滑入居の促進がされる利点がありますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
 その他の項はございません。